2003/6/13 No. 8

6/13 授業の感想8号と回答

感想8号（総数 131）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

インド精神文化の一大極致である仏教について，サンスカーラ sa.mskaara を機軸に解説しました．

今日の仏教のサンスカーラから処方箋の考え方の説明は、医者を例にしてとても分かりやすかったです。今まで、仏教にはいろんな宗派がなぜ沢山あるのかと思っていたけど今日の講義を聞いて、その謎が解けました。それも、やはりサンスカーラに通じていたんですね。（1年女子）
（その通りです．）

今日の授業は例がわかりやすかったです。私は今まで、「苦」というものは肉体的な苦痛なんだと思っていました。「思い通りにいかない」という精神的なことだったんですね。仏教のことをもっと知りたいなと思いました。（1年女子）
（当面はこちらの「仏教とは何か?」で学んでいって下さい．）

今日仏教について勉強して、先生のいろいろなたとえのおかげで少し理解してきました。患者が違うから治療法も違うというのがすごく納得しました。先生の授業を受けて、仏教っていいなぁと思いました。しかも、仏教に入らないと呪われるよ。なんていう手口ではないので素晴らしい気がしました。でも、一番大切な所なんですけど、sa.mskaara と dogma の関係が分かりませんでした。（1年女子）
（dogma は須く sa.mskaara の所産なのです．それに固執して他を排斥・排撃する態度が原理主義には往々にして観察されます．）

リンゴの味の例えに感心した。これは仏教に限らず言えることだと思う。どんなにその道をおさめて深い思想がある人でも、それをそのまま他の人に伝え、理解してもらうのは困難だ。無理すればそれこそサンスカーラを引き起こす。でも、相手がわかろうとするなら、そこまで導いてあげることは可能だ、ということ。そこにたどり着く方法は人それぞれだから、その違い(教義の違い）で争うことはないんだ、という考え方に、仏教の懐の深さを感じた。（1年女子）
（深いでしょう? 残念ながら，そのことに気づいていない仏教徒もいるのです．）

今日は仏教のことについての講義でしたが、一番印象に残ったことは仏教と哲学にははっきりとした境界線がないという部分でした。（1年男子）
（別段仏教だけに限りません．私は「インドにおいて，宗教と哲学に区別はない．宗教と哲学を区別するのは，西洋的・キリスト教的発想だ．」と言ったのです．）

今日の授業は納得させられることばかりでした。医者が患者に処方箋を出すように、それぞれの人に合った方法でその人が安心して生活できるようにするというのは、いわれてみれば当然のことだなと思いました。人によってやりかたはちがうけど、みんな求めるものは安心して生活できるようになることだから、別々のことをやっているように見えても向かってる方向は同じなんだなと思いました。（1年女子）
（自称信仰者の方々が全員このように思ってくれれば，宗教に根ざす軋轢など起こらないはずなのですが．）

今日の講義を受けていて、仏教が良くみえたのは私だけでしょうか。医者と患者の例にもあるように、それぞれが自分に合った方法で仏教というものを受け入れる。他の宗教と違って自分にすんなり受け入れられるのは、やはり一番身近な宗教だからでしょうか。これからもう少し仏教やアジアの他の宗教をそれぞれ比較しながら講義を受けていきたいです。（1年男子）
（強烈な命令型の宗教が少ない点がアジアの宗教の特徴のひとつと言えるでしょう．）

今回の授業は、僕にとってこれまでの中で最も衝撃的な時間でした。僕もＡ・Ａ’やサンスカーラ（もちろん当時はそんな言葉は知りませんでしたが）のことについては考えたことはあったのですが、いくら考えてもあやふやのままでした。それなのに今回の授業は・・・。でも新たな疑問も湧いたことだし、僕はまだ「健康」からはほど遠いみたいです。今日からまた試行錯誤の連続になるのは間違いないのですが・・・。（1年男子）
（どんな疑問ですか?）

講義の内容がよく理解できたと思います。dogma が型にとらわれないという所とその理由に仏教の大きな価値を感じました。自分の中の虚像をより現実に近づけるという考え方は、自分の考え方を見直すあたりが何となくカントの批判哲学に似ている気がしました。批判している訳ではないでしょうが。講義の内容が確実に本質に近づいているという実感があります。（1年男子）
（カリキュラム編成上，来週からはヒンドゥーの概観に入っていきます．）

