アジア文化論I／宗教学 2004/6/25 No. 10

6/25 授業の感想10号と回答

感想10号（総数 168名：県大生 75名，山大生 93名）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

今回は，最初に『ラーマーヤナ Raamaaya.na』を紙芝居風に見ていきました．その後，シヴァ信仰へと話題を移し，最後に「本来のヒンドゥー教が持つ宗教的寛容性」を確認しました．

今日授業で習った「宗教紛争」という名目で人々が殺しあうという問題は現在の中東の問題にも同じことが言えると思います。結局宗教の本当の意味を知らない一部の人間が自分たちの利益のために何らかの口実をでっち上げただけなのではないかと思います。（1年女子）
（そういうものもあるでしょうし，「宗教の本当の意味を知っていながら，一部の人間が自分たちの利益のためにでっちあげた」ものもあるでしょう．いずれの場合でも，「宗教戦争は一部の人間が自分たちの利益のためにでっちあげた」という点で同類です．）

ラーマーヤナの神話はとてもおもしろかったです。特にハヌマーンがラクシュマナのけがを治すための薬草をとるために山の頂上を切り取ってしまうところは、現実にある山の形の由来にもなっているのがよかったです。前回も思いましたが、やはりヒンドゥー教とキリスト教は似ている点がいくつもあるように思いました。ヴィシュヌとラーマの関係がキリスト教の父なる神と子なるイエスの関係に近いという話はとても興味を持ちました。（1年女子）
（キリスト教では，父なる神は神として存在し続けながら，ひとり子にして神自身そのものであるイエスをキリストとして降臨させた（受肉化した）と考えます．ヴィシュヌのラーマへの化身（アヴァターラ，受肉化）も同様で，ヴィシュヌはヴィシュヌとして存在し続けながら，自分をラーマとして受肉化しました．だから，ラーマとスィーターの結婚をヴィシュヌが祝福したり，どちらもヴィシュヌのアヴァターラであるラーマとパラシュラーマが遭遇しても問題ないのです．）

(1) 気になったのが、ガネーシャに牙を投げつけられたお月様のその後です。どうなったのですか？あと絵によって牙がないのが右だったり左だったりしたような・・・
(2) 先生、三神一体ということは、VisnuとSiva、Brahmaは基は同じでVisnuhaSivaでもありBrahmaでもあるということですよね？（1年女子）
（ (1) 牙がその後どうなったのか不明なのです :-)
　(2) 三神一体（トリムールティ）では，ブラフマー＝ヴィシュヌ＝シヴァです．その考えのもとで，ヴィシュヌ派の人は「シヴァ派の人はシヴァを通じてヴィシュヌを拝んでいるのだ」と考え，逆にシヴァ派の人は「ヴィシュヌ派の人はヴィシュヌを通してシヴァを拝んでいるのだ」と理解しています．このような場合，理屈ではヴィシュヌ，シヴァ両者を成立させる，より高次の何ものかが背後にあることが予想されますが，それを意識している人は多くありません．）

ドゥルガーの絵のほとんどにライオンが描かれていましたが、なぜですか？インドにライオンはいるのですか？（1年女子）
（ライオンはドゥルガーの乗り物です．今ではかなり少なくなりましたが（レッドリストに載っています），インドにもライオンがいます．サンスクリット語ではシンハと言います．シンガポールはインド語の「シンハ・プラ（ライオンの街）」に由来しています．手塚先生の「ジャングル大帝」をパクったとの評判も高い「ライオン・キング」のシンバも同語源です．）

