2002/11/15 No. 6

11/15 授業の感想6号と回答

感想6号（総数 90）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

今回はサンスカーラの時間論的解釈から入り，ついに“諸行無常”に至りました．“諸行無常”は次回も続けます．それからインチキ宗教・霊感商法・原理主義の問題にも言及しました．

宗教というものの意味をよく知って悪用する人というのは、許せないと思います。人はどんな人でも助けてほしいと思うことがあると思います。そんな時、偽りの救いの手であることに気がつかない人は多いでしょう。こんなに沢山の新興宗教があるなら、もっといい宗教家が出てくればいいと思います。（4年女子）
（いないんです．．．）

本当に初歩的な質問なのですが、サンスカーラとは、一言で言うと一体なんなのですか？？授業でいろんなところに出現してきて　頭が混乱して」しまいました。　サンスカーラとは　たくさん意味があるのですか？　
　不慮の死について，仏教の世界ではどのような言われ方をされるのですか？　（2年女子）
（「思い込み」と言ったら分かりやすくなったでしょうか? でも，あくまで講義で説明した内容が，サンスカーラの正しい定義です．
　教えを受けとめる側の状態・状況によって答は変わりますので，「絶対にこうだ」と言い切ることはできません．それが仏教です．）

最後の、「神への冒涜だ」と人間が怒るのは変だという意見には少し興味がわきました。
ある先生を慕っている生徒がいますよね。ある時、誰かがその生徒に先生への悪口を言います。当然、先生を慕う生徒は憤慨するはずです。信者が怒るのも多分こんな感じではないでしょうか？
話は変わりますが、学長はどんな考えを持たれた方なのですか？（3年男子）
（え? なぜ学長の話が?? 彼が僧侶だからですか? もしそうなら，彼の僧侶としての考えは私には分かりません．それとも君は，何か別のことを意趣しているのですか?
　神を先生に置き換えたんですよね．大きく違うところは，神は全知全能であって，その神を冒涜した人をも創造したことでしょう．当然神にはその冒涜した人を罰する力もあります．そうであれば，罰するのは神に任せておけばいいのではないでしょうか．）

私としては、ものは壊れてなくなり死んでいくだけという日本的考え方よりも、壊れたものは新しく輪廻して生まれ変わるというインド的考え方のほうが好きです。心の平安を常にもって生きていけるという意味では、こっちの方が楽なのではないでしょうか。（3年男子）
（そう考えた方が楽に生きられるなら，それがあなたの処方箋だったのです．）

インチキ宗教や霊感商法は不安を煽り，もともと 0であったのにマイナスの状態まで引き下げ，お祓い等で0（または0以下）に戻すだけということですが、仏教の教説はマイナスの状態からプラスの状態にするのですか？（2年女子）
（もともとマイナスのサンスカーラを持っている場合には 0 以上にするのはすぐには難しいでしょう．とにかく「現状よりもよい方向に」持っていくのです．）

サンスカーラをよい方向に発動させるのが仏教だとおっしゃいましたが、「えん魔大王が舌を引き抜く」というのは、どう考えても悪いサンスカーラのような気がします。（3年女子）
（閻魔様を恐れて，嘘をつかない善い生活を送ることができれば，結果的にはリンゴに近づいていったのではないですか?）

金スマという番組をご存じですか？この番組の中でよくある陰陽師のコーナーがあるのですが、やはり今回の授業で出てきたインチキ宗教じみていいる気がします。視聴率アップを狙っているだけのような気が…。
宜保愛子もそんな感じがします。サンスカーラだらけですいません。（3年男子）
（宜保愛子のインチキはほとんど証明されています．安齋教授の本を読んでみましょう．陰陽師，インチキです．）