仏教の苦の例で、対人関係を例に話してもらったのですごくわかりやすかった。確かに自分の場合を考えてみると、自分が想像してた感じとちがう友達がいたら、そのギャップに悩んだり、その人を自分の型にはめようとする傾向があるなあーとしみじみ思った。仏教なんて自分はあまり信仰してないと思ってたけど、実は仏教の世界にいて、サンスカーラという今まで聞いたこともないようなものも自分は持っていたのだということに初めて気づいた時間だった。（1年男子）
（今まで気にも留めていなかったのに，実はどっぷりその中にいたということ自体が「諸行無常」の特徴の一つです．）

サンスカーラとストーカーの例はなんというかなまなましかったです。自分の想像したもの（サンスカーラ）と本当の対象との違いギャプを自分の想像したものの方にあわせるため本物を消すなんてなんかぞっとしました。（2年男子）
（これが，現実社会において実際に行われていることなのです．）

宗教というか思想は難しい・・。リンゴや医者と患者の例は分かるけど実際どうすればいいのか分からない。結局は意味のないことで争うより前に進めみたいなことですか？（1年女子）
（そういうことになります．でも，人間は得てして「分かっちゃいるけどやめられない」の世界に生きています．面白いのは，まさにそういう問題にこそ宗教が有効に作用する点なのです．）

今日の講義は全体的に理解しやすかったような気がします。りんごの例が特にわかりやすかった！講義と関係ないけど、トンビアタック読みました。笑っちゃいました。（1年女子）
（皆さんもトンビにはくれぐれも気をつけましょう．）

サンスカーラは非常に分かりやすかったです。自分もよく自分にとっての相手と本当の相手とのギャップに悩まされます。そんなときに自分のサンスカーラを相手に近づけられずにいることもあります。自分の理想の中で生きられるのは楽ですが理想を押しつけられるのはつらいですよね。だからといって釈尊のようにはなかなかなれないなぁとも思いました。自分なりの安心を得たいと思いました。（1年女子）
（そうです．別に釈尊と同じでなくても構わないのです．それが仏教の大きな特徴だと思っています．）

今日の授業はとても分かりやすかったです。でも、諸行無常とはサンスカーラとどう付き合うかなんですか？サンスカーラとは１つではないといってるのですよね？自分も何かに対してGapを感じたらありのままに見たいと思うけど、きっとむずかしいことだと思います。（1年女子）
（「諸行無常」の一つの解釈として「サンスカーラは一つではない」があります．それから，ありのままに見られないときも，そのままで安心を得る方法があると仏教は主張しているのです．諸行無常なのですから．）

仏教と私たち日本人の文化は非常に密接なものだと以前から感じていたので今日の仏教についての授業は大変おもしろかったです。それと同時に仏教の考え方にすごく共感できる部分がありました。ＡとＡ’のＧＡＰの話は、今後なにか悩みがあったときに思い出したら気分が楽になりそうだな、とも思ったし、実際今日この話を聞いて楽になった部分がありました。（1年女子）
（それは何より :-) ）

年代の所でC.E.というのがあったんですけど何ですか？（1年女子）
（自分で調べてみましょう．）

今日の講義を聞いて仏教にかなり興味をひかれた。それぞれに合った方法で仏教を理解し受け入れる、だから教義はたった１つだけではない。そのことに驚き共感した。（1年女子）
（仏教は，西欧的・キリスト教的「宗教理解」には収まりきれないところがあるのです．）

宗教、思想、哲学はこれらすべてはダルシャナですか（1年女子）
（その通りです．）

宗教は｢毒矢を抜いてくれるもの｣だそうですが、では哲学とは何なのでしょう？（1年女子）
（インド式発想では両者に区別はありません．）

インドにおいて宗教と哲学はdarsanaとひとまとめにされているけど、日本では区別されている、ではインドと日本のどのような点で違いが生まれたのですか？（1年女子）
（日本では近代，「キリスト教＝Religion」の訳語として「宗教」が選ばれたからです．原理主義のページ，あなたはまだ読んでいませんか? ）

