2002/10/18 No. 3

10/18 授業の感想2号と回答

感想2号（総数 76）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

今回は，この講義の柱であるサンスカーラについての説明，その初回です．

自分が理解していると思っているものが実は思い込みであり、それが壊れたときに失望、や恐怖を感じると考えると、もしも予定外のことが起こっても、仕方がないと思えます。諸行無常という言葉は奥が深くて難しそうなので、頑張って理解できるようになればと思います。（2年女子）
（「諸行無常」がきちんと正しく理解できれば，仏教を正しく理解することができます．決して「ものは移ろいゆく」などというレヴェルのはなしではないのです．）

今回はサンスカーラについての講義を聴いた。人間は未知の事柄に違和感や恐怖を感じる。そして、その違和感を減じるために、思い込み、見込みを立てる。それは日常生活において必要なことであり、またこれがなければ社会というものは成り立たない。しかし、自らのサンスカーラと現実とのギャップに苦しむのも事実である。・・・と、なんだかまじめなことを言ってみる今日の僕でした。（3年男子）
（今年は真面目路線?? ）

今日の授業のサンスカーラの二番目の意味はよくわかりました。このような自分で足りない部分を補うという行為は誰にでもあることであって、いつも休むことなく働いている行為なのです。しかし、私はこのサンスカーラは人によって強い弱いの差はあると思います。すると、やはりそのギャップによって受けるショックもそれに比例するのだろうと感じました。（2年女子）
（「サンスカーラを日頃自覚していたかどうか」が，ショックの度合いと関係がありそうです．）

昨日「ムトゥ踊るマハラジャ」を見ました。未熟な見解ですが、独特の映像がサンスカーラで、形成力が登場人物の策略かなと思いました。また、「セル」も確かインド人の監督ですが、映像の綺麗さは同じく良かったです。「ムトゥ･･･」では違う州に入ると言葉がまったく通じないそうで驚きました。ムトゥの父はインド人らしいと思いました。（2年女子）
（「サンスカーラ＝形成力」ですから何とも．．．　）

先生の授業を受けると、調べても素人には絶対に勉強できないようなことが学べるのでとても興味深く聞かせていただきました。サンスカーラの説明はまだいまいち飲み込めてないのですが、ノートを見てゆっくりと勉強しようと思います。
今日が初めての出席になるんですけど、掲示板だと書いたことが読まれてしまうし、サーバーにつながらなかったりすごく面倒なのでメールには出来ないのでしょうか。それと、今日は後ろのほうに座ってしまったんですけど、スクリーンの図？とかをテレビには映してもらえないんでしょうか。（2年女子）
（見えにくいのなら前に座りましょう．空いています．それでも駄目なら手段を講じます．
　読まれて困る内容は buddhism@cis.ypu.jp に送って下さい．でも出欠自体はこの出欠用掲示板への書き込みで統一したいと思います．サーバに接続できないときは，メールも届かない場合が多いです．自分では送ったつもりで実は送られていなかったという方が，皆さんにとってよっぽど不都合なのではないでしょうか．）

今日のサンスカーラの説明の中で、“人間が通常認識しているのは空想での認識であって、「～のはずだ」という見込みの世界で生きている”というのは自分自身とても共感できるものがあったし、それにこの現実とのギャップに真正面からみていった釈尊についてもっと知りたくなりました。サンスカーラについてはまだまだ奥があると思うので確実に理解していきたいと思います。（2年女子）
（確実に理解していきましょう．）

今日の授業のサンスカーラについて。よく理解できます。以前にそんな事をいっていた漫画を読んだことがあります。分かっている部分もあるが、分かっていない部分もある。その部分を補うもの、今までの経験から予測されるものがサンスカーラだということに納得できました。「諸行無常」についてこれからの授業がとても楽しみです。（2年女子）
（楽しみにしていて下さい．）

サンスカーラの話の所で、「“完全に知っている”という状態というのはない」と先生がおっしゃっていて、その言葉にビビッと来ました。確かに何が起こるのか100%分かっている事はないと思うからです。～のはずだ　という予測で皆物事を考え、暮らしているんだなぁと考えると、すごく人間はつかみ所のない世界にいるんだと思いました。（2年女子）
（「ビビッと来ました」か! それは何より．）