(1) 男が生まれないと先祖の崇拝をする人がいなく、男を産もうとして人口爆発がおこったという話がありましたが、文化人類学で同じような内容をまなびました。そこでは死んだ人と結婚し、その兄弟と子供を作ることがゆるされているそうなのですが、インドのこの時期にもそのような考えもあったのですか？
(2) また、今日はいろんな神様がでてきてあたらしいはっけんでいっぱいでした。先生が見せてくださった絵は、いつごろ書かれた絵なんですか？この時代に書かれた絵なのなら、影の書きかたや、遠近法などが発達しているな、と感動？しました。
(3) また手がいっぱいある絵が多いのですが、上のほうにある手は花をもっているのが目立ちましたがその人と関係のある花なんですか？（1年女子）
（ (1) インドの寡婦の問題は深刻で，そのような救済が得られる人は非常に少なかったはずです．
　(2) あの画は 19c のインドの画家バルマーによって広められた画法に基づいています．「神さまのブロマイド」などと呼ばれることもあります．参考文献（インド神話入門）に載っています．
　(3) 神話の由来や解釈はいろいろあって，詳しくはよく分かりませんが，無関係ではないはずです．）

イスラームが長いことインドに根付いていたのにある時期を境にヒンドゥーと対立してしまった話は、日本のせいで分裂してしまった朝鮮半島みたいだと思いました。（1年女子）
（もちろん，朝鮮半島の分断に日本が全く無関係とまでは言いませんが，より直截には，ソ連とアメリカの覇権争いが原因なのではありませんか? ）

今日のラーマーヤナの話はとても面白かったです。展開がかなりうけたというか、私好みでした。世界史で出てきたので知ってはいたけど、ちょっと難しそうで読む気になりませんでした。でも話を聞いててとても読みやすそうだったので読んでみます。ヒンドゥー原理主義者の話が少しでましたが、先生の言うようにめちゃくちゃな人たちだと思います。ヒンドゥーの大きな特徴である宗教的寛容を完全に無視しています。これを矛盾といわずに何と表現しましょう。（1年男子）
（矛盾であるのみならず，害毒ですらあります．）

ラーマーヤナにでてくる人は、神様でなく皆人間なんですか？（1年女子）
（「人」ですから人間です．）

ラーマーヤナ、これこそがRPGの王道といった感じでした。シュールパナカーのその後についても気になるところです。
一方、シヴァの神話もそれに負けず劣らず、息子の首を切ってしまう時点で、ヴィシュヌとは正反対の性格をしていて、それもまた良かったです。また、奥さんには滅法弱いといったところが、かわいげがあって良かったです。あと、カーリーの強さには圧倒されるものがありました。（1年男子）
（カーリー，最強です．）

カーリー~~カーラー~~が何者なのかよくわかりません（1年女子）
（今回の授業を受けて，あなたの感想はこれだけなのですか? 何れにせよ，カーリーのどこがどのように分からないのか教えてもらわないと，お応えしようがありません．）

ラクシュマナが射抜かれている場面のイラストで、泣いているラーマの横にしゃがんで、ラクシュマナを見ている髭の生えたひとは、ラーヴァナなのですか？顔の数はないけれど、似ている気がします。今日は先生の研究室にある、カーリーのイラストでいつも気になっていたことが分かってよかったです。私としてはシヴァとパールヴァティーは二人でひとつだから、カーリーになっているとシヴァは動けないという説のほうが好きです。
また、カトリックとプロテスタントで結婚の観念が違うということに驚きました。（1年女子）
（下線部：似ているけれど別人です．そうでないと余りに辻褄が合いません．）

人口爆発では完全な男女差別が見受けられますがヒンドゥーは女性崇拝なので矛盾していると思うのは私だけでしょうか。伝承の中で女性崇拝が薄れたとは考えがたいですし。　カトリックとプロテスタントで離婚の観念が違うことに驚きました。私は個人的にプロテスタント派だと思います。二人三脚で不自由な面もありますが様々な想いを共有したりと、豊かな人間になれると思うからです。（1年女子）
（「自分を含めて，自分の先祖が悪霊になるかならないか」が掛かっているわけで，こっち側に立って「差別だ」と断罪することはできません．矛盾を抱えながら全体として大きな統一を保っているのがヒンドゥーという文化の一大特徴です．）