今日の sa.mskaara の説明はとても納得しました。人間誰でも相手のことを、ある程度こういう人だと決め付けて接している。まさにその通りだと思います。人の心が全て分かる人間なんてこの世には存在するはずがない。これは今も昔も変わることのない普遍のことだけど、釈尊は物事をありのままに見ることができた。こんなに凄いことはないと思う。物事をありのままに見れる世界とはどんな世界なんだろうか？僕も仏教徒だけど、こんな感覚になったことは１度もないです。それはやはり釈尊にしか分からない世界なのですか？（1年男子）
（そうです．リンゴを食べた釈尊にしか，リンゴの本当の味は分からないからです．）

サンスカーラについてがよく分かりました。サンスカーラっていうのはとても人と人との出合いには重要なものなんだけど、それが強すぎるとよくないものになるんですね。釈尊はサンスカーラを現実に近づけることができたということはあらゆる物の心や姿を見ることができたんですよね？それって神をも超越してますね。現在にそんな人がいたらなんだか怖いです。（1年男子）
（怖いですか? 私なら是非ともお会いしたいと思います．一人でもいいから「本物の聖者」に会ってみたいのです．インチキが余りに多すぎますから．）

今日の授業は仏教についてでしたね。とても面白かったです。インドでは哲学と宗教を区別して呼ばないということに驚きました。私は知らず知らずのうちに西洋的な考え方をしてしまっているということに気付きました。もっと仏教の考え方を学んでいきたいです。（1年女子）
（大変結構です :-) ）

今日の講義ははじめよくわからなかったけど、途中で例を使った説明のおかげで最初よりもわかりました。私は今まで「宗教」といえば、神様第一、うさんくさい、というようなイメージしかなくて深く考えたことはありませんでした。けれど、仏教のような考え方の宗教ならば色々と学んでいきたいと思ったし、吸収できることがたくさんありそうだなぁ、と思った。（1年女子）
（うさんくさい「宗教まがいの悪徳商法」が多いですからね．）

今日のサンスカーラの話を聞いて、サンスカーラはみんな持っていて日常生活をする上で必要でもあり危険な要素も持っていることをかんじました。自分で考えてみても、サンスカーラ（Ａ’）を限りなく現実（Ａ）に近づけたい、と思っています。自分の思いどおり~~どうり~~に世界が存在していないことは分かっているけれど、ギャップが生まれてしまうのはしょうがないと思いました。自分をよくするサンスカーラもあるのだから、変なサンスカーラに惑わされてはいけないと、思います。それこそ、悪徳商法とか。
あと、広義でのヒンドゥーは、少し日本に似ていると思いました。日本人には、宗教としての仏教よりも、昔からのいろんな宗教の思想なんかがうまく交じり合って、日本独特の文化を持っていますよね。だから、インドでの、ヒンドゥーの概念も日本の文化と似たような概念で捉えられるように感じました。
釈尊の遺言を聞けてうれしかったです。サンスカーラには気をつけよう。（4年女子）
（そうだ．気をつけよう．）

今日は、例え話が多くて解かりやすかったです。医者の処方箋の話で、違うことを言っているが問題は無く医者は患者を良くしたいという統一された思いがあるからA'とA"は違っていても構わないとあったけれど、違いがあるから宗教での争いが起こると言っていたような気がするんですけど、そこに争いが生じるのはなぜですか？（1年女子）
（文意は今ひとつ分かりにくいのですが，おそらく次のような解答を期待しているのでしょう．「dogma に固執し，諸行無常であることを理解しないからです．」　大学生らしい文章を書きましょう．）

今日はりんごや医者を使った例え話でとても理解しやすかったです！特に医者の話は「患者が違うから処方箋が違っていい」というとても身近で分かりやすいことだったのですぐに理解できました。あと「方便」という言葉の意味を今まで間違って覚えていたので今日は本当に勉強になりました。今日の授業で改めて仏教に興味がわきました！！！（1年女子）
（それはよかった！！！）

私は今までどうして仏教にはいくつもの宗派があるのか、また、宗派ごとにお経が違っていることなどに疑問をもっていました。それらが今日の授業で少し解決しました。要するに、座禅を組むのも、お経を唱える（読む？）のも安心（あんじん）のためなんですよね？（1年女子）
（その通りです．）