“サンスカーラ”は前回、ほとんど謎だったのですが、今回の授業でだいぶ自分なりに理解出来たと思います。人は、思い込み・見込みの世界で生きているというのは考えたらかなり納得できました。しかし、それはなくてはならないもの...。考えすぎた余計分からなくなってしまいそうなので、今はそういうものだと理解しておきたいです。“サンスカーラ”はかなり奥が深いと感じたのでこれからの授業でより深く理解していきたいです。（2年女子）
（今はそれで結構です．授業を受けながら徐々に理解を深めていって下さい．）

釈尊は人々のサンスカーラをなくすために頑張っていたようである。「～のはずだ」のはずだと言って見込みばかりで生きているととても危険な事は明らかだ。自分勝手なサンスカーラで車を運転すると事故ってばかりでとても生きてはいけない。（2年男子）
（確かに!!）

「祇園精舎の・・・」諸行無常という言葉を聞いて思い浮かんだのが、この冒頭である。単純であるが、これが書かれた背景や作者の心情が、本講義によってまた見えてくるかもしれないなと思った。う～ん。。なかなかすぐには理解できないがじっくり考えることで自分の生き方・考え方が変わってくるかもしれない（少し大げさかな？）。アジア文化論よりもっと奥が深い講義ですね！（3年女子）
（そう．深い，深い．）

サンスカーラの二つ目の意味がよく理解できました。理解することができてうれしかったし、なるほどと思うこともあって、楽しい授業でした。けど、一番知っていると思っていた家族のことでさえもサンスカーラなのだなぁと思うとちょっと悲しくなったりしました…。（2年女子）
（悲観する必要はありません．それが事実なのですから．大事なことは，その事実を踏まえた上で，これからどのように生きていくかということなのです．）

サンスカーラの講義を聞いて特に印象に残ったのが、『人は「～のはずだ」といった思い込みの世界で生きている。』ということです。これは個人的な解釈が伴う考え方のため、一人一人の見解に偏りがちになってしまうことの危険性を察したからなんでしょうか。でも完全に理解できないことがあるからこそ人間が互いに共存できるのでは…とも思ってしまいました。物事は完全に知らないほうが生きて生きやすいと私なりに解釈しました。（3年女子）
（「知らぬが仏」って言いますもんね (^^;　取りあえずは結論を急がずに，講義にお付き合い下さい．）

「諸行無常」という言葉は平家物語の「諸行無常」とは違うんですか？サンスカーラの説明は人間関係にたとえられると分かりやすかったです。しかしサンスカーラのことを考えていると混乱してきました。人間はイメージをぶつけあって生きていて真実を知らないのなら人間はずっと真実を見つけられなまま生きていくのかナと思いました。今日勉強してサンスカーラから学べることは「～のはずだ」という思い込みを軽くすれば人間関係も円滑になるのではと思いました。（2年女子）
（「諸行無常」は『平家物語』冒頭のそれです．日本では「ものごとは移ろいゆく，生者もいずれは死にゆく」というニュアンスが強すぎます．）

「『～のはずだ』の世界で生きている」というところで、先生が「100％理解できていることはありますか？」と聞いたときに考えてみたけど、無かった。自分についても100％ではないし、自分以外の人についてはなおさらよくわかっていない。今まで特に考えたことは無かったけど、今回の授業を受けて、不思議な世界に生きているなあと思った。（2年女子）
（不思議，ですよね．）

サンスカーラの講義はとても興味深かったです。特に私たちは生活していくうえで見込みというものをして、それは自分が意識するしないに関わらず起こってしまうことなのだということには大いに納得しました。今日の例のように電話で聞いた相手のイメージとのギャップに苦しんだことも経験したことがあります。相手の方も私のことをイメージと違う！と思ったのかもしれません。（2年女子）
（たとえ会ったからといって，自分の全てが相手に，相手の全てが自分に伝わるわけではありませんよね．常に一定レヴェルのイメージが介在しているのです．）

