5月25日
読書について


A:本好きな人?今回は、漫画は含みません。
→5人が手をあげる
E:全く読まない。漫画なら読むけど。
K:本は好きだけどそんなに読まないなぁ。
A:では、好きと答えた人はどのくらい本を読みますか?
G:月に2〜3冊くらいかなぁ。
I:一日一冊の時もある。
一同:へぇ〜!すごい!!

A:最近、活字離れとかよく聞きますよね。アメリカでも問題になっているらしいです。
資料の2枚目を見てください。これは高校生を対象にした読書についてのアンケートの結果です。⇒『福島の県高校司書研修会が県内の高校70校、5万6420人を対象に実施した今年度の読書調査では「最近本を読んでいるか」の質問に対し、男子は1年の67%、2年の69%、3年の64%が「読んでいない」と答えた。女子は1年55%、2年57%、3年49%だった。男子は全国平均の59%を上回る6割以上、女子はほぼ半数が最近、本を読んでいないことが分かった。現在と同様の方式で調査を始めた昭和61年度は「一ヵ月に何冊、本を読んだか」が設問だった。「読んでいない」に当たる「0冊」は男子1年34%、2年32%、3年38%、女子は1年24%、2年27%、3年29%で、読まない層は男女とも今年度のほぼ半分だった。「最近」と「一ヵ月」の設問の違いがあって単純比較はできないが、この18年間で高校生の読書離れが年々、進んでいることは間違いないようだ。』これが現在における高校生の読書の実状です。
一同:へぇ〜。知らなかった。
A:次は1枚目を見てください。
その中の文章⇒『Eメールの本質は「手紙」、つまり「活字」ということだ。そう考えると、若者の「活字離れ」という常識がくつがえる。・・・若い人たちが「活字」で必至にコミュニケーションを取り合っている姿を見ていると、若者たちの「活字力」は上がってくるのではないかと思う。』
これは、ホームページも文字が多く活字ばかりだから、活字離れといっても活字を読んでいるから、活字離れとは言えないという意見を持つ人が書いたものです。みなさんこれについてどう思いますか?
D:ただ活字に触れるのと本を読むのは違うと思う。
G:活字を見るだけなら看板なんかを読むのも同じだからね。
一同:うんうん。
G:要は内容だと思う。漫画も活字使ってるし。
E:この人の意見はへりくつに近いね。

A:4枚目を見てください。ここには少年による殺害事件が2つ挙げてあり、ここではその原因が読書をしないことによる「想像力」の欠落だと述べてあります。⇒『・・・これまでの少年らによる集団暴行殺人事件に共通してうかがえるのは、特定標的への暴行が、日頃の鬱憤晴らしとして、集団心理的に一種のエクスタシー効果をもたらし、その結果攻撃衝動の抑制不能となってしまったのではないかと思われる節があることです。そしてもう一つもっと重要なことは、暴行を受ける相手の痛みを思いやる心の麻痺であり欠落であります。少年らの残虐行動に関連させ、このシリーズで“感性”を取り上げたことがあります。その中で私は「自分がこんなことをしたらどんな結果になるかを考える想像力が、今のこどもたちやその親の世代には欠けているのではないか」という、非行少年の補導や少年捜査の経験の長い警視庁の捜査員のコメントを紹介いたしました。・・・私には相手の心や事情を思いやることで、相手に対する行動を手加減できる、そのための感受性や想像力の乏しい人間が、子どもだけではなく大人にも増えてきているように思えてならないのです。私たち人間誰しもが、心の中に、場合によっては相手を殺しかねない程の破壊的な攻撃感情を潜ませていると知るべきなのです。通常それが行動化することなく抑えられているのは、相手の苦痛を我がものとする感性や、人を悲しませ命まで奪うがごとき邪悪な行動への報いの恐ろしさを思い浮かべる想像力のお陰でもあるのです。』
このような意見がある一方、テレビとか物語とかに出てくる残酷なものが子どもたちに悪影響を及ぼすという考えもありますよね。みなさんはどう思いますか?
C:想像力っていうより言葉での表現ができるようにならなきゃいけないと思う。言葉を知るためには読書は大事だと思う。言葉を知らないと、自分の気持ちを表現できずにカーッとなって手を出すことが起こるんじゃないかなぁ。
J:小さい頃絵本とか童話とか読んでもらった覚えはあるけど、犯罪と関係してるって言い切れるのかな。
G:絵本とかってさ、確かに残酷な部分もあるけど、悪いことをした人間は最後にはそれなりの報いがあって、主人公はハッピーエンドで終わることが多いじゃん。だから物語を聞いて悪いことをしようなんて誰も思わないと思うよ。
H:それに怖い話は昔からいくらでもあるよね。