各人に応じた処方箋を持つ仏陀の存在に、今日も頭が上がらなかった。（逆に長旅中、仏陀自身が誰かから処方箋を望むことはなかったのだろうかと思った。無いからこそ仏陀なんだと思うが、それにしてもやっぱりすごいとしか言えない。）
私たちが何かを認識しようとする時に必ず働いているものがサンスカーラなら、サンスカーラは自分の気付かないところで常に働いていたのだなと思った。そして、常にGapが生じている気がする。
サンスカーラによって捉えたものと現実（真実）との差が「仏教の苦」だと教わりましたが、この苦は解消されることがあるのですか？（3年女子）
（ブッダになれば，A と A' とのギャップはなくなります．ただ，このギャップを抱えたままでも人は幸せになれると仏教は説いています．人それぞれに処方箋があるからです．）

如実知見の域に達するまでのdogmaを問わないという仏教の懐の広さに感心しました。仏教のというよりは釈尊の懐の広さですね。
諸行無常をいう言葉の意味も理解できました。凄く深い意味があったのですね。祇園精舎の鐘の音を少し聞いてみたくなりました。（1年男子）
（祇園精舎（ジェータヴァナ・アナータピンディカッサーラーマ）には，実は鐘はなかったそうです．．．）

ずっと前から聞いたことのある「諸行無常」について理解できてよかったです。また、サンスカーラに「完成・虚構」という２つの意味があることも納得できました。自分もサンスカーラによって物を見てきたと思うし、それによって「苦」も味わってきたと思います。けれど、これからはサンスカーラとどのように付き合っていくかを考えなければならいと思いました。
また、「りんごの味」の話で、釈尊が味わったリンゴの味を人に伝える時に、口で伝えてはサンスカーラの影響を受けるからといって、方便が違っても味わって欲しいという考えにも納得しました。
今まで仏教は身近なものとして理解しているつもりでいたけれど、今回の講義を聞いて仏教って奥深いものだなと実感しました。（1年女子）
（身近であり，なおかつ奥深いのです，仏教は．）

本当に釈尊という人物は偉大な人だと思う。実際、僕たちはこの世の中にかなりの影響を受けて流されながら生きている。なのに釈尊は、変だと思うと自分で自分の歩む道をつくり、そして多くの人の共感をあびた。それはやはり世の中の人も、「この世の中はおかしい」と思いつつも自分では切り開けなかったんだと思う。それは今の時代にも当てはまることだけど、なかなか釈尊や　ガーンディーのようにはできないと思うけど努力はしなくてはいけないと思う。話は変わりますが、釈尊の教えはそのまま日本の仏教に受け継がれているのでしょうか？（1年男子）
（日本にもたくさんの宗派があり，なおかつ，それら全てが仏教を自認していることから判断すれば，「人それぞれの処方箋」という思想はしっかり受け継がれていると思います．）

サンスカーラを理解することが難しかったです。確かに私もサンスカーラによって人とかも見てしまっていると思います。でも本当に現実のその人を見ようとするとしんどくなってしまうと思います。すべてをサンスカーラで見るのは微妙だけど（以下略）（1年女子）
（どのように「微妙」なのですか? きちんとしたことばを使おうよ! ）

今回の講義でサンスカーラの説明をされた時、私は主観、客観を自分自身に取り持つ難しさの中で克服できる糸口を見つけたような気がした。主観と客観の共存における難しさについて着目してみると、例えば、先生が授業の中で具体例として取り上げた「リンゴ」のように、私たちはいつも自分自身の中に自分だけの世界を作り、物事を捉えているようだ。（「しまう」というべきであろうか）一人一人のイメージする世界がそれぞれ大きく違うと、この世界は強い者だけが支配する社会となり得るだろう。この点を突き詰めると、宗教の対立ほど恐ろしいものはないような気がする。これは宗教を熱心に信仰するほど（過激派とも言えるだろうが）宗教それ自体がサンスカーラにもなり得ると私は感じる。しかし、今回の講義を学ぶことにより、私たちは無意識に行うサンスカーラについて知る機会に恵まれた。これは、サンスカーラ克服への第一歩だ。知ることはとても大きなことと私は思う。知ることで、間接的ではあるが自分を見つめることに繋がるからだ。私たちは問題点を知り、考えることで少しずつ自分自身を客観的に見ることに成功し、少しずつではあるが、自分自身で創り上げた世界（長所、短所それぞれ存在するが）の中の自己を解体していくのだと私は思う。（1年男子）
（下線部の件，その通りです．形而上学的な問題に対して，われわれ人間は A' や A'' 等のみしか知り得ないからです．）

