アジア文化論I／宗教学 2005/6/24 No. 8

6/24 授業の感想8号と回答

感想8号（総数 109名：県大生 82名，山大生 27名）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

シヴァとヴィシュヌを中心に，ヒンドゥーのパンテオンを見ていきました．シヴァに関しては「リンガ」と「シャクティ」，ヴィシュヌに関しては「アヴァターラ」と「バクティ」がそれぞれ重要概念になります．

今回はＳＩＶＡとＶＩＳＮＵの事について様々なことを学んだと思う。
ＳＩＶＡはパールバティーがいないと半人前であって、二人で一人前だという考え方をしていた。このような考え方がシャクティである。またパールバティーはドゥルガー、カーリーと変身してどんどん凶暴になっていく。はじめ私はあの本の絵を見たとき人の頭を刺したりとかはひどすぎではないかと思ったが、あれは母親の愛ということが分かり逆に尊敬した。今、日本では自分の息子を殺したりなどあのような母親が少なくなっている。もう少し見習ったらよいと思った。
ＶＩＳＮＵには１０の化身があり、色々な神話があるので楽しい。また、言ったもの勝ちという世界なので分かりやすく良い世界である。けれどそれを利用して今の「自称サイババ」がシルディ・サイババの生まれ変わりだだとと嘘を言って人をだましたり、悪いことをする人も出で来る。言えば勝ちという世界はいいのかは分からない！！（1年男子）
（権化（アヴァターラ）は「言った者勝ち」という側面がありますが，トリックを使って人を騙してお金を布施させたり，性的暴行を加えるなどの行為は決して許されません．つまり，「権化の宣言」は宗教の範疇に入りますが，詐欺や性的暴行は犯罪の範疇なのです．）

くじゃくがへびよけになるそうですが、それは、インドの考えですか？？現実、今でもへびよけとして、利用しているのですか？（1年女子）
（孔雀は小さな蛇を餌にします．百科事典にも出ています．質問してくれるのはありがたいのですが，まずは自分で調べる習慣をつけましょう．）

インドの神様は２人で一人前と言われていることが面白いと思いました。プロテスタントは二人三脚、カトリックは二人二脚そしてシヴァはカトリックと同じと分かりました。そして、男女一体パワー＝シャクティという言葉を知りました。奥さんが前にでているときは旦那さんは奥さんを支え、その逆もあると聞いて、とてもよい関係だなとおもいました。（2年女子）
（そうですね．）

インドにおいて仏教は衰退してもヴィシュヌ~~ビシュヌ~~の化身としての分身としてのブッダへの信仰が残っているということは考えてみれば実はすごいことなのだと思った。ブッダがヴィシュヌ~~ビシュヌ~~の化身だと言ったもの勝ちのような感じで言われ始めたのかもしれないが、その信仰がずっと続くというのは並大抵のことでないように思う。（3年男子）
（インドはだいたい「並大抵」ではないですよ．）

聞きたいことがあります。インドではイスラーム教徒（もしくはムスリム）~~イスラム教徒~~の数はどのぐらいですか？（3年男子）
（10パーセント程度です．これも自分で調べればすぐ分かることのはずですが．）

今回は特にインドの多神教の神様についてはとても興味深く聞くことができました。多神教か一神教かで宗教に大きな違いが出ている現在ですが多神教より一神教のほうが今まで色々と詳しい話を聞く機会が多かったので今回の授業での多神教の話は今後宗教についての話を聞いたりするとき大変参考になるかと思います。また、一神教とは違いそれぞれの神に大きな特徴があるという部分で自分が一番興味を持っていたところかと思います。（1年男子）
（神の多様性は教義の多様性に繋がり，その多様性が他者に対する寛容を作り出します．）

女の人と男の人は一体であり、女の人も力を持つというところに、ギリシャ神話のいろんな神や女神が結婚していることを思い出しました。インドの神様の絵はとてもキレイで、特にクリシュナの絵は本当に端正な顔立ちをしているなと思いました。
シヴァの次男のお話を今日伺いましたが、長男のお話はあるのですか？聞きたいです。（1年女子）
（ガネーシャほどは一般的でない（＝人気がない）ですね．どうぞ調べてご覧なさい．）