私は、カシミール地方の宗教対立は元々仲良くなかった二つの宗教間で起きた問題だと思ってました。それが、本当はヒンドゥー教には宗教的寛容の考え方があったにもかかわらず虚しくも崩れてしまった結果だと知りショックを受けました。これはインドがイギリスの植民地だったころに、イギリスがイスラム教を利用して独立を阻止しようとした時から崩れていったんでしょうか？（1年女子）
（イギリスはイスラームだけを利用したわけではありません．ヒンドゥーとイスラームの両者は民衆レヴェルでは融合していましたが，権力者レヴェルでは反目がありました．イギリスはそこをつついたのです．）

ラーマーヤナの話、とても面白かったです。話のいたるところに satya が出てきて、satya の力って本当に凄いんだなと感じました。（1年女子）
（凄いです．）

なんで男しか先祖崇拝ができないんでしょうか？？決まりとはいえそれがインドの人口爆発の要因の１つなのに・・。（1年女子）
（宗教の論理とはそういうものなのです．私たちだって，全ての行動に理由がつけられるわけではないでしょう?　もちろん，私は「男しか先祖崇拝ができない」というヒンドゥー教の考え方は好きではありません．）

ネズミに乗った象の姿の神が居るとは聞いていましたが、カピバラのような大きなネズミだと思っていました。普通のネズミだとは…、ガネーシャは何故ネズミを選んだのでしょう。男性でないと先祖崇拝ができないのは何故なのでしょうか？（1年女子）
（先祖崇拝に関しては一つ上の回答をご覧下さい．
　「どうしてネズミか」というご質問ですね．うーん，困りました．どうしてなんでしょう (^_^;　今，資料を一冊学生さんに貸していて，もしかするとそれに書いてあったかも知れませんが，今現在は分かりません．ごめんなさい．
　想像するに，「小さなネズミが大きなゾウを載せる」ということ自体に，神の御技を示そうとしたのかも知れません．）

(1) 他の神々についての神話も存在するのでしょうか?そうだとしたらそれらはすべて叙事詩として書かれているのでしょうか？
(2) また、ラーヴァナやカーリーもそうでしたが、顔や手足が人間よりも多く描かれていることには何か意味があるのでしょうか?人間との差を表すためなのでしょうか…（1年男子）
（ (1) 叙事詩以外にも，プラーナ（古潭）と呼ばれるものが神話の集大成になっています．プラーナはたくさんあります．
　(2) そうです．顔がたくさん＝同時にいろいろな方向を見られるように，手がたくさん＝同時にたくさんのことができるように．　その特徴を，神は善いことのために，悪魔は悪いことのために使います．）

今日の話を聞いていると、カーリーはとてもいい奴だなと思いました。なんか正義の味方のヒーローみたいな所が、私も気に入りました。でも、ドゥルガーから現れるってことは、普段は存在してないってことですよね？結構貴重ですよね。（1年女子）
（カーリーを「いい奴」って，あなた，そんな，神さまにむかって．．．しかも相手は最強の女神カーリーですよ!! (^^;　
　カーリーは，バクティを捧げる者の前にはいつでも現れます．それがバクティに基づくカーリー信仰です．）

ラーマーヤナは桃太郎なんかよりずっとおもしろいですね。ただ、猿が出てくるなら鳥や犬も出てくるのかなと期待していたのですが出てきませんでしたね。あらすじの説明の間、絵に見入っていて詳しくノートを取れなかったので、あらすじをホームページに掲載するかプリントにするかしていただけないでしょうか~~もらえないでしょうか~~。ヒンドゥー教が元々はイスラームと仲が悪くなかったというのが驚きでした。今まで仲の良かった人と突然殺し合いになるほど仲が悪くなるなんて宗教の力というのは凄いんだと改めて思いました。日本はどうしてこんなに宗教に関心が無いのでしょうか。生き方を左右されてしまうのは嫌ですがそこまでよりどころにできるものがあるのは少しうらやましい気がしました。（1年女子）
（講義用のメモをもとに PDF ファイルで用意しました．こちらをどうぞ．）