中学の時の体育の先生（定年直前）にも｢当たり前のことが１番難しい」と言われました。時々思い出す言葉で、好きな言葉です。サンスカーラとは｢これはこうだという思い込み」のことですよね？固定観念とか､第一印象ということも含まれるんですか？私は結構これに振り回されているほうだと思いす。これからは、ありのままを見るように意識していこうと思いました。仏教徒のつもりで生きてきたけど、最近自分は西欧風な脳みそになっているのかなあといろいろ考えさせられます。（1年女子）
（言わば釈尊という人は，「どんなときでも，当たり前のことを当たり前に実行できた人」なんだと思います．なんと「当たり前」じゃない人なんでしょう．）

私たちの暮らしは、サンスカーラで溢れていると思います。先生は、サンスカーラと上手く付き合うことが大切だと言われましたが、もしサンスカーラと上手く付き合えたならばどうなるのでしょう？その人は幸せになるのでしょうか？（1年男子）
（なれます．ただし，その方法を自分だけで体得するのはなかなか至難だと思います．人間はどうしても「自分にとって都合のよいように，自分勝手に」サンスカーラを発動させてしまうものだからです．「ホンモノの宗教」が手助けしてくれるのが望ましいのですが．．．）

諸行無常の意味は平家物語を勉強したとき教わりましたが、行：サンスカーラにこのような深い意味があることを知っておどろきました。仏教も処方箋とりんごの例でよく理解できました。なんで他の宗教は仏教と違って争ってばかりなんだろう、おかしい、変だ。と思いましたが、これもいけない偏見ですね。（1年女子）
（そんなことはありません．釈尊はそのようなことをしている人に対して「先に矢を抜け．」と教えたのですから．）

サンスカーラの話で, りんごの味の例と医者と処方箋の例がわかりやすかったです。実は自分も無意識にサンスカーラで世の中を見ていたと思うと不思議な気分になりました。ただ安心の意味がよくわからなかったので、もう一度教えていただきたいと思いました。（1年女子）
（「安心（あんじん）」とは心の平安のことで，「様々の悩みが解消された状態」を言います．悩みは必ずしも「解決」されなくて構いません．）

りんごの実を食べる方法は、一人一人違ってかまわないという釈尊の考えが面白いと思いました。一口に仏教と言っても浄土真宗、浄土宗、曹洞宗等、たくさんの宗派があります。宗派が違えど仏教を信仰することは同じです。今までは「仏教といっても色々な宗派がある。ということは、どれも正しく釈尊の教えを伝えてないのでは」と考えていました。でも、りんごの実を食べるのが目的ならば、それはあまり重要なことでは無いと感じました。（1年女子）
（でしょう? 宗教を口実に争うのは無意味なことなのです．）

サンスカーラのお話、本当に面白かったです!!　「サンスカーラ」というもの、ボンヤリとその意味は知っていたけれど、宗教用語だと思い込んでいました。こんなに私達の身近なものだったとは・・・　これからは、ドラマ等で「貴方ってそんな人だったのね！」というありきたりなセリフを耳にするたびに、「あ、サンスカーラだ」と今回の講義のことを思い出すと思います。（2年女子）
（思い出してください :-) ）

サンスカーラの世界にはとても興味があります。ところで、ふと思ったのですが、最近話題になっている「マトリックス」ってありますよね。「仮想現実」をテーマにした映画だったと思うんですが、サンスカーラの世界もある意味仮想現実の世界ととれることができるとおもうんですが、（脳が作り出す虚像？？など。）先生はどう思われますか？？？（1年女子）
（サンスカーラと『マトリックス』との関係については，昨年度の仏教文化の感想・回答で触れていますので，そちらをご覧下さい．）

