11月16日
ホストの世界〜あなたの幸せは何ですか?〜


A:皆さんはホストに興味を持ったことがありますか?今日はホストのことをいろいろ知ってもらって、最後には人生や幸せについて考えてもらいたいと思います。ホストクラブに行ったことある人?
一同:ない。
A:最近はテレビのドキュメント番組などでやってるから、少しは知ってる人もいると思うけど、ホストクラブがどんなシステムになってるか知ってる?
B:システムは知らないね。
A:今回は始めてホストクラブに行ったっていう設定で説明するけど、初回料金が5千円で飲み放題、時間無制限。
B:飲み放題なんだ。
A:指名やコールをする場合はセット料金8千円と指名、コール料金がかかる。
C:コールって何?
A:コールすると、その店のホストが全員集まってくれるの。何をするかはお店によって違うみたいだけど、やってみたい?
B:やるのはちょっと・・・恥ずかしいし。
D:指名はしてみたいけどね。
A:コール1回で1万円前後だそうです。
C:高いねー。
D:でも誰かがすると他の人も張り合ってするんだよね。
E:そこで女の戦いが起こるんだ。
B:山口にはホストクラブってあるの?
B:湯田にはあるんじゃない?
D:あると思うよ。去年の学祭で名刺配ってた。
一同:えーっ?
A:中国にはある?
E:あると思う。見たことはないけど。
C:へぇ〜
E:中国ではホストのことを『カモ』の字であらわす。
B:カモ?
E:鳥の『鴨』。なんでかはわからないけど、そういうイメージ。ホストのことを歌った歌もある。
D:えぇ?なにそれ?
E:歌詞はわからないけど、そういう歌もある。
F:初回料金5千円ってことは、いろんな店で1回ずつ行けば安く遊べるわけだ。
A:そういう遊び方してる人もいるみたいですね。
F:でもそれじゃ店は儲からないだろ。
A:そうですね。だから、お店はお客さんに何度も来てもらわないと。

A:ホストのイメージってどんなの?
B:スーツかな。
C:高いもの身につけてそう。
E:私はあんまりいいイメージないかな。
A:たとえば?
E:ホステスみたいに、何でもするってイメージがある。
D:同伴とかアフターとかあるしね。
F:要するに買ってるんだよね。男を買う、女を買う。
A:ホストも、サービスを買ってるってことですね。

A:じゃあ、次は2、ホストの現実について。ホストはお金持ちだと思う?
E:ホストが高いスーツを着るのは決まり?
A:決まりじゃないけど『ホスト』っていうキャラクターを演じるためのものでしょ。
F:ジャージのホストは嫌だしね
一同:(笑)
A:高いのを買うのがステータスみたいになってる。
B:お客さんから貰ったりもするよね。
F:でも最初は買うでしょ。
D:高いスーツがホストのユニフォームみたいな感じだから。
C:じゃあホストは金持ち?
A:指名がなかったり、あってもツケが回収できなかったりするとその分給料から引かれるから、給料がなくなったり。
C:店に借金したりもするんだね。
D:昼のバイトしてる人も多いんだって。
A:トップのほうの3割くらいはお金持ちだけど、それ以外は生活苦しいみたい。

A:じゃあ次、ホストはモテるか?
F:お客にモテないとホストなんて出来ないでしょ。
A:一般女性にはモテると思う?
B:う〜ん・・・
E:でもホストクラブっておばさんとかおばあさんが多そう。
A:客層は20代前半をターゲットにしてるそうです。
C:意外と若いんだ。
F:ホステスも行くらしいよ。
A:じゃあ、彼氏にしたいと思う?
B:それはちょっと・・・
A:なんで?
B:知らない女の人と遊んでるのを、仕事だって割り切れないと思うから。
D:やっぱり嫌だもんね。
A:仕事以外ではあんまりモテないらしいよ。お店で知り合って付き合っても、店と普段とは違うし、店と同じサービスはできないから彼女が不満持って別れることが多いらしい。
C:そっかー
E;結婚はどうなの?
A:結婚してもホスト続けてたり、やめてからも客から電話があって会いに行ったりするんだって。
C:えーっ!それやだ〜
B:それじゃ結婚生活うまくいかないね。
E:ホストって何歳までってあるの?
A:面接ではないらしいけど、やっぱり若い方が・・・
F:指名する人がいれば年取っても出来るけど。
C:あ〜そうか
D:先が見えないから不安ではあるよね。
A:もし好きな人がホストだってわかったら、付き合える?
D:う〜ん・・・
B:付き合うかも・・・どうだろ?
E:すごい悩むだろうね〜
A:仕事だって割り切れたらいいけど。