時間論について自信がないのですが、私は次のように理解したのですが、正解なのでしょうか？「時間というものは人間と神が共同して作ることが出来るものだから自分の思い通りになるのだ!!」、「自分たちが創造者なのだからすべてが自分の思い通りになる!」と人間が思い込んでしまう。思い込んでしまう時点で、すでにそれは、サンスカーラである。だから、「時間を作り出す行為」＝「サンスカーラ」である。このように、時間論における「サンスカーラ」を理解したのですが、あっているのでしょうか？また、時間論における「諸行無常」である「過去を悔いない、未来を憂いない」についてよく分かりません。時間というものは常に移り変わるものであり、同じ状態になく、「今」しか存在し得ないのであるから、悩むだけ無駄であるということですか？
　最後に、先生が授業の最後におっしゃった事についてですが、「神が彼をこのような状態にした」とある牧師さんが言ったのですよね。その言葉に対して先生は深く考えすぎではないでしょうか。わたしだったら、「あー、そうか。彼はもう十分頑張ったから休めと神様が言っているのだろうなー。」と受け止めるかもしれないです。きっと天国へ行ってゆっくり休んでいるんだなーと思いたいです。サンスカーラの有効利用が必要ではないでしょうか。（2年女子）
（仰ることはその通りで，そのために，一度は私も納得できそうだったんです．でも，この世の中にある様々な悪や不正も全て「神の御業」で解釈していいのかとも思われ，結局分からないままです．どなたか教えて下さい．
　時間論について．やっぱり一度研究室にいらっしゃい．理解しているようでいて，微妙にずれている箇所があります．とりあえず前回の，
過去を後悔し思い悩むことや、未来を不安に思うことは間違った時間認識によるものでしかない。時間とは、そのような過去、現在、未来の一方向的、単線的なものではなく、現在の積み重ねとして創り出されるものである。従って、過去や未来を現在の自分と切り離し客観的に眺めることで心の平安を失うことは「心の病」であり、解消（宗教的解決）されるべき事柄である。
これが参考になるのではないでしょうか）

サンスカーラの有効利用で人それぞれさまざまな教説があるといわれましたが、その中でどの教えが自分に適しているのかなんてどうやって判断するんでしょうか？自分が求めるものとは違うものを選んでしまえば決して結論に達することはできないと思うんですけど…（3年女子）
（勝れた師匠に出会うことが必要だと思います．）

きょうのサンスカーラの悪い例である原理主義というのは宗教だけでの話ではないと思いました。政治上でも言えることだと思ったんですが、あるひとりの政治家に国民の「人気」が集まることはとてもこわいことであると思いました。小泉首相が就任したばかりの時そのような風潮があったので国民の熱が高まれば排他的になるかもしれないと思ったことを思い出しました。他を受け入れられない集団にどう対応していくか宗教の枠を越えて考えなければいけない問題と思いました。（2年女子）
（お，鋭い．他にも「アメリカの敵は世界の敵だ!」というアメリカの思考形式にも原理臭がプンプンします．）

インチキ宗教、霊感商法、わたしもこれについてはだいぶ考えたことがあったのですが、ほんとに人のちょっとした不安や弱い心を利用して最低だと思います。でもそのようなことが沢山ありすぎるのは、人々がどこか心の中で何かを頼りたいと思っているからなんだろうなぁと思いました。宗教とは人々を手助けするものだと思っているのですが、そういったインチキ宗教や霊感商法は宗教と呼べるのでしょうか...？（2年女子）
（「宗教」の定義にもよるでしょうけどインチキ宗教である以上，やっぱり宗教とは呼べないでしょうね．）

釈尊の時間の捉え方は、正統バラモン派のように時間が自分の支配下にあるものだと考えたり、自由思想家のように自分とは関係ないところで勝手に流れているものだと考えるのでもなく、自分の手の届かない過去に対する後悔や、未来に対する不安によって心を乱されることなく、今をきちんと生きることが大切だということなのでしょう。
今という時間は生まれ、消え、そして再び生まれるという意味において諸行無常であるという解釈でいいのでしょうか？（2年女子）
（前半，それで大正解です．後半，違います．その捉え方では輪廻の世界が前提となってしまっています．）

ある人の不安を取り除きたいと思っても、それがその人にとっては迷惑だったり、おしつけがましいと思われたり。よくあることだと思います。だから、安心を得るためにはどうすればよいのかという問いにだけ答える、というのが大切なのだろうと思いました。目の前にどうしようもないほどに苦しんでいる人がいて、けれどその人自身が助けを求めなければ手はさしのべないのでしょうか？（3年女子）
（相手がこちらの話を受け入れられる状態にあるかどうかがポイントになると思います．）

先生がお聞きになった聖職者のお話には、考えさせられた。しかし、どんなに理不尽な目に会っても全ては神の思し召しだと考えることで本当に心の平安が得られるのなら、それで良いのだろうか。仏教者だったら、どんな説教をしただろうか。いつも善行を積んでいた人が突然通り魔に刺される、安全運転していたのに飲酒運転のトラックに衝突されて死ぬ、こういう事が起きると人は「何も悪い事してないのにどうして」と自分の思い描くあるべき姿と現実のギャップに苦しむ。その苦しみをどう解消するのか。（4年女子）
（相手がどのような処方箋を求めているかで説教は異ります．「何も悪いことをしていないのに」と本当に思っている人にはそれなりに，「本当は悪いことをしていたんではないか」と思っている人には，それはそれでそれなりの処方箋があります．）