世の中に全て自分が分かっているものなどないと気づいた。しかしサンスカーラによってその不安を補っていることが分かった。人とは考える生き物だからこそ、形而上学的ことがらに答えを求めているのだが、結局その答えもその人独自のサンスカーラである。なんだかんだいって、人間なんて何も分かってないもんなんですね。（3年女子）
（「“分かっていない”ということが分かる」のも大切な経験です．）

アジア文化論を受けていたので結構すんなり頭に入りました。サンスカーラについては文章を見ても抽象的で良く分からなかったけど、イラストを交えて自分たちの身の回りの事柄を挙げての説明だったのでめっさ理解しやすかったです。サンスカーラって何？って聞かれた時完璧には説明できないけどこんなもんだよっていう位なら説明出来そうです。今後もイラストや身の回りのことを使っての説明をしてほしいです。そういえば、講義が終わって教室移動しても皆サンスカーラ、サンスカーラって言ってましたよ（2年女子）
（「サンスカーラ」ということばに少しずつ親しんでもらえると嬉しいです．）

サンスカーラの講義は去年のアジア文化論でも習いましたが、やはり難しいです。人間はほかのことについて何一つ完璧に理解することはできないということに考えさせられました。自分の友人でも100％理解はできないし、その逆もまた然り、でもそれでいいと思います。現代には身勝手なサンスカーラがあまりにも多く氾濫しているのは許せない。（2年男子）
（「霊感商法」や「強引な勧誘」など，一方的なサンスカーラが生み出している犯罪が絶えません．）

宗教というものをこれまで特に意識していなかったので、サンスカーラをこんなに身近に感じることができたのは意外でした。「～のはずだ」という思い込みの世界で生きることは、普段の生活の中では全く自覚していないのに、今回の講義のように改めて考えてみると思い当たることがたくさんありました。こういう点でも、宗教は人間の「精神」を考えつくして生まれたものだということを実感しました。（2年女子）
（「宗教は人間の「精神」を考えつくして生まれたもの」なのかどうかの結論は急がずに，この講義を通じて考えていきましょう．）

サンスカーラは遠い存在のような気がしていたけど、自分では認識していなかっただけで私も無意識のうちに作り上げていたんだな、と思いました。妄想とサンスカーラは同じものなのか疑問に思ったけど、妄想には現実にはあり得ないことを自分で自覚しているか、していないかでサンスカーラと同じものになりえるような気がしました。（2年女子）
（「妄想」と「サンスカーラ」では，サンスカーラの方が大きな概念です．いわば，サンスカーラの一形態として妄想があるのです．）

サンスカーラの言葉を聴いたのは去年のアジア文化論以来ですが1年間のおかげで去年より理解できた気がします。第三者から聞いた情報から勝手に「～のはずだ」と自己理解するのはよくあることだけどそれってよく考えると怖いことですね。その人と接触するまではずっと自分の中には勝手な思い込みの人間像が出来上がっているのですから。百聞は一見にしかず、もっとその意識を持てる人間になりたいと思いました。（2年男子）
（「百聞は一見にしかず」とは言っても，その「見る」行為によって捉えられる対象もまた通常はサンスカーラの枠を出ません．）

今日のサンスカーラの話を聞いて、私は、『マトリックス』という映画を思い出しました。人は「～のはずだ」の思い込みの世界に生きているという考え方は、『マトリックス』で言う、全てデジタルの仮想現実世界の"マトリックス"に人々がそれと気付かずに思い込んで暮らしているという考え方と同じだと思いました。その映画では、「五感は脳に送られるデジタルの記号に過ぎずそれが本当はそうである、という風には言い切れない」というようなことや、「今吸っている空気は本当の空気かね?」と聞いていたりしました。あの映画ではだから、主人公が、自分の生きている世界が仮想現実であったという真実を突きつけられ、サンスカーラを悟ったということになっているように思います。この解釈合ってますか? （2年女子）
（『マトリックス』という映画は見ていないのですが（見ろよ＞自分），お話を聞く限りでは，サンスカーラの世界とマトリックスの世界は似て非なるもののように感じます．マトリックスの世界はあくまでヴァーチャルなんですよね？　それに対してサンスカーラの世界は，リアルな世界におけるアンリアルな認識に着目したものです．）