A:じゃあ次は、ホストの世界から見えること。ホストみたいなことをやってると、人生の重要な選択に出くわすことがあります。ある人はごくごく普通のOLだったけど、ある日スナックのママに手伝って欲しいと頼まれて期間限定で手伝うことになった。そして3ヵ月後、彼女は専業のホステスになって、半年後にはNo.1になった。
F:一日に云百万なんて額を稼いでると、コツコツやるのが馬鹿らしくなるんだろうね。
A:この話は偶然に偶然が重なってこうなったんだけど、じゃあ次の話を見てください。これはこの本の作者の話なんだけど、友達の手伝いでホストをやった彼は、そのままバイトでホストになる。大学卒業後公務員になった彼だったけど、ホストの仕事も続けていました。公務員とホストという二重生活が体力的にきつかった彼は、公務員を辞めてホストの道を選びました。
E:ホストやって、お金以外でもよかったと思うことってあるのかな?
A:この作者はいろんなバイトやったけどホスト以上におもしろいのはなかったし、ホストが一番魅力的だったんだと思う。
E:この人健康かな?
B:健康とは言えないと思うな。
F:毎晩お酒たくさん飲むし、女性と肉体関係もあるから病気もらったりして、健康とは言えないだろう。いろんな職業があっていいとおもうけど、身体を壊してまで楽しむっていう破滅型の喜びしか感じられないのはかわいそうだと思う。そういうことを楽しいと思う育ち方をしてしまったことが問題。
B:私は居酒屋のバイトしてて、そこではお酒を飲んでもらうためにお客と話したりするけど、それでお客が喜んでくれるのが嬉しいって気持ちはわかる。
D:お金のためだけじゃなくて、そういう喜びもあるんだ。
E:作者のお父さんは病気で倒れたってあるけど、お父さんが倒れたのはこの作者のせいだと思う。親を犠牲にしてまで自分の幸せをって思ってるけど、それはちょっとおかしい。普通は、自分の大切な人の幸せが自分の幸せなんじゃないの?
D:でも、他の人のために自分が好きでもないことするより、自分がやりたいことするほうがいいよ。
F:彼は愛情を感じてこなかったんだと思う。親は愛してるつもりでも、彼は感じられなかった。だから“そこにいていい場所”がホストだと思ってるんだ。これから新人がどんどん入ってきて、彼の場所がなくなったときが心配。成功して店でも持つしかないから。
E:こんなにはまってると、自分がNo.1じゃなくなって、落ちたときが大変そう。
F:彼は自分の存在価値を『○○会社の自分』とか『××の自分』とかに求めてるから危ない。何かしてないといけないと思い込んじゃうから。
A:初めは軽い気持ちでこのテーマを調べたけど、深く考えることがすごく多かった。幸せっていうのがなんなのかは難しい。ホストの仕事も、いいこともあればそうでないこともある。いろいろ考えさせられる問題でした。


≪編集後記≫
今回のテーマは、ホストという少し特殊な職業の話だったけど、どんなことが幸せかというのはどんな職業についている人にも関係のある話だから、すごく考えることが多かった。確かに、他の人が犠牲になってしまってでもやりたいこともあるだろうし、自分が我慢してでも他の人が幸せであってほしいという考えもあると思う。出来れば私は、自分の好きなことで人を幸せにしたいと思った。そのために自分が我慢するのも少しだったら大丈夫だと思うし、その我慢が苦にならない大切な人がいる人間になりたいと思う。軽いテーマだと思ったけど、考えさせられることがとても多かった。


幸せの基準(何をもって幸せとするか)は人ごとに異なっていて全く構いません.ただし,「自分一人だけの幸せ」だけではいつか破綻の来ることが歴史的に証明されています.「自分だけはそうではない.歴史的例外の第一号になってやる」という方がいれば,どうぞご勝手に,と応えるほかはありませんが,たとえ「自分一人の幸せ」を追求するのであっても,「他人の幸せを侵害しない」義務は負い続けることは忘れないでください.

(鈴木隆泰)


基礎演習 II・IV

アジア文化論研究室

HOME

suzuki AT ypu.jp