インチキ商法・・・引っかかるほうも引っかかる方だけど、やっぱり人間どうしようもない時にはン何かに頼りざるを得ない、弱さを持った生き物だから仕方ないのだろうか。
神の思し召し・・・他力本願のようで私はそういう考え方は嫌いだ。（2年女子）
（“他力本願”はいずれ講義で扱います．あなたが現在理解しているようなものではないはずですよ．）

不安材料を取り除くためのサンスカーラという話にはっとした。でもそれは使い方次第で善にも悪にもなる。宗教って難しいと思う。（2年女子）
（余り悩まずに．取りあえず笑ってみましょう．スマイル，スマイル　（＾ー＾）　）

今回は今までやってきたサンスカーラの意味から諸行無常の意味を習いましたが、不十分かも知れないけどサンスカーラの意味を理解していたので一応理解できました。そして仏教はサンスカーラを有効利用するから様々な教えがある、しかし不必要なサンスカーラを増大させないというルールがあると知りました。悪い例の1つに原理主義がありましたね。少し前、タリバンがバーミヤンの石仏を破壊してニュースになっていました。このケースでは攻撃対象が石仏で人ではなかったけど、人に向かう場合もあると思うので私は原理主義はやっぱり怖いと思います。（2年女子）
（よく勉強してくれていて嬉しいです．）

サンスカーラの有効利用は面白いと思いました。仏教は心の安定が第一なんですね。インチキ商法で思い出しましたが、テレビでアメリカの霊媒師が行方不明になった子供を捜すって言う番組があってわざわざ来日していたがすごく残酷なことをしていると思いました。途中で見るのをやめて結果は見てないけど（見つからなかったでしょうが）、親の心をもてあそんでいるとしか思えませんでした。霊媒師は写真とかで子供のいる場所を探し当てるとか言ってたけど、写真からでも見えるなら、来日してるなら、スタッフと一緒に探し回ればいいと思いました。
キリスト教のことは考えさせられました。山口市にキリスト教徒で勧誘するために自転車で走り回っている二人組みがいるけど、幸せなんでしょうね。
キリスト教とイスラームは根っこが一緒らしいですが、この世の出来事は神の思し召しという考えは一緒なんでしょうか。（2年女子）
（下線部：一緒です．全知全能 almighty な神ですから．
　よくあるインチキ霊媒師，インチキ霊能者の話，マスコミも一枚も二枚も噛んでいるんです．あなたのようにみんなが正しい観察眼を持ってくれればよいのですが．）

サンスカーラを学べば学ぶほど、自分の考えはサンスカーラで組み立てられているような気がしました。過去を後悔したり未来を不安がったり…確かに現在においてこれらはどうしようもないのですよね。どうしようもないことを悩んだところで、ただ時間の無駄。改めて感じました。（3年女子）
（でも，“分かっちゃいるけどやめられない”のが人間．できるだけ安楽に生きましょう．）

教説のルールでサンスカーラを不必要に増大させてはいけないという説明のたとえで、インチキ宗教や霊感商法が挙げられたとき、先生の怒りに感化されて私も腹が立ってしまった。逆に言えば、人の心の弱い部分を狙うことが簡単にできてしまうのも宗教。信じるという純粋なものが汚されていくことに恐怖を感じた。（2年女子）
（みんなももっと怒ろう!!）

サンスカーラを釈尊が必要としなくなったという話を聞いたとき、素直にサンスカーラが悪いものだという風に捉えました。しかし、今日サンスカーラの有効利用の話を聞いて、偉い人の考えが必ずしも全てではないのだと思った。人は偉い人、例えば先生の言葉などは有無を考えず信じることがあると以前授業で習ったことがある。どんな人にも間違いはある、それを頭において宗教信仰もおこなわないと全てが他力に依存することになり、その信仰はその人のためにならないと思う。（2年男子）
（間違って理解しています．釈尊は，自分はサンスカーラを必要としない状態に達したけれど，それを人に強要しなかったのです．彼自身は，サンスカーラのない状態を理想としていたことは間違いありません．）

今までの授業で、仏教は、心の平安を得るためなら、どんな方法で向かってもよいと聞いていたのに、不必要なサンスカーラは増大させてはいけないというルールがあるのには驚きました。（2年女子）
（よく考えるとそのようなルールがあっても当然だと思いませんか?　「心の平安」と「不必要なサンスカーラの増大」は正反対の方向にあるのですから．）

