7/1 授業の感想9号と回答
感想9号(総数 110名:県大生 84名,山大生 26名)の結果をお知らせします.「自分の意見が載っている,載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません.ただし「感想の内容」は評価対象となっています.
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原文の一部を修正したものがあります.
男子・女子の区別は氏名に基づく判断です.もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい.
インド二大叙事詩の『マハーバーラタ』(特に『バガヴァッド・ギーター』)と『ラーマーヤナ』を見ていきました.
- 行為の本質は結果ではなく、行為そのものであり、それがインドでは「生きること」そのものであるという話を聞いて、今年のセンター試験の国語の問題を思い出しました。遠藤周作の小説「沈黙」が出題されたのですが、そのなかで、夢を追ってフランスに行ったもののうまくは行かず、苦しい生活を強いられている女性が、「結果じゃないそれまでの過程が大切なんだ」と言って頑張り続けるシーンにとても感動しました。受験勉強においても、頑張った分だけ結果が伴ってくるとは限らない。その中で、重要なのは頑張ったその過程を認めることだと思った。このインドの思想は様々なところで見られると思った。(1年女子)
(本当にそうですね.)
- 普通の授業でインドのことを習うより先生の漫画やゲームなどとの関係を説明しながらしてくれる授業はとてもわかりやすいと感じました。まさかFFやDQの原点にまで関係しているとは・・・・・。毎回驚きの授業です。あとウルトラリンチ見てみたいです。古川登志夫さんはドラゴンボールのピッコロの声優さんです。先生ご存知でしたか?(1年男子)
(いやー,ドラゴンボールは見ていないんですよ.)
- 自分は日本とギリシャ神話について今まで興味を持っていましたが、インドの神話がこれ程身近だとわかった今ではインド神話についても興味を持つことができそうです。神話、英雄の話は世界中どこにでもあり、その土地の歴史、信仰、風土なども知ることができるのでとても楽しいです。インドはやはり satya に貫かれているのですね。(1年男子)
(是非インドの神話,そしてインドの文化について関心を高めていってください.)
- 私の地元にも信愛女子高校があるんですがこの高校ではキリストを信仰してます。ここでの信愛はバクティとおなじ意味ですか??(1年男子)
(バクティはヒンドゥー教の概念ですから,日本語としては同じであっても,とりあえず両者は分けておいた方がいいでしょう.)
- ラーマーヤナは、どこかで聞いたことのある話の集合体という感じがして、やはりいろいろな話の原点なのかなと思いました。バカヴァッド・ギーターの、「行為の結果より行為そのものが大事なのだ」、という考え方は、最近(?)の考え方で聞いたことがあるような気がするのですが、バカヴァッド・ギーターの考え方を引用したものなのでしょうか。(4年女子)
(たとえ宗教は異なっても,「真理」はそれほど変わらないのかも知れません.)
- ラーマヤナの内容は初めて聞いたのですが既に読んだことのあるような話ばかりで理解しやすかったです。漫画やゲームでは定番の英雄が悪魔から妃を奪還するというストーリーや「ブラフマーの矢」はここが原点だったのですね。最近古典の凄さを感じます。(2年女子)
(せっかくこの世に生まれてきたのに,古典を知らないなんて残念すぎます.親しんでください.)
- 結果よりも行為の方が大事というのは今日の授業のポイントだったと思います。日本はほとんどが結果主義であると言っても間違いではないと思うので、そういうインドの考え方も入れていくと日本も変われるるのではないかと思います。ところで日本にもこのインドのような考え方を持った宗教は存在するのですか。(1年女子)
(インド生まれの仏教は,やはり結果より過程を大事にします.他にも,キリスト教など,インド生まれでない宗教も過程の大切さを説きます.)
- ラーマーヤナのお話は確かに素敵な話で人気があったのもうなずけます。それにしてもブラフマンはこの話にあんなに無責任な形ででていて少しかわいそうですね。しかし物語にはそういう登場人物がでてこないと盛り上がりに少々欠けますね。
桃太郎の原型になったというのも意外でした。桃太郎は作者不明ではないのでしょうか?それなのにそこから由来しているとどうしてわかったのでしょうか?(1年女子)
(「原型なのではないか,と言われている」ということです.)
- ラーマーヤナがゲームや昔話の原点になっているのは面白いです。諸星あたる
アタルよりカイ・シデンの方が分かる人は少ないと思いました。(1年男子)
(どちらも分かれば最高です.ガンダムを見ましょう.)