ガネーシャ~~ナレージャ~~は母との約束を守ろうとしたのにシヴァはガネーシャ~~ナレージャ~~の行為に対して怒ってガネーシャ~~ナレージャ~~の首を切り落としてしまうなんて‥本当驚きました！！でも、その後に妻のパールヴァティー~~パールパーティ~~に叱られ、生き返そうと像の頭をガネーシャ~~ナレージャ~~につけるのには面白おかしかったです（笑）シヴァも奥さんには敵わないんだなって思うと神話の話でもより一層現実味があるなって思いました！！
あと、カトリックでは離婚は認められていないのにははっきり言って私は嫌だなって思いました。もし、夫が子供に虐待をして離婚をしたくてもできないのならものすごく辛いはずだから、選択権は必要だなって思いました！！（1年女子）
（神さまの名前，ボードに書けばよかったかも知れません．
　キリスト教の「予定説」に基づいて，「カトリック教徒が虐待をするはずがない」という建て前があるのです．）

今回の授業で少し疑問に感じたのは、ヴィシュヌやシヴァ妃の化身への崇拝です。インドの人々はそれらをどのように信仰しているのですか。やはりその神の姿絵（プロマイド？）を家に飾ったりするのですか。自分が好きな神様に、実際人々がどの程度の執着をしているのか少し気になりました。よろしければ教えてください。（1年女子）
（信仰の度合いは人によって様々です．ヒンドゥー教は，村の神，家の神，自分の信ずる神が併存する世界ですし，また，自分の望みに従っていろいろな神を拝む人もいます．「これでなきゃ絶対だめ!!」という排他的な考え方よりはずっとよいと思っています．）

基本はパールヴァティーだとおっしゃってましたが、それがドゥルガーになって、それから、ドゥルガーの怒りが MAX になったとき、カーリーが現れたんですよね？じゃあ、怒りが静まれば、ドゥルガーやパールヴァティーに戻るのですか？（というか、戻れるのですか？ドゥルガーの額が割れて、そこから現れた、とおっしゃってたような気がするのですが）…まさかそのまま暴走、はないですよね？（1年女子）
（暴走，それじゃエヴァと同じ．．． :-)
　神話にはいろいろなものがあって，紹介した神話に則れば理屈の上ではあなたの指摘通りになるはずですが，カーリーの信者にとってはカーリーはいつでもカーリーのままで存在し続けています．）

今回の授業でシヴァの魅力に気付きました。今までは踊るシヴァ神とか、怒りの神とかでなんだかよくわからないけど強いのかな？と、思っていました。だけど、恐いイメージと優しいのイメージが存在すること知りました。へぇすごいじゃんシヴァ！！（笑）それに奥さんに弱いというところもツボでした！そんなシヴァ神に魅力を感じたのでした。（1年女子）
（男性はたいがい，女性には弱いものです．特に奥さんには．．． (^^; ）

ラーマーヤナもシヴァ一家もとてもおもしろかったです。それでもって、先生は、カーリーが好きなんですよね(＾_＾)
インド地方のひとにはどうして人間くさい神様の方を好むんですか？欧州などはイエスや聖人を好むみたいですが。
あと、ガネーシャ~~ナレージャ~~の頭を切り落として像の首をつなげたら元にもどるってすごいですよね。今の科学の知識をふまえたら、蘇生したガネーシャ~~ナレージャ~~の意識は像ですもんね。そう考えたら、少しホラーでした。（1年女子）
（あなたの信頼する「おやじさん」「おふくろさん」の前で，あなたは襟を正して畏まりますか? むしろ甘えるのではないでしょうか．それがバクティ（信愛）です．バクティ信仰に基づくとき，インドの神さまは「強くて慈悲深いおやじ・おふくろ」のイメージと重なります．）