今日の先生は何だか熱かったですね…でもその気持ち分かります。排他的原理主義者やインチキ宗教。私もよく憤りを感じることがあります。排他的で攻撃的な原理主義団体は「聖戦」と称して、罪のない人々の命を奪ったりしますが、これを考えると、ヒトラーの行ったホロコーストも一種の宗教臭さを感じます。
インチキ宗教と言えば、少し前の話になりますが、あの織田無道と言うやつ！あんなインチキ男に聖職者ヅラされたくない！と思っていた矢先、案の定逮捕されて「ざまーみろ！」(失礼…)と心から思いました。（2年女子）
（織田無道の場合，別件の明白な容疑事実があったから逮捕されただけで，インチキな教えで人を不安に陥れたからではないですよね．もちろん，言論・思想の自由がありますから何を言い何を考えてもよいわけですが，権利には必ず義務がついてくるということを忘れてはいけないと思います．彼ら彼女ら（敢えて複数形です）が撒き散らす言葉や考えによって傷つき迷う人たちのことを考えると，もっと私たちは本当の意味での〈良識〉を持たなくてはならないと強く感じます．）

サンスカーラは有効に利用できることもあるんじゃないかなーって思ってたのですっきりしました。
仏教の教えを全然理解せずに人々をだましているような宗教などが仏教の名を語っていることは、仏教を信じ尊敬している人にとって屈辱だと思いました。あと、最近イスラム原理主義って言葉をよく聞くけど他の授業でキリスト原理主義もよっぽど危ないっと言っていたのを思い出しました。仏教にも原理主義があると言われましたが、なぜ「心の平安」を得る事を一つの目標として、そこに到達する方法に自由を与えている柔軟な仏教に原理主義的な考えが生まれたのかわかりません。仏教の聖典は多数だし、仏教の原理主義者はどのような教えを元に教義べったりの生活をしているのでしょうか？（2年女子）
（仏教の原理主義者は，そもそも仏教が持っている基本的性格を理解していません．だから恥知らずなことができるのです．）

インチキ宗教や霊感商法は、全くけしからんと思います。勿論今までもこれらに対して非難していたけど、サンスカーラを含め釈尊の考え、仏教がどういうものかを学んでいる過程にいる私の目で考えられる今、人の弱い部分や、宗教のいいところを逆手に取りお金を儲けるのがどう悪いか、深く考えることができます!　鈴木先生の講義を受けていて実際日常生活の様々なことをより深く考えるようになりました。（2年女子）
（この講義，やっててよかった!!）

インチキ商法等は不当にお金儲けをする手段なので許せませんが、インチキ商法などに限らず、日常の何気ない場面で「人としての弱さ」をお互い利用しながら暮らしている部分もあるような気がしました。商法などでなく(利益の損得が絡まないなら)だまされてる間、だまされている人は救われている・・・のかもしれないので、ええ、利益の損得が絡まなければ・・・騙しきってくれるのを前提に、騙されてみてもいいかなとか・・・少し思う。でも、私は騙す方に回るだろうなぁ。妄信的に騙されるほど何かを信じれるって、逆に少し羨ましい気がする。（2年女子）
（「どうせ騙すなら最後まで騙して欲しかった」なんていう歌があったような．夢から覚めたら浦島太郎，では洒落になりません．）

今日の授業で、サンスカーラについて、理解できたと思います。以前まではなんとなくという感じだったけど、今日はきちんと理解できました。サンスカーラは有効利用、活用すればよくて、惑わされなければいいということ。過程ではなく、結果が同じであればそれでよいという釈尊の考え方。インチキ商法の話になったときの先生の熱弁ぶりに驚きました。先生は、今のお坊さんは勉強が足りないと仰いました。私は、お坊さんにはならないけど、インチキ商法にひっかからないように授業を通じて仏教をしっかり理解したいと思います。（2年女子）
（サンスカーラをきちんと理解できましたか．それは大変よろしい!）

インチキ宗教に出くわしたら、すぐに先生にお知らせします！清原先生のことは本当にショックでした。死ぬって何なのだろう…と考えさせられました。私は清原先生とトンデモ本について議論し始めていたので本当に残念でなりません。もっとたくさんお話したかったです。清原先生が講義の中で「鈴木先生がトンデモ本に詳しく、本を持っている」と言われていたのですが本当ですか？（2年女子）
（たしかに「デムパ」な書物はいくつか持っています．でも，うちのスタッフで一番のデムパ通はまちがいなく井竿先生でしょう．是非連絡を取ってみましょう．さぁ，皆さんも今すぐに!）