- ラーマーヤナと桃太郎の話が関係していることが、おもしろいです。インドの神は、ウルトラの世界にも進出したのですね。ハヌマーンと西遊記に出てくる孫悟空との関係はないですか??英雄つながりや空を飛ぶことができるサルつながりなど。考えすぎですか??(1年男子)
(そういう説もあるみたいです.)
- 行為の本質は結果にではなく、行為そのものにあり、それはインドでは生きることそのものであると聞いて、とても素晴らしいなと思いました。また、今回はラーマーヤナの話が聞けて、とても楽しかったです。この話の中にも satya の重要性が描かれていて、さらにラーマーヤナについて興味がわきました。いつかラーマーヤナを読んでみたいと思いました。(1年女子)
(この講義をやっていて,毎年「ラーマーヤナを読みたいです」という感想をいただくのですが,いまだに読後の感想を頂戴したことがありません.是非お聞かせ下さい.)
- 今までは日本とインドに何の関係性も見いだせなかったけれど、この授業を受け始めてから日本とインドが実は密接な関係にあったことがわかってとても興味深いです。(1年女子)
(仏教は日本文化の基層を形成するに至りましたが,その仏教自体がインド生まれですからね.日本とインドの繋がりは,長く,そして深いです.)
- ラーマーヤナの話がとても私の中では今回の授業で印象的でした。私も下に弟がいるのでゲームをよくしたり、見たりしていたので、本当にロールプレイングゲームを聞いているような気になりました。
ところで、急に話は変わってしまうんですが、チャクラに似た形の忍者の武器みたいなのを見たことがあるんですが、あれはこのチャクラに由来しているものなのでしょうか?(1年女子)
(その武器を見たことがないので分かりません.ごめんなさい.名前が「チャクラ」ならほぼ確実でしょうけど,名前も分からないのでどうにもお答えできません.)
- 今日の講義はとても理解しやすかったです。日本の昔話である桃太郎の原型だといわれている、『ラーマヤナ』の話は特に面白かったです。私も『ラーマヤナ』の話は第6巻で完結するほうが好きです!第7巻は少ししつこく感じました。それにしてもいつの時代にも、シュールバナカーのように自分の愛を抑えきれず、兄をも使って泥沼にはしる女性はいるものですね。今も昔も女性の男性への愛し方は変わらないものですね。(1年女子)
(ええっ,そうなんですか... (^_^; )
- ヴィシュヌは権化したい時に自由に権化できるんですか?また、権化をするそもそもの目的というのはどんなことなのでしょうか?(1年女子)
(前者については Yes です.後者については,質問の意図がよく分かりませんでした.土着信仰や他の信仰を取り込む,という目的ではない別の何か,ということでしょうか.ポイントを明示して質問してもらえると助かります.)
- ラクシュマが射抜かれた時の絵を見て思ったのですが…ラクシュマの肌は青いはずなのにあの絵では肌色になっているのはなぜですか?あと、ブラフマーなどの神たちの額にあるマークは何を意味しているのでしょうか?一人一人マークが違うので疑問に思いました。(1年女子)
(肌の色については,うーん,「そう描かれている」としか言いようがありません.
神さまの額の標は「ティラク」といって,その神さまのシンボルマークみたいなものです.信者たちは自分たちの信奉する神さまのティラクを額につけるのです.)
- バクティ=信愛も子供が母親のお乳をほしがるのと一緒と考えると分かりました。それぞれ違うけれど、気持ちは同じなんだなと思いました。(1年女子)
(そうそう,同じなんです.)
- ハヌマーンの長い尾が燃えてる絵を見て、「しっぽが燃えてしまったために猿はしっぽが短くてお尻が赤い」という話を思い出し、インドと関係があるのかも、と思いました。しかし日本猿のしっぽは短くて赤いが、インドの猿は違うのだし、そこまで考えるのは・・・と思い直していたら、桃太郎はインド由来とのお話が!インドから日本に伝わっているものは本当に多いですね!少し関係があるのかもと期待してしまいました。少し見えなかったのですが、ラーヴァナがスィーターを誘拐していたときの絵で、下の方に描かれていた人達は何をしていたのでしょうか?(1年女子)
(トリックを仕掛けているラーヴァナ側の悪魔(様々なものに変身しています)と,彼らにまんまと騙されてその間にスィーターをさらわれてしまったラーマたちが描かれています.)