サンスカーラの話を聞いて中学生の頃の自分を思い出しました。あの頃は外見に対するコンプレックスを持っていて、本当は全然違うのに友達が私の悪口を言っているような気がしたり、初対面の人から嫌な目で見られているのではないだろうかといつも考えていました。もう今は全くそう思うことはないのですが、今回のお話を聞いて、まさにあの頃はサンスカーラにとらわれていたのだなぁ・・と思いました。（2年女子）
（上手に克服できてよかったですね (^^) ）

感想を読むと授業の話が広がるので面白いです。それとインドに宗教家に布施をする習慣があるというのはほんとに素敵だと思いました。宗教家に対する深い敬愛があるのだなぁと思いました。本日の講義は自分自身の生き方を問い直されてる気がしました。サンスカーラは無意識的なものだからこそ過ちを犯しやすいのだと思います。真理に（というか心の平安）にたどり着くまでの歩み方、方向を示していくこと、それが釈尊の考え方、行動していったこと。その後は全て自分自身なのだと思います。そして真理へと自らの足で進んで、悟ることだと思いました。私はこの部分に satya に通じる部分を感じます。自分を振りかって考えなくてはいけないなぁと思いました。また、心の器が本当に広いというのは、サンスカーラを持った瞳で見る物事と真実が限りなく近く、またそれを受容していくことなのかなと思いました。そこには苦がなく、平穏なまま。今日の話も濃かったです。（1年女子）
（あなたは「釈尊の覚り」をかなり明確に捉えることができたようですね．）

今日の授業で考えたことは、いつも私はサンスカーラで物事を見ていたということです.今日は、先生が例をあげて説明されたのでわかりやすかったです.釈尊はサンスカーラを通さない世界を見たが、人によって処方箋が違うのでサンスカーラも違って当たり前ということが非常に納得できました.固定的な考えではなくその人それぞれの考え方でいいという事ですか？そう考えると、本当に底無しの胃袋だということもわかりました.他の宗教では、他宗教に対して排他的な面も見られると思いますが仏教ではすべてを包みこんでくれるような気がしました。（1年女子）
（下線部のお尋ね，その通りです．）

今回の収穫は、A' の存在を知ることができたこと。それと同時に仏教についても今までよりはるかに理解できてたと思います。どうして仏を拝むのか、経を唱えるのか、やっとわかりました（恥ずかしいですが）。私は仏教徒ではないけれど、A' にとらわれず、A の姿を一部分でも知ることができたとき、そのGAPを受け入れられる強い心を持っていたいです。現代にも宗教問題など形而上学的問題は多くありますが、それは人々がA' にとらわれすぎてしまった結果です。そういう人たちに釈尊の言葉を伝えたいですね（＾＿＾）（1年女子）
（伝えていきましょうよ (^_^) ）

今の仏教の様々に枝分かれした教義を疑問に思っていましたが、やっぱりそれも仏教なんだと理解しました。ほかの宗教からみた仏教がどんなものかわかりませんが、仏教はなんだか宗教の宗教みたいです。仏教の視点から見れば、安心を与える宗教は仏教としてはＯＫなわけであって、以前先生が「仏教はインド文化では異質」とおっしゃいましたが、仏教もすべての宗教を飲み込もうとしている感じがあります。この感じはやはりインドでなければ生まれなかったのではないでしょうか。（1年男子）
（ああっ? そうかも知れません! もう少し私なりに考えてみます．ナイスなサジェスチョンをありがとう!! ）

仏教については以前から興味があったのですが、今回の講義で取り上げられた sa.mskaara について自分なりにまとめてみると、sa.mskaara は人によって違う。つまり sa.mskaara とどう付き合うかが重要だと分かりました。
例えば、私と友人は同じ大学を目指していたのですが、この時勝手にその大学に対して憧れと期待を持っていました。結果は友人は合格で私は不合格でした。私は非常に友人が羨ましく、又駄目だった自分を責め続けました。そして、「来年こそは絶対に合格してやる」と更にその大学に対する憧れ、つまり sa.mskaara を強めました。
今思うと、それ程神経質になる必要はなかったと思います。希望通りの進学を果たした友人は、「充実した毎日だ。やはりここに来てよかった」と語っています。しかし、私も山口に来て良かった、回り道をして良かった、と思います。お互いが満足ならそれで良いと思います。思い通りに生きることは出来ないのだから、むしろ思い通りに生きられないことをこれからも楽しみたいです。（1年男子）
（時として悩みの解決はできなくても，解消することはできます．この「悩みの解消」こそが「矢を抜くこと」であり，ホンモノの宗教だけができることなのです．）