以前、実家にいた頃突然丸坊主の薄汚い格好をした男性が宗教の勧誘に来たのですが、断ると振り向きざまに血相を変えて「地獄に落ちろ！！」と言われました。外見がショボイ人だったのでちっとも怖くなかったのですが、後々何かされるのでは...、とも思いました。私の実家は福岡市の早良区というところなのですが、最近内野という地区でミイラ遺体発見というニュースを知り、変な女性教祖の「私は仏の使い、私が世界を動かしているんだからぁ...」という発言を聞きとてもショックでした。今までこういうことはテレビだけの世界、ニュースで放送されてるのをただなんとなく見ていたという感じだったのが、こうして自分の身内の身近にまで迫ってきていることに不安を感じます。ちなみに実家と内野とはここから山大ぐらいの距離なんですよ！今日の講義の中でも「インチキ宗教は人を不安にしてやたらと金を巻き上げる」言われていましたが、こういう間違って認識してしまった人、自分で勝手に解釈してしまった人が世代を超えていまなお存在し続けるのは私達受け手側(安易に信じてしまう人)がい続けるからだとつくづく感じました。私はこういった変な宗教の勧誘を断るのが得意(？)ですからこれからもそうし続けようと今日の講義で一層勇気づけられました！（3年男子）
（その男も言うに事欠いて酷いことを言いましたね．そこまでインチキ臭いと逆に分かりやすいとも言えますが．）

カルト宗教やインチキ宗教がどんどん誕生し、悲しいことにそれを真にうけて信じてしまう人が世の中には多く居る。そのことはすごく悲しむべきことだと思います。人の弱さや脆さにつけ込み、本来宗教とはとても呼べない浅はかな思想で騙し、陥れ、最後には心の平安どころか逆に傷つけてしまう…そんな団体が増えていることに憤りさえ感じます。近年よく報道されるように最後には事件性を帯びてしまうものまであります。こう言っている私でもいつ、そのようなインチキ団体のターゲットになるかわからないし、一人一人がつよい心と正しいものを見抜く心眼を持たなければならないと感じました。（4年女子）
（でも人間って弱い生き物なんですよ．だから，平素から「まともな宗教」を信じているのが一番楽な方法かも知れません．）

サンスカーラについて私はずっと悪い物と考えていました。でも、仏教にもサンスカーラはあるというのを今日聞いて心の平安を得る事の出来るサンスカーラの存在を知りました。その人の不安を増大させるようなサンスカーラは曲者だけど、場合によってはその人のためになるサンスカーラもあるんですね。キリスト教とか、他の宗教は疑問に思うこととか、受け入れられない部分がどうしてもあるんですが、仏教は理にかなっていると言うか、納得してしまいます。不思議です。日本人の気質なのでしょうか。あと、清原先生の話で死ぬことに考えさせられました。悔しいような気分になりました。（3年女子）
（認めると認めざるとに関わらず，知らず知らずのうちに日本人の「背骨，屋台骨」には仏教が入り込んでいるのです．）

宗教がらみの事件をよく耳にするためか、インチキであるなしに関らず、宗教を警戒してしまう人は少なくないと思う。人の心の弱い部分につけこんででたらめを信じ込ませ、結局はその人を傷付けてしまうような宗教・商法は許せないが、それを警戒するあまりにすべての宗教に対して壁を作るべきではないと思う。話ぐらい聞いてみて、そのような考えを持っている人達もいるのだな、というぐらいに理解できればいいと思う。しかし、実際に本当に助けがほしいと思ったときに、この宗教はすがってよい宗教なのか、そうでないのか、私には見極める自信がない。（3年女子）
（難しい問題ですね．「話くらい聞いてもいいかな」と思っていたら，それがバリバリのカルトの場合もありますし．そのような状況に出会って，どうしたらいいか判断がつかなければ，私でよければ相談に乗りますよ．極力公正中立な立場からアドバイス差し上げます．）

現在を生きるということは、非常に難しいことだと思った。なぜなら、私たち人間は過去について何かしら後悔があるし、未来のことばかり気にしすぎてしまうことがあるからだ。未来に抱える不安が、現在の私たちの生活に影響を及ぼしてしまうことも多い。過去には戻ることが出来ないのだし、未来のことに不安を感じすぎていても、現在の状況が変わることはないのだから、今を一生懸命生きていくことは大切だと感じた。分かっていても、なかなかその通りに生きることは難しいが、釈尊はためらうことなく現在を生きていたのだろうか。
　宗教を利用して、人の弱みにつけこむ行為は本当に人として恥ずべきことであるが、私たちもこれは本当に信じてよい宗教なのかを見極める目を養わなければならない。そのためには、私たちが本当の意味で頼れる宗教が無ければならないだろう。
　原理主義という言葉は、よくテレビのニュースなどで耳にしていたが、こんなにも危険な考え方だとは知らなかった。今世界の様々な場所で、争いが起こっているが原理主義という考え方が無くならなければ、争いはなくならないのでは、と考えてしまいました。（2年女子）
（私は，釈尊はいつもいつも後悔することのないように生き続けた人だと思っています．もちろん彼も人間ですから，親しい人の死に接して悲しんだり，お腹が空いたり，そして最期は病で死んだりしますが，常に「自分のペースを守った上での全力投球」をし続けた人だったように思います．）