待ちに待ったラーマーヤナのお話、とても興味がわきました。たぶん、この授業で扱って下さらなかったら~~くれなかったら~~知ることがなかっただろうと思いました。感謝します☆今度一度ゆっくり本を読んで見たいと思います！
あと、インドの人口爆発の原因に、男の子が生まれないと先祖崇拝ができないから男の子が生まれるまで生み続けることにあると聞き、世界一人口が多い中国について考えてみました。中国では女の子よりも男の子が生まれたほうが喜びが大きいそうですが、一人っ子政策が行われているので、もし女の子が生まれてもインドのように次の子・次の子・・・というわけにはいかないですよね。これによって人口増加の抑制をしているわけですが、インドにもこのような規制をかけることは宗教的に難しいのでしょうか？？また今現在、インドに人口増加を抑制しようという試みは行われているのでしょうか？（2年女子）
（中国における一人っ子政策は，その実効性が疑われています．それから，インドでもし法制化をしようものなら，国がひっくり返るほどの騒動になると思います．）

歴史を勉強し始めたころから、なぜ〝宗教戦争〟なんて言葉が存在するのか、不思議でした。仮にも信仰の対象が、他の宗教の排斥なんて血生臭いことを容認してるなんてことは無いだろうと思っていたからです。今回の講義で(前から出てきていましたが)、宗教的寛容という言葉はまさに私が疑問に思ったいたことに通じるものでした。昔はうまく共存していたイスラームとヒンドゥーが、今になって血を流し合っている。これが先進国の下の犠牲だと思うと悲しいですね。
ムスリムがジャーティの一部だったという話には驚きました。初めて聞きました。そうだったんだ…。
シヴァの奥さんの話が面白かったです。女は怒らせると怖いのは昔も今も一緒なんですねぇ～。（1年女子）
（怖いです（ぼそ）．．．
　イギリスは，元々あった両宗教の指導者間のわだかまりに目をつけ，そこを刺激していったのです．）

YARA TUM KAHAN?　ってどんな意味なんですか？？（1年男子）
（ギタドラ語というのがあるのですか? すみません，よく分かりません．）

シヴァに関連した話はツッコミどころ満載でとても面白かったです。正論を言う息子にキレて首を飛ばす旦那、息子の頭が象になってるのにそれで許している奥さん、この規格外っぷりは他人様のとこの神様だから笑えますが、自分のとこの神様だったら正直笑えません。（1年男子）
（ヒンドゥー教徒に生まれなくてよかったですか? ）

シヴァの奥さんは腹がたつ敵を殺して血を飲んだりするとは・・・ちょっと残酷な感じがしました。（1年男子）
（だって，血が地面に落ちるとそこから新たな悪魔が生まれてきてしまうのですから，飲んでしまうのもやむを得ないのではないですか? ）

シヴァの子どもは勝手に像の頭にされて怒らなかったのかな？　シヴァの膝に座ってる写真とかあったからなかはわるくないんだろうけどさ。インドの神様は人間的といわれてましたけど行き過ぎな感じがします。（2年男子）
（そうそう，行き過ぎ (^_^;　「そこまでせんでもよかろーもん」って感じですよ．）

今回の講義を受けて、ますます何故インドから仏教が伝来したのか不思議になりました。（あまりにも仏教とヒンドゥー教に違いがありすぎるから）（1年女子）
（そんなことはありません．仏教とヒンドゥー教は似通っているところがたくさんありますよ．広い意味でいえば，仏教もヒンドゥー文化の中で育まれてきたからです．）