仏教の本質を今回初めて知った。やはり宗教は、人間に平安をくれるものでなければならないと感じた。私たちは、サンスカーラによって他人を勝手に認識していたのですね。そしてそれは人それぞれ違っていて、だからそれぞれの処方箋も違ってその処方箋によって悩みが取り除かれる。私は、そのような釈尊の教えにステキを感じてしまった。また、私はサンスカーラによって他人を勝手に認識して苦を体験することがあるのと同様に自分自身の心の内面は見ることができるはずなのに自分はこんなはずじゃないと思うことがよくある。自分自身のこともサンスカーラによって勝手に認識することはあるのかなあと思った。そうだとしたら私は常に苦を体験している。それから、インドでは仏教が浸透した時期があってヒンドゥーになっていく背景には政治も関係しているんだと分かった。なんだかアジアっていい。（1年女子）
（あなたが仏教やアジアにどんどん魅力を感じてくれている様がよく分かります :-) ）

今日の「諸行無常」及び「サンスカーラ」についての講義は, 目からうろこが落ちたと言う感じでした．私がいままで持っていた, そしてこんなものだろうと思っていた, 釈尊のさとりや諸行無常という言葉の意味に対するイメ－ジはサンスカーラであって, 今日の講義が方便となって, 釈尊の考えに少し近づくことができたような気がします．釈尊のように A' を A に一致させ, 如実知見の境地に達することが大切なのかと思ったら, そうではなくても, どんなアプロ－チでも良いからサンスカーラに惑わされず心の平安を得れば良いとい, というところに一番驚きを感じました．だからこそ, 日本の中でさえも色々な宗派の仏教があるということが納得できました．この考えかたでいくと, キリスト教などの一神教は神の存在を信じることによって心の平安を得ているわけだから, それも一つの方便ということになり, 釈尊の教えの範疇に入ってしまいませんか？（3年女子）
（ご明察! その通りなんです!! 仏教的に考えることができれば，宗教が元での争いなんて起こり得ないはずなんです．）

今回の講義により、私の中で疑問のひとつであったことについて考えることが出来ました。その疑問とは、近年精神的に病んでいる人がこんなにも増加しているのはなぜか、ということです。日本では、今一日に１００人もの人が自殺を図っており、また精神的な病みによってもたらされる犯罪も増えています。
それで今回の講義で真っ先に思ったことは、「人は他人に対してだけでなく、自分自身に対してもサンスカーラを発動させているのではないか」ということです。私自身、自分のことなのによく分からないことや、自分で自分はこういう人だと思っていても第三者による指摘によって矛盾に気づかされることがあり、そんな時決まってどれが現実でどれがサンスカーラによって捉えられたものなのか分からなくなり、苦しみや戸惑いを覚えます。
今、処方箋である宗教を懸念したり無関心になって、自分自身や物事をありのままに見ることが出来ないだけでなく、矢を抜く機会までも逃がしてしまっている人が増えているのではないでしょうか。それによって精神的に病んだままになっている人が増え、社会的問題に繋がっているのではないか・・・だとしたら今の世の中は本当に空回りしていると思いました。
物事をありのままに見る事が出来た釈尊が「実に清々しい世界だ」と言ったのにも頷けます。（4年女子）
（わたしたちが究極に追い求めるべきなのはどこまでも「自己」であるはずです．しかしその「自己」が，自分が思っていたほど（サンスカーラしていたほど）強くなかったり，あやふやだったりすると，人は言いしれぬ不安に襲われます．そんな時こそ「矢を抜いてくれるホンモノの宗教」の出番なのです．「さぁ，先に矢を抜け!」）

【総評】かなりの（事実上，ほとんどの）方が，サンスカーラに着目し「諸行無常」を主張した仏教的考え方に興味を覚えてくれました．私としてもとても嬉しく思います．時間の関係で，この講義ではこれ以上仏教に時間を割くことはできませんが，もっと詳しく知りたい方は「仏教とは何か」のページ群を訪ねるなり，私に直接聞くなりして，理解を深めていってください．（鈴木隆泰）

アジア文化論 I

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