人は机の存在を、自分の目で見たり触って感触を確かめることによって認めるが、それは「認識の世界における存在の確認」でしかないという例はとても分かりやすかったです。感触や目でものを見て認識している私達は「物」の本当の姿というものを見ていないし、そのことに自分自身が気が付いていないということをとても不思議に感じましたが、納得できました。また、サンスカーラの有効活用について、自分なりの答えが出ずにいましたが、今日その有効活用とは何かが聞けてスッキリしました。インチキ宗教に関しては、心の平安を欲して宗教を求めている人々を、逆に宗教を悪用して騙すということは絶対に許されないことだと感じます。（2年女子）
（「納得でき」て「スッキリし」ましたか．よかったですね．．）

釈尊はサンスカーラを通さず、ありのままの世界を見た。しかし、人々には、サンスカーラを利用することで心の平安が得られるならばサンスカーラを利用しても良いと言ったことに、目標を達成する手段にとても寛容な宗教だなと思った。仏教はキリスト教やイスラム教とは違う味を持っているのですね！仏教の原理主義は自分達のサンスカーラを押しつけているので仏教とは呼べないのですか？（2年女子）
（マイナス方向のサンスカーラを増大させているなら仏教とは呼べません．）

手の届かない過去を悔いず、未来を憂えないという「今」をしっかり生きる考え方に、今まで自分が持っていた時間論について考えさせられました。自分が生きているのは確かに「今」であり、ここでしっかり生きることは大切なことですが、過去や未来について考えこんでしまうことのほうが多く、「今」をおろそかにしていたように思います。これでは前へ進めませんよね。気づくことができてよかったです。　　　
　サンスカーラは心の平安のために有効利用できるけれど、不必要に増大させてはいけないというところでインチキ宗教の話がでましたが、やはり許せないことだと思います。金儲けのためにサンスカーラを悪用し、困っている人をさらに陥れるなんて、宗教ではないし卑怯ですね。
　最近はイスラムやキリスト教の原理主義の恐ろしさをニュースなどでよく感じますが、比較的寛容な仏教にも原理主義があるというのは初めて知りました。自分と違う考え方を受け入れずにひたすら排除するこの考え方は嫌いです。でも宗教がある限り原理主義がなくなることはないような気がします。どうなんでしょう？（2年女子）
（宗教に限らず，「自分の言い分を疑うことなく，自分と相容れない意見の人たちを力ずくで抑え付けようとする」人たちは絶えません．だから学問が必要なんです．）

インチキ宗教と霊感商法という言葉を聞いて、思い出したことがあります。オウム真理教が世の中を騒がせていた時ですが、そのオウム真理教の支部が山口県美祢にあるサファリランドの近くにできるかもしれなかったということです。もし、できていたら、山口県人のなかにもオウム真理教を信仰する人が増えていたかもしれないと思うと、とても恐ろしいです。あとテレビとかのニュースを見ていると、そういうインチキ宗教に入る人々にはエリート（例えば、東大卒とか）が多いように思うのですが、何故だと思われますか？？不思議です。（2年女子）
（この件に関しては専門の研究もあるので発言しにくいですが，私見を述べれば，「探求心の方向性を間違えてしまった」という側面もあろうかと思います．）

インチキの話を聞いて、よく来る宗教団体の人に、逆に説いてみたいと思いました。宗教は人それぞれ違うのだけれども、なぜみんな他人にまで強制するのかな、と思っていました。本当は強制しないで、自分に合った宗教を信仰すればいいのに、と思います。対立するような宗教がなぜあるんでしょう？ずっと昔はそんなことなかったのでは、と思いました。（2年女子）
（きっと「あなたはまだ本当の信仰・真実に目覚めていないからそんなことを言うんです」みたいなことを言い返してくると思いますよ．もしそう言われたらあなたもすかさず次のように言い返してごらんなさい．
もし真実が一つであって，それがあなたたちの信じる宗教・神であるならば，是非ともパレスチナに行って人々の争いを止めてきて下さい．真実の神の力があるならできるはずでしょう? もしそれができたら，あなたの言う神を私も信じることにします．
）