(1) インドの人口増加の原因の一つが「男の子でないと先祖崇拝できない」という~~ジンクス~~のせいなんだ、と初めて知りました。
(2) 私は、カトリックの学校を卒業しましたが、「男性女性二つの力」が合わさって初めて力を発揮するんだ、という話は初めて聞きました。リンガとヨーニが一対になっているのも、その考え方と同じなんでしょうね。
(3) シヴァの息子が首を切り落とされた話には、驚きました。日本の神様は良いことだけをする、という考え方が一般的なのでまさかと思ってしまいます。（1年女子）
（ (1) あれはジンクスではなく「教義 dogma」です．
　(2) では「予定説」は教わりましたか?
　(3) 日本の神さまの中にもいろいろな性格の神がいます．何せ八百万の神ですから．それに祟り神もいますし．）

プロテスタントとカトリックでは男女の存在の考え方が違うということに驚きました。でもどっちの考え方も正しいしどちらも納得できると思いました。（1年女子）
（お見事! ）

ラーマーヤナの講義中ずっと気にかかっていたことがあるのですが、ウルトラマン兄弟の中にハヌマーンというインドのウルトラマンがいた気が・・・。しかも風も操っていました。ということはやはり？こんどちゃんと調べておきます（笑）（1年女子）
（調べておきました (^o^;　　いやー，これは知りませんでした．教えてくれてありがとう．）

昔の日本から考えると女性崇拝はありえないので、女性崇拝といわれると、女性として嬉しくなりました。（1年女子）
（古代遺跡から出土する土偶に見られるように，日本にも古くは女性崇拝がありました．日本神のトップである天照大神も元来女神です．）

女性が男の子を産みたいためにリンガ崇拝をするということが今でもあるということに驚きました。男でないと先祖崇拝ができないというのも初めて知りました。そのために今でも人口爆発が進んでいるのですね。女の私からしたらちょっと男優位な感じがしてその現実を受け止めることができません。だけどそれが文化の違いだと思うので尊重しなければならないのですね。（2年女子）
（この場合の「尊重」というのは，納得して自らに受け入れるということではなく，違うものは違うものとして，部外者の文化・ものの見方に基づいて価値判断をしない，という意味です．そして学べることは学び，向こうにも教えられることは教え，相互に高めあい共感しあっていくことが理想です．）

インドとパキスタンが分離独立したのは、宗教戦争によるものだということは知っていましたが、まさか対立している宗教同士がもともと数世紀にわたり共存してきたものだったとは驚きでした。今まで認めあって生きてきたのに、よくお互いに憎しみあい、殺し合うことができるなと思います。宗教的寛容さがヒンドゥー教の特徴なのに、それをも実行できない人間の弱さと醜さを感じました。（1年男子）
（悲しいかな，人間はふとしたことで狂気に走ることがあるのです．私たちだってそうです．それほど「上等な生き物」ではないことを認識しておくべきだと思います．何せ同類同士で殺し合うのですから．）

シャクティの女性崇拝の話で、女性は万物を生み出す根源であるという所がとても印象に残っています。インドの文化のそういった生命現象を敬う姿勢は温かみが感じられ、好きだなと思いました。ラーマーヤナの話は絵を付けて説明していただいたので、とても楽しむことができました。これまでの授業を通して宗教的寛容の理解がとても深まったように思います。（1年男子）
（それはよかった :-) ）

ラーマーヤナの話が面白かったです。こうして見ると様々なものに影響を与えていることを実感しました。インドだけではなく他の国の政治や宗教にも深く関係していることはとてもすごいことと思います。次回からは近世インドですが世界史を思い出します。奴隷王朝やガズナ、ゴールが懐かしいです。そして今思い返すとイギリスの帝国主義は本当に嫌な気分になります。自分たちの都合でカシミールやバングラデシュの問題をつくり円卓会議などと言っておきながら結局は今のこのような事態を招いてしまったことは非人道的だと思います。インド帝国を作り上げ散々利用しておきながらこの仕打ちです。それにただでさえややこしい大戦後の問題をさらにややこしくして模試の難易度を上げたという個人的な恨みもあります。関係ありませんが男女半分ずつの絵を見て僕はすぐにあしゅら男爵を思い浮かべました。忘れたくても忘れられないキャラでした。（1年男子）
（忘れられないよね．ネットを見ていたらこんなのもありました :-)）