- ヒンドゥー教はバクティ教といってもいいほど、バクティ(信愛)を重んじ、行為そのものが生きることという考えは、結果より過程を大切にしていて、日本とは違いすごくいい文化だなとおもいました。(1年女子)
(疑問があるのですが,日本は昔から「結果が全て」の文化だったのでしょうか.今後のテーマの一つとしていきたいと考えています.)
- satyaの力を持てば誰でも神になれるのですか?(1年女子)
(satya と「神になる,ならない」とは直接関係ありません.)
- いつも思うことは、インドの絵はみんな無表情に近い顔をしているのはどうしてですか?ラーマーヤナの話の中でラーヴァナがスィーターを誘拐していたときの絵でも、スィーターが嫌がっている顔をしていませんでした。(1年女子)
(あれはおそらく作者の画風です.別の作者の画では顔の表情が豊かなものもありますので.
顔が無表情な場合でも,仕草や態度で表情を表す場合もあります.)
- 行為の本質は結果ではなく、行為そのものにあるという話を聞いて、オリンピックは勝ち負けじゃなく参加することに意味があるという話を聞いたことがあるなと思い出しました。
ラーマーヤナのお話は面白そうだと思いました。一度日本語訳を読んでみたいです。
余談ですが、この前、帰省したときにアニメ好きの友達に先生の授業でインドと関連するアニメの話がよく出てくると言ったら先生の授業にすごく出たがっていました(笑)(3年女子)
(「もぐって」もいいですよ〜 :-) )
- 「イリアス」と「オデュッセイア」をあわせたものの約8倍の長さで、世界最大の古典文学に値するマハーバーラタは、インドが世界に誇れる素晴らしい産物の一つだと思います。またインドの「深さ」を感じることの出来た講義でした。「バガヴァット・ギーター」の『行為の本質』についての定義も面白かったです。結果を出すために行為をするのに、その結果が第一ではなく行為そのものにあると聞いて、何だか考えさせられました。日本社会では絶対「行為の過程」より「結果」のほうが重要視されている気がします。インド社会で、このような考え方がカーストに繋がっているのにも納得しました。一つ聞き取れなかったのですが、「スリランカ」の語源はラーヴァナの出身のランカー島からきているのですか?(1年女子)
(「シュリーランカー(美しきランカー島)」がスリランカの語源です.)
- 名前について。最近、私生活で、人の名前をどう呼ぶかという事を考えていました。以前から、そして今回も先生は「その人の正しい名前で呼ぶ事はその人を尊重する時の基本的な行為」とおっしゃっていました。本当にそうだと実感しました。
外国人の友達に対して、Mr.Mrs.Missなどをつける代わりに「さん」をつけるか、それともその人の国ではファーストネームを呼び捨てなので、そう呼ぶか・・・。迷っていました。これからはその人に直接聞いてから、相手の呼ばれたい呼び名で呼ぼうと思います。相手を尊重するという事がどれだけ大事なのか、そして、それが、ちょっとした行動にも表れるということを改めて感じました。尊重する態度なしにお互いを理解できる事など有り得ないと思います。(2年女子)
(よし,よし (^_^) )
- 行為の本質が結果ではなく、行為そのものにあるということはよく聞く話だけど、行為そのものが「生き方」そのものに通じるというインドの考え方は初めて聞きました。「生き方」という自分の人生に関わるほど、インド人にとってひとつひとつの行為は大切なものなのだという印象を受けました。
また、インドには神様にまつわる話が本当にたくさんあっておもしろいなと思いました。その話もユーモアのあるものが多いし、しかし、感動したり、勉強になるものばかりです。それに、やはり、夫婦愛や親子愛など、どの話にも「愛」が感じられるのが魅力的です。だからこそ、信仰する人が多く、しかも、その信仰は中途半端なものではないのだと思いました。
それに、どの話にもほとんどsatyaの力というのが登場するので、やはり、インドにおいてsatyaは基本なのだということを改めて感じました。(1年女子)
(インドにおいては「信仰=生きること」に他なりません.)
【総評】『ラーマーヤナ』は本当に面白いですよね.次回はイスラームの問題,そしていよいよ映画『ガーンディー』を観ていくことにしましょう.(鈴木隆泰)
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