私の知人にある宗教の信者がいます。その宗教団体はインチキ宗教というほど害を及ぼすものではないようです。しかし、その教祖は自らをブッダ~~ブッタ~~の生まれ変わりと称し、自分への信仰が命よりも大切である、というようなことを説いています。私はそのような教祖もその信者も、単なるナルシストではないかと考え（これは直観的にそう思っただけですが）、その知人と何度か色々と話し合いました。わたしは知人に信仰を断念することを望んだわけですが、結局、説得することはできずにいます。話し合ってみて感じたことは、私のような無神論者で唯物論者的な人間と、その知人のような信仰者は決してそう遠い場所に居るわけではないということでした。「宗教」と聞くだけで嫌悪感を抱くような風潮があるように感じますが、一度は自分の問題として「神」や｢宗教」について考えてみる必要があると強く思います。（4年男子）
（うーん，紛れもないインチキ宗教なり!! 君のように，冷静なうちにきちんと考えておくことが大切です．）

釈尊の、今という時間を大切に生きることが大切だという考え方は、私もよくします。だから、今しかないチャンスを逃さないように、後から後悔しないように、生きていこうと思います。
それにしても自分ではどうしようもなくなって、唯一頼れるものとして宗教に入った者にサンスカーラを悪用する人間がいるとは本当に許せませんね！！
もともと原理主義者の親を持ち、その考えを植え付けられてきた人間の中にも、いや何かこの思想はおかしいぞと疑問を抱くものがいるのではないでしょうかね？（3年女子）
（教育の力は凄いですからね．よっぽど何かのきっかけがないと，抜け出す方向に向かうことは少ないような気がします．）

小学校の頃祖父のお葬式で、亡くなってからの祖父の名前が書かれた木の板を見たとき、母に、その名前はいくらお金を出すかによって名前の最後の部分が変わり、地位も変わるということを聞き、死んでから新しい名前なんて必要ないし、地位もなおさら必要ないのに、それを金で売るなんて、なんて醜くあさましい制度を行うのだろうと寺に対して失望し、それ以来不信感を持っているのですが、この制度も、先生のおっしゃった仏教の教えとは異なる、寺の私腹を肥やすインチキの一つなのでしょうか？（2年女子）
（戒名（宗派によっては法名，法号とも言う）の話ですね．ひろさちや先生の本を読んでいただければ早いのですが．．．　では，少し腰を据えてかかるとしましょう．
　１．もしあなたが，「それは寺の私腹を肥やすインチキ行為だ」と言い切る自身があるのなら，遠慮なくそのように寺に言うべきです．もしそれでお寺との関係がどうなったとしても，あなたはお寺を信用していないのですから構わないはずです．同時に，お墓も引き上げてしまう方がいいでしょう．お寺を信用しないのであれば，お墓に埋葬して供養する・してもらう必要もありません．それはそれで全然問題ないと思います．
　２．そもそも「名前をもらう」というのはお金がかかるものです．お茶でもお花でもそうですね．
　３．戒名は仏弟子になったときにいただくものですから，本来は生前にもらっておくべきものなのです．そして仏弟子として正しく生きた延長に，仏弟子としての死が来るのが普通の順序です．でも，生前に仏弟子として修行できなかった場合には，死後にそれを行なえばよいという考え方が出てきました．それが現在の「追善，死後に戒名」という考え方です．今までできなかった修行を「追善」というかたちで行なうので，ある程度の金銭がかかります．
　４．要は，この問題は「あなたと寺の問題」です．きちんとあなた自身納得しようとするなら，礼儀を弁えた上で，遠慮なくお寺に尋ねてごらんなさい．それで向こうがきちんと答えられなければ，そこではじめて「インチキかも知れない」と疑う資格をあなたは得ます．）

私は自分の信じる神を創りました。そうすることで毎日を楽しく暮らしていけるようになりました。ですが、私はそれを他人に勧めようとは思いませんでした。自分一人を幸せにすることが出来る宗教が他人までも幸せに出来るとは思えませんでしたし、すべてを伝えることは出来ないと思ったからです。自己満足の宗教と他人に広めて金を巻き上げるようなエセ宗教。どちらが人に本当の心の平安をもたらすのか。私は答えを出しかねています。先生の意見を聞かせてください。（3年男子）
（お問い合わせの件，まず「他人に広めて金を巻き上げるようなエセ宗教」と言い放たれている以上，それが「本当に心の平安をもたらすか否か」を論じる必要はないと思います．「あなたが創った神が本当に心の平安をもたらすか否か」に絞って考えることにします．
　結論を申し上げれば，「それであなたが心の平安を得られているなら，それでいいのではないか．」と私は思います．それがあなたの処方箋だからです．ただ，「神を自分が創った」ということで，ひょっとして「自分は神よりも上だ」という意識が生じはしないかと少し気掛りです．でも，もしそうであったとしても，基本的にそれがあなたの処方箋である限りは，全く問題ないと思います．）