シヴァとパールヴァティー夫婦は、憧れますが、パールヴァティーがカーリーになった時はとっさに逃げたいです。ガネーシャの顔が象であることを以前より疑問に思っていたので、経緯を聞くことができて、よかったです。ガネーシャの牙が欠けている(折れている？)のは、なぜなのですか？？（1年男子）
（これについても「失敗を笑った月に向って投げつけた」などいろいろ神話があります．資料は研究室にあります．）

男女一体となってこそ一人前の力が出せるという、二人二脚の考え方は、共感できるものがあり,カースト制で、差別意識が強いというインドとはまた違ったインドを知ることができてよかったです。（1年女子）
（そういうインドが私も大好きです．）

ヴィシュヌの顔を描いたものが女性のように見えて仕方がありません。男の神なのに女性のように綺麗で美しく描かれるのが不思議です。(男の神を女性のように描く)あの画風確立には女性崇拝と何か関係はあるのですか？それにしても１０もの化身をもつとは驚きでした。違う宗教である仏陀の姿をも化身の一つにしてしまうのにもびっくりしました。（1年女子）
（女性崇拝，というより，「神さまは美しくあって欲しい」という願いから生まれたのではないかと考えます．）

質問なのですが~~なんですが~~、(1)パールヴァティが変身したカーリーをまるで母のようにあがめたラーマクリシュナ~~ラーマクシュリナー~~という人にはお母さんはいなかったのですか？ (2)また、シヴァの首に巻きついているコブラは何を意味しているのですか？（1年女子）
（(1) いました．というか，いないと生まれてこられませんよね?
　(2) 苦行者の象徴です．）

ヴィシュヌは元々変身能力があったため､あんなことが出来たのですか？それとも元々神がいて､ヴィシュヌが変身した姿とにしようということで10もの化身になれたのですか？（1年女子）
（どちらも正解です．それに，権化はヴィシュヌに限らずわれわれ人間にもある（とされる）能力です．）

インドの、男と女が二人で一つという考え方はすごくいいと思います。でも、お父さんは子供の首象とかえるしお母さんは怒ったら変身していくし、たいへんな家族だなと思いました。（1年女子）
（ (^_^; ）

インドの絵には独特な表現があると思います。絵をみた瞬間に圧倒されるような力強さがあると感じました。インドにたくさんいる神をインドの人は皆知っているのでしょうか？（1年男子）
（もちろん，知っている人もあれば知らない人もいるでしょう．でも，多くの人は知っています．）

シヴァの男女一体となって初めて一人前となるという考え方は、すばらしいものだと思った。また、男女平等の社会の中で、動物もまた平等な存在として描かれていたのかなと思った。特に、ビシュヌが10の化身に変わるとき、魚や亀、イノシシなど動物の体を化身にしていることが多かったのでそう感じた。また、日本にも二人二脚の考え方があったら、男尊女卑などという言葉があるように女性を下にみるような考え方もなかったのにと思った。（1年女子）
（動物の化身は，従来存在した動物崇拝を取り込んだものと考えられていますが，あなたの解釈も面白いと思います．）

レイハリー・ハウゼンの映画に登場していたことで知ったカーリーは、それで一人の神だと思っていましたが、そうではなかったことを初めて知りました。
時々「母は強し」という言葉を耳にしますが、カーリーはまさにその通りだと思いました。（1年女子）
（「時々」ですか? 私は日々実感しています．）