私たちは「～のはずだ」の世界で生きていて、‘ある程度’の思い込み（サンスカーラ）が自分の前にある事物に対して分からない部分を補ってくれているということでした。おおーと思いました。100％正しいなんてないんだ～と思うとなんだか楽になりました。完璧に相手や自分を知ろうとする必要はないと思いました。人によって見えない部分をサンスカーラによってどれだけ補っているかは違ってくると思います。思い込みが強すぎて、対象を悪く見たり、非難するのは怖いことだしよくないと思いました。（2年女子）
（「おおーと思いました」か! おおー!）

最初に文章でサンスカーラを説明されたときは、こんな抽象的なものが理解できるのかなあと心配しましたが、友人関係や宝物に例えてみると、自分がいろいろ経験してきたことにあてはまったので分かりやすかったです。100％理解できるものはなく、「～のはずだ」の世界で生きているから悩みがでてくる、ということは当たり前のようで気づきにくいものですね。仏教は奥が深く、サンスカーラについてもっと知りたくなったので次回も楽しみです。（2年女子）
（仏教って結局は，当たり前のことを当たり前に行った人が，当たり前のことを説いたものかも知れません．でも，そのうちに徐々に気付いていってもらえると思います．「当たり前のことを当たり前に行うことがいかに難しいか」ということが．）

思い込みの世界。確かにそうなのですが・・・同じ景色を見て「美しい」と言っても、それは所詮錯覚に過ぎないと普段から思ってしまう私はなんとなく哀しい気分になりました。でも、思い込みの世界だからこそ、宗教は成立するのだし、幸福を得ることもできるのだと思います。たとえ嘘でも、信じている限り、それを信じている人には真実だから。その真実が救いなのだと思うようにしています。（2年女子）
（あなたは，「同じ景色を見て「美しい」と言っても、それは所詮錯覚に過ぎないと普段から思ってしまう私」なのですか?　「たとえ嘘でも、信じている限り、それを信じている人には真実」といったあたり，この授業を通じて一緒に考えていきましょうよ．）

釈迦というのはてっきリ名前だと思ってました。何かを悟り、自分の地位も捨てて出家した釈迦はすごい人物だったから今日たくさんの人が仏教を信じているのだと思いました。しかし、今日、たくさんの宗教法人があって、宗派によっても同じ仏教でありながら説いていること、求めることが違うように思います。では、釈迦が本当はどんな人物で、何を言わんとしたのか、何で宗派たるものが生まれたのかということを知りたいです。（2年女子）
（釈迦は部族名なので，釈尊と呼ぶようにしましょう．）

今日の授業で、行（サンスカーラ）についての説明はわかりやすかったです。自分が人に対してや、世界に対して思い込んでいたという事。そしてそれが自分が思い描いていた事と少し違えば、不安感や喪失感を抱いていたのだという事を改めて感じました。実際100％理解をする事はできないという事をわかってていても、「～のはずだ」と自分の中で納得する事で安心感を得て、自分自身を保ってきたのだろう。人は苦から楽へと逃れたい、その思いから答えを探すのだろうし答えを見いだしたいのではないかと考えさせられました。とてもおもしろい授業でした。（2年女子）
（自ら考えていこうという姿勢が旺盛で結構，結構 (^^)　）

思っていること（イメージ）がサンスカーラであり、その後の結果とは違うということがわかった気がしたが、私がサンスカーラのことをわかったと思うことも、サンスカーラなのでしょうか？（3年男子）
（あなたも私も，おそらく釈尊が理解したようには理解していないでしょう．その意味では「それもまたサンスカーラ」と言うこともできます．問題はサンスカーラを抑えつけることよりも，われわれの日常にある「サンスカーラに基づく世界把握」という事実を確認しておくことの方なのです．）

講義のキーワードである「諸行無常」、特に行を意味するサンスカーラについての定義は今の私には非常に難解でした。徐々に、これについての理解を深めて行きたいと思います。また、釈尊が自分のおかれた状況に疑問を抱き、悟りを開くに至るまでのさまざまな事象や心の葛藤についても非常に興味深いので、これからの講義の中でそれを学んでいきたいです。（4年女子）
（一緒に学んでいきましょう．朝早いですけどよろしく．）