平家物語における「諸行無常」の話の中で、平家物語での「諸行無常」の引用は消える方に重点が置かれているとされていました。形成力（サンスカ－ラ）は常に湧き出しては消え、消えては湧き出すというとどめようのないものということを聞いて、確かに栄華を誇っていた平家が滅びていく様を表す、つまり消えていく方に重点を置いて用いられていると思いました。そのときにふと思ったのですが、『平家物語』という限られた作品の中だけではなく、日本の歴史という全体的な流れから見れば、日本は様々な支配者が権力を握っては新たに力を持ったものに倒されていきました。だからこのように歴史全体から考えるならば、サンスカ－ラの定義と同じなのではないかと思いました。（3年男子）
（長い目で見ればそうかも知れません．ちなみに，「サンスカーラの定義」と同じになるののではなく，「無常」が同じ意味になるのです．）

確かにインチキ宗教が他人から金を巻き上げたり執拗な勧誘活動で他人に迷惑をかけるのは間違っていると私は思います。けれども信者達が宗教団体にお金を払ったり、教祖達を崇拝するというのは、その人達がその行為によって救われるという事実によって、それは仏教やキリスト教などの宗教と何ら変わりはないように思えます。（2年女子）
（私もそう思いますよ．私は，悪しきサンスカーラを増大させるインチキ宗教のことを申し上げたのです．あなたの感想の意図がよく分からないのですが．．．）

「今」が一番大事だ、というのを聞いて、今までなんとなくは分かっていたけど、きちんと理解していなかったように思いました。今が大事だけど、過去のことを悔やんだり、未来のことを考えてばかりで、ちゃんと今を大切に生きていなかったからです。
私の知人はある宗教の信者なのですが、その宗教団体に多くのお金を寄付しています。その宗教を信じているので、それでいいのかもしれませが、何故お金が信仰の深さの基準とされていることに疑問を持たないのかということが不思議でなりません・・・。（2年女子）
（お金はものの価値を計る尺度の一つです．それで，「信仰の深さ」を計られる対象として，お金で判断しているのです．「これくらいのお金を投げ出せるほど自分は信仰が篤いんだ」ということの表明であり，中に入っている人にとってはごく自然な行為と受けとめられているはずです．問題は，その集団を抜出る・抜出た時に起こります．
　「お金を出す」→「信仰が篤い」→「大きな功徳」，このような図式は「その集団の中」だけで通じる論理ですから，その集団の外に出る・出た人に対しては，全部とは言わないまでも相当の金額を返却する必要があると思っています．もし返さないと言うのなら，そのこと自体，その集団がもともと宗教団体ではなく，金儲けの集団だったことの証明になります．）

サンスカーラーと現実とのギャップが苦になるから分からないところをほっておくということいついて、サンスカーラーはまだ分からない未来の出来事について発動するからそういった苦が生じるのではないかと思いました。ギャップが生じたときにがっかりするような事を考えるからそうなるのであってそれは不必要なサンスカーラーであると思うが、サンスカーラーの有効利用として常に最低最悪の状況を考えておけば、少々悪くたってまだ考えていたよりはましだと思えるから良いのではないかと感じます。この考え方は釈尊の説くサンスカーラーの有効利用とは異なるものですか？（2年男子）
（サンスカーラ，です．
　「最悪の状況を想定しておけば，どんな状況にも対処できる」という考え方ですね．たしかにそれにも一理ありますし，多くを望まないことは釈尊の考え方と一致する部分はあります．でも，それだけでは人生つまらないですよ．「心の平安」の中には「生き生き，溌剌と生きる」ことも含まれるからです．よっぽどの超人でない限り，何らかの支えに拠りながら，悪しきサンスカーラに極力惑わされずに生きていく道を選ぶべきではないでしょうか．少なくとも，私にとってはそれが処方箋です．）

【総評】皆さん，サンスカーラについての理解が深まってきたようで何よりです．（鈴木隆泰）

宗教文化研究（仏教文化）

アジア文化論研究室

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