今日のシヴァ家族の話、特に次男の顔が象であることの話を聞けて、とても面白かったです。先生がおっしゃっていた仮説の２つともが、興味深いお話でおもわず笑ってしまいました。インドの神様の名前は「（色が）黒い」という意味が多いのですね。私はシヴァが絶対的な力を持っているのだと思っていましたが、今日の講義で、シヴァは自分の妻であるパールバティーには弱いのだと知ってなんとなく、微笑ましく思えました。パールヴァティーはドゥルガーになって怒り MAXでカーリーになるとおっしゃっていましたが、怒りMAXというのはこれといった基準はあるのでしょうか？（1年女子）
（人々（＝シヴァとカーリーの子供たち）を苦しめる悪魔の群が，倒しても倒しても出てくるような状況です．「怒りMAX」は私の比喩的表現です．）

「夫婦二人が力を合わせる」というのは、いつの時代でも人々の憧れで、重要に考えられて来た事を知りました。男女両方の神様が世界を守るということが、信仰する人をさらに引き寄せるんだと思いました。
次男の顔が象でも、仲睦まじく描かれているシウ゛ァ一家は素敵だと思いました。（1年女子）
（素敵だよね :-) ）

ブラフマーがウパニシャッド起源だから人気がないとおっしゃられていましたがどうしてウパニシャッド起源だと人気がないのですか？（1年女子）
（ウパニシャッドは一般人には無縁のものだからです．）

私の地元にインドの方がなさっている、インド料理屋さんがあります。そのお店の名前はガネーシュ（Ｇａｎｅｓｈ）というのですが、きっと今日の講義で教わったガネーシャのことだと思いました。いつもみていた神秘的な象の神にこんなエピソードがあったとは驚きです。また、インドの絵と聞いて思い浮かべていたイメージの画風が、割と最近のものであったということにも驚きました。古くからあのように個性的なんものなのだと思っていました。古いものは、中国や、日本、エジプトの絵にも見えました。また、今までの講義でちらちらと見せて頂いていたクリシュナはずっと女神だと思っていたので、絶世の美少年というのにもショックをうけました。今日の講義は、なんだか新しい発見で驚くことが多かったです。（1年女子）
（ヒンディー語の場合，末尾の母音が省略されて，サンスクリット語では「ガネーシャ」とあるところを「ガネーシュ」といいます．あなたの予想通りですよ．）

今日の講義もとても楽しかったです！！シヴァとパールヴァティーの話で、パールヴァティーが変身してカーリーになった時にシヴァを踏んでいる説を説明している時の先生の演技力に見惚れました！！また、インドでの徹底した家族愛がとても素敵だと思いました。でも、家族愛なのに、自分の息子の首をはねるぐらい、シヴァはよほど入浴時のパールヴァティーに会いたかったのか？と笑ってしまいました。でも、その後尾を引かない潔さもすてきだと思いました。（1年女子）
（シヴァはパールヴァティーとよほど「夫婦の会話」を楽しみたかったようです．象の頭になっても何も変わらないシヴァ一家の家族愛には涙が出ます．）

カーリーが退治していた悪魔はどういう~~どうゆう~~人が悪魔とされたんですか？（1年女子）
（少し日本語に乱れがあります．
　「人」ではなく，阿修羅や羅刹などの魔類です．）

なぜ、本などで、インドの神などが青っぽい色でえがかれているのかというと、土着のインド人（＝黒）の反映で、インド人は｢黒｣というのをあまり好まないので、という理由だということを初めてしったと同時に、なぜ｢黒｣というのを好まないのだろうと疑問に思いました。（1年女子）
（これは授業中に何度も説明したと思いますが，アーリア人の侵入以降，アーリア人元来の肌色「白」が高貴な色，インド土着の人の肌色「黒（ブラウン）」が悪者の色になったのです．）

今日はシヴァ神そしてヴィシュヌ神について詳しく知りました。シヴァの方は土着の神ということで支持が多かったようですが、アーリア系のヴィシュヌがいかにして支持を得たのかが前回からの疑問でしたが、ようやく分かりました。色々な土着の神だったり、英雄だったりに権化して良いところをかっさらっていったのですね！なんだか、いいとこ取りでとてもおいしい役だなと思いました。また彼はシヴァやその息子にもなれるのですか。（1年女子）
（さすがに，そういう神話はないようですよ．）