私もカーリー~~カーラー~~が１番好きです。笑顔で殺すドゥルガーの方が私にとっては逆に怖いです。私が今回の授業で一番印象に残ったのはシヴァ~~シウ”ァ~~が息子の頭を切り落としてたという事です。いくらなんでも親が子供の頭を切り落としちゃダメでしょう！！しかもゾウの頭くっつけちゃダメでしょう！！ほんとシヴァ~~シウ”ァ~~が親じゃなくて良かったです。（1年女子）
（キーボードで「V」「A」と打つと「ヴァ」が出せますよ．
　たしかにドゥルガーの笑顔にはちょっと違和感を覚えます．　髪を振り乱しながら，なりふり構わずに悪魔を倒すカーリーには，我が子のためにはなりふり構わずに身を挺する優しい母親のイメージがだぶります．）

ドゥルガーは最高ですね。笑顔で水牛を倒したかと思ったら、今度は最強形のカーリーに変化する。血を手で受け止め、首に頭のネックレスをつけなど説明を聞いて、さらになんて恐ろしい人なんだと思いました。が、先生の子どもを守るためになりふりかまわない母親のようなものだということを聞いて、すこし感動しました。（1年女子）
（「すこし」だけ? (^^; ）

パールヴァティーがカーリーに変化しても彼女が貫いているものは「大切な者たちを護る」という一途な愛なのですね。
インドでは男の子が生まれるまで子供を生み続けるため人口の増加が止まらない、とのことでしたが人工授精での男女産み分け法を使うというのは駄目なのでしょうか。宗教的にとか倫理的に引っ掛かるのでしょうか。（1年女子）
（宗教・倫理以前にお金がありません．）

カーリーの絵が印象的でした。あんなにきれいで優しそうなパールヴァティーが、修羅のような姿になるのですね。でもあの姿は人間の姿をよく表しているような気がします。特に母親が、わが子が危機に直面したとき、内面はあのような姿なのでしょうね。ドゥルガーの乗り物はライオンというか獅子のようでしたが、その後でカーリーの絵を見たとき、「カーリーの乗り物はシヴァなのか」と思ってしまいました（笑）。ラーマーヤナの話は前に一度読みました。正直嫌いな話です。普通、助けたその瞬間に奥さんの貞操を気にしますか？ひどい扱いを受けなかったかを気にしますよね。本当に大切に思っているのなら。その後もスィーターにひどい扱いをしたくせに、彼女が地の国へ行くと、怒って取り戻そうとしたでしょう？身勝手な男のように思えました。
ところで先生はゲームに詳しいのですね。私もファイナルファンタジーをプレイしています。７を終わって、今は１０をしています。どちらも切ない物語ですよね。特に７は。（1年女子）
（おお，同志よ! エアリス万歳!! 10 が終わったら，是非 10-2 もしてみて下さい．そうすれば．．．（あとは内緒です）
　カーリーの捉え方，私もその通りだと思います．母は強し!! ）

ヒンドゥー教とイスラームが共存していたと聞いてとても驚きました。インドが一時期ムスリム王朝に支配されていたときも民衆に大きな混乱が生じなかったというのは、インドとパキスタンに分離した際の宗教的争いを考えると、とても信じられないことに思われます。仏教の寛容さとはまた少し異なると思いますが、ヒンドゥー教の宗教的寛容さにも驚くばかりです。またそれが民衆の意識に自然に取り込まれていることを考えると、ヒンドゥー教が本当にインドという国に浸透していたのだと感じました。（1年男子）
（ヒンドゥー＝インド文化ですから．）