ある人が期待に反する行動をとった場合、それに対する不満が生じたり、ギャプに苦しんだりすることがありますが、それもサンスカーラなのだと理解することによって、そういった不満は解消されるのでしょうか。（3年女子）
（理解しただけで不満が解消されることはないかも知れませんが，そのように理解することによって，その不満をどのように発展的に解消させていけばよいかが見えてくるはずです．試してみて下さい．）

自分の主観とありのままの世界の間にはギャップがある。それがサンスカーラであり、苦を生む。それに惑わされずに生きていきたいが、なかなか難しい気がする。これからの授業の中で、サンスカーラに惑わされない方法なんかを学びたいと思った。（4年女子）
（方法論の提示までできるとよいのですが．）

サンスカーラについての説明が、おもしろくて分かりやすかったです。先生が、「１００％理解できることがありますか？」と聞かれたとき、必死に考えて「あっそう言われてみると１００％理解できることってないな」と改めて気付きました。また、おもしろい絵で、私たちの生活の中での例をあげて説明していただいたので、サンスカーラをとても身近に感じました。（2年女子）
（そもそもサンスカーラは身近なものですからね．）

私達は「～のはずだ」の世界で生きていて、100％の事はないと聞いて確かにそうだと思った。自分がそうだと思っている事が違うと戸惑うため、そのサンスカーラを少しでも確かにするために、様々な学者がいるのかと思う。（2年女子）
（「様々な学者」は，科学者，という意味で使っていますか? そうだとするとちょっと違うかも．）

私たちは「～は〇〇であるはずだ」という思い込みの世界で生きていて、このように正しい認識を阻害する力がサンスカーラであると理解したのですが、いまいち不安なのでこれからの講義で理解を深めていきたいです。サンスカーラの考えは釈尊の生きた時代のものなのに、先生の説明を聞いていると納得できたし、自分にもあてはまるものがあったので、すごく不思議でした。でも、イメージと現実のギャップで苦しむのに、人はイメージを持たずにはいられないというのはすごく皮肉なことだし、それを解決する方法は宗教に頼るしかないのかなあと思いました。（2年女子）
（「それを解決する方法は宗教に頼るしかないのかなあ」というあたり，まだ「宗教」というものを割と狭く捉えているように見受けられます．この講義を通じて一緒に考えていきましょう．）

疑問に思ったのは、なぜ釈尊は苦行をすることで心の平安が得られると思ったのだろう、という事だ。今までの生活が比較的裕福だったから、今度は今までの生活とは違った事でもしようと思ったのかしら?
今でも仏教のお坊さん達は修行やっていますよね？（宗派によって違うかもしれませんが。）修行って、仏教という宗教の中でどういう意味を持っているのですか?（3年女子）
（「仏教における修行論」ですね．これはいずれ講義の中で取り上げる予定です．一つだけ言っておくと，「修行すると功徳がある」という考えもサンスカーラの一つです．）

人間は見込みの世界に生きているという認識をし、それにより見えなくても良かった現実にぶつかったときに生じる問題、悩みがある。―釈尊はそれに立ち向かった。これを聞いて釈尊は当初釈尊の父が心配していたような気弱な人間ではないな、と思った。人間が『～のはずだ』の世界に生きているのが現実でも、その現実を受け入れ、それに立ち向かう人間はなかなかいない。やはり釈尊に定められた運命だったのではないだろうか。
それから聞き落としたのですが、王子のころ気弱だった釈尊に、父がつけた名前のところで、『ヤジョーダラー　ラーフラ』というメモがあったのですが、これはふたつでひとつの名前ですか？あと、その意味が知りたいです。（2年女子）
（ヤショーダラーは王子時代の釈尊の妻，ラーフラは二人の間に生まれた息子です．それぞれ，「栄えある女性」「邪魔する者」という意味を持っています．）

【総評】皆さん，サンスカーラに興味を持ってくれつつあるようで安心しました．次回以降もサンスカーラを中心に説明していきます．（鈴木隆泰）

宗教文化研究（仏教文化）

アジア文化論研究室

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