シヴァは、非常に人気があるのですね。今回初めて、家族全員の絵を見ました。とても仲が良くて暖かい家族という印象を受けました。しかし、次男の顔が象になってしまったいきさつを聞いたときは、少しひやりとしましたが…。
　シヴァの奥様、神妃については今回初めて知りました。“カーリー”に変身したときの絵はとても迫力がありました。その絵の中で、神妃はシヴァを踏んでいましたが、それで「男女一体」ということが、よく理解出来ました。強いことは良いことだけど、一方が強くなりすぎると二人のバランスが上手く取れなくなってしまうのだなと思いました。（2年女子）
（カーリー，大好きです．）

神様の話は好きなので楽しかったです。家族愛は偉大だというのが、よく分かりました。たとえ息子の顔が象だろうが、奥さんが旦那さんが動けなくなるほど~~を押しのけて~~シャクティを使おうが家族の愛の前ではたいしたことじゃないんですね。素晴らしかったです。（1年女子）
（そう，そう (^^) ）

今回の講義で、一番印象に残ったのは、シヴァ信仰にある二人二脚の発想でした。日本ではめでたく結婚しても、離婚してしまうということがよくあります。これは自分は一人でやっていけるという過信がひとつの原因に挙げられると思います。私たちは友達や家族など、そばにいてくれる人たちによって生かされているということをあらためて実感させられました。（1年女子）
（うん，うん (^^) ）

Sivaは一人ですごい神なのかと思っていたけれど、妻と一緒で一人前というを聞いて驚いきました。とともにすごく良いなと思いました。夫婦で力をあわせてというふうに感じられて、そこも本当にインドの人たちに好かれたんだと思います。
パールヴァティーが悪魔を倒すためにドゥルガーに変身し、さらにガーリーになるのは始めは絵を見たとき、怖いなと思いました。でも先生の説明で、悪魔を倒すのに化粧もできずに必死に戦う力強い母親の姿だというのを聞いて本当に魅力的に感じました。インドの女神の中でも人気があるはずですね。
Visnuは権化を行ってあんなに人気が出たというのはSivaに比べたらずるいような感じもうけますが、インド人で信仰する人も、Visnu を信仰するというよりも、権化したものを信仰していると聞いて、しっかりわかっているなと思いました。
仏陀にまで権化していたのが意外でした。１０の権化の話はどれもおもしろそうでした。
今日の授業で、私が知っていた人物（神）で韋駄天がSivaの子供だったというのを初めて知って、インドから日本に来た神様は、改めて多いなと思いました。日本とインドもこうしたところでつながりがあるなと思いました。（1年女子）
（日本とインドは繋がっています．satya もそうです．）

今日の講義を聞いて普通に聞くと有り得ないと思い、失礼だけど、思わず笑ってしまうような神話も信じて、その神様を信仰するというインドの人に素直な人たちだという印象を受けました。悪人でも satya は守るということに芯の強さも感じました。
　そして、Sivaの「家庭愛、夫婦愛」に私もSivaを好きになりました。Siva自身だけが頑張るのではなく、その奥さんであるパールヴァティーの存在があってこそsaktiが成り立ち、インド人を魅了したというところに私も魅力を感じました。まさに「愛の力」だと思います。最近では幼児虐待や誘拐事件、小学校を襲うなどという子供に対する犯罪が多発しています。人間が少しでもカーリーのような自分のなりふりかまわず、子供（自分の子供だけに限らず、すべての子供）を守るという心を持っていれば、そのような事件は起こらないのではないかと思いました。
　アジア文化論でインドのことを学ぶたびに今まで私がインドに勝手に抱いていたイメージは、かなり間違っていたのだということに気づかされます。私はインドの考え方に学んだり、共感することがたくさんあるなと改めて思いました。（1年女子）
（♪生きるもの全てが　愛で繋がれる～（吉田拓郎の「純」より）
　まずは家族愛から始めましょう．）

【総評】インド神話は面白いですよね．次回は二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』を見ていきましょう．（鈴木隆泰）

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