ヒンドゥーは異質なものを排除しない、という言葉にとても惹かれました。仏教と同じように、人は違ってかまわないという、人として大切な事が言われているととらえました。こんなヒンドゥーも仏教も生み出したインドはすごい場所だなぁとおもいました。（1年女子）
（わたしたちはインドからそういう点を学んでいきましょう．全てが素晴らしい国もなければ，全てが駄目な国もありません．学ぶべきところは学び，真似してはいけないことは真似しない，それが大切だと思うのです．）

ヒンドゥーの特長の「宗教的寛容」はすばらしいなぁと思います。私はこれまで宗教というもの（または宗派）はそれぞれが独立し、互いに相容れないものと思っていました。人間としても寛大であることは理想だけれど、そうあることはそんなに簡単ではないと思います。しかし、寛大であれば、それは大きな力を持っていると思います。宗教でも同じではないでしょうか。
インドでの宗教対立が、権力者によって意図的に起こされたことを初めて知り、悲しくなりました。（1年女子）
（悲しい事実です．）

まず、今回、ラーマーヤナを通して、satya の考え方が少し理解できたような気がしました。この話の中では、カイラーサ山の頂上と、それを取り去った後の台形方の山に関する言い伝えが面白いかったです。
　次に、シヴァ神について、この神が本体で人気があるというのはわかるような気がします。人間とは弱い存在で、自分の欠点や醜さを、他者に混じることで隠そうとしている面があると思います。インドの人々は、強い力を持つ神と、自分たちの弱さを共有できると考えて、さまざまな表情を持つ神に親しみを感じるのでしょう。特に、カーリーの凶暴さには驚きましたが、これも私たち人間が共感できる一面なのだと感じました。
　最後に、ヒンドゥー教の宗教的寛容性に関しては、まさに無限の胃袋だと思いました。けれどそれが崩れ去り、多くの被害者を出す戦争となってしまったことはとても残念で、私たちはそこから多くのことを学ぶべきだと思います。次回も心して講義を受けたいと思います。（1年女子）
（インドの神は呼べば応えてくれる神，頼りになるおやじ・おふくろ，なのです．）

シヴァと妃とが半々で合体した絵は、男女は一対で完全であることを強烈に示していました。カトリックだけでなく、一般にも配偶者のことを、伴侶とかベターハーフとか言うことがありますよね。
今回インド社会で女性の力は認められ、崇拝されてもいたことを知りましたが、それは「産む力」に関してだけなのでしょうか。確かに最大の特徴なのかもしれませんが…。先祖崇拝は男性にしかできないとか、男子を欲しがるとか、女性が尊敬されていることと実際の状況とは別のことなのかなぁと思いました。
最後に宗教的寛容が特徴だったヒンドゥーに原理主義が生まれたこと、「原理主義者はヒンドゥー教徒を名乗るな！」とおっしゃっていたのが印象的でした。（4年女子）
（女性を同等の存在と見て崇拝していたのではなく，「命を生み出す力」に対して崇拝しているのです．今の日本から見れば「問題あり」ということになるのでしょう．たしかに私もそう思う点があります．しかし，女性一人あたりの出生率が下がり続け，人口構成比率がおかしくなっている（というか，はっきり言えば「日本民族の滅亡」に向っているわけですが）日本は，インドから学ぶものがあるのではないかと思っています．　否定するだけなら誰でもできます．実際，世の中には「否定すること」「文句を言う」「ケチをつける」だけが存在理由（レゾンデートル）ではないかと思われるような人もいます．　そういう人には決してなってはいけません．（あなたがそうだと申し上げているわけではありません．為念．））

【総評】『ラーマーヤナ Raamaaya.na』って本当に面白いですよね． RPG 好きの私にはとりわけ堪えられません．インド文化は素晴らしいです．そしてヒンドゥー教が元々持っていた宗教的寛容性も，私たちインド以外の人々が学ぶべき，インドの生み出した素晴らしい美点だと思っています．だからこそ，宗教感情が権力者たちによって悪用されて現代インドに至っている現実はとても悲しいです．（鈴木隆泰）

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