J:小さいとき読み聞かせられても、想像は人によって違うんだよね?
A:うん。
D:子どもに読み聞かせても、子どもが話の内容を完璧に覚えてるわけじゃないじゃん。後で思い出したときに、絵本を読んでくれた親の声の感じとか雰囲気とかが関係してるのかも。一同:あ〜。
D:読み聞かせはコミュニケーションのためのものだしね。
F:物語を信じるか信じないかの性格を作るのが親で、それから本を読んであげるのがいいんじゃないかな。本のせいで性格が決まるはずないよね。
E:うん。実際、読書をしない人で犯罪を起こさない人なんていくらでもいるよね。私もそうだし。
一同:うんうん。
G:子どもがおかしくなるのはだいたい周りにいる大人のせいだよ。それで、子どもの頃に一番身近にいる大人といえば親だから、親の影響ってすごいんだよね。それなのに親たちが、子どもがおかしくなるのは本とか学校とかマスコミのせいだと言うのはおかしい。
一同:確かに!!そう思う。

J:この前、酒鬼薔薇聖斗の母親が書いている本を読んだんですよ。それ読んでたら、酒鬼薔薇聖斗は愛情を受けていなかったわけじゃないって思った。生活は普通の家庭と変わらなくて、うちみたいな感じだったよ。
G:それ嘘なんじゃないかなぁ 親が、自分が思ってることを書いただけみたいな印象を受けるよ.
E:自分は愛情をあげたつもりだっただけってことかぁ。子どもが愛情を受け取ったことは確認しなかったんだろうね。子育てって難しい・・・。
F:子どもって、親に構って欲しくて悪さするっていうのもあるよね。

H:・・・読書の話だったね。
一同:・・・。
H:じゃあ、小さい頃、読み聞かせてもらった覚えがある人?
(一同、一斉に手を挙げる)
K:なんかよく考えると、小さい頃読んでもらった話でも内容をあんまり覚えてない話って結構あるやん?やけん、物語の内容が子どもに悪影響を及ぼして犯罪に走らせるっていう意見はやっぱりおかしいよ。
H:内容じゃなくて、読んでもらったってことが大事よ。
K:そうだよね。
J:読書だけが犯罪の原因じゃないよ。
C:じゃあ、読書はいらないものではないと思う?
K:それは絶対いると思う。本から学んだことは多いよ。
E:勉強にもなるし。

J:人が書いた文章を読んで、自分の文章に影響するっていうことない?
G:あるある!!
B:考える力は育つと思う!小さい頃白雪姫を読んでもらって、白雪姫はなんで寝る時まで靴を履いてるんだろうって考えてた。
H:それさ、絵本によって絵が違うよね。靴を履いてたり履いてなかったりとか。絵本でもきちんとしてないのはダメじゃないかな。絵本だから、絵が子どもに与える影響力は大きいと思うから。
J:絵でいろんな想像つくよね。
F:今はさ、「想像させる本」っていうのもあるね。
J:小さい子は、物語の内容を素直に聞き入れるよね。経験が少ないから。経験を積んでいくと、「こんなことはありえない」とか思っちゃうし。
D:じゃあさ、大人向けの絵本は読書になると思う?
A:ん〜、読書の一つではあると思う。
J:写真が載ってる本はどうなの?文字は少ないけど。文章をぶわぁ〜って書いてあっても、結局何が言いたいのか分からん時ある。
F:何回も読まないと分からなかったりするよね。
J:うんうん。だから、シンプルに率直に重要なことを書いてある大人の絵本はいいと思う。
D:絵本って言葉が少なくて簡単に書けるように見えるけど、実際ものすごい言葉の量から一番効果的な言葉を選ばなきゃいけないから、絵本ってすごいと思った。絵本作家はすごいよ。
J:まさに子どもの心を持った大人だね。


《編集後記》
今回は「読書」という難しいテーマなだけに話がどんどん膨らんでいって本題から逸れてしまった上、書記なのに何かと口を出して書くことを怠ってしまって反省。しかし、絵本や親と子どもの関係について話し、考え直すことができて勉強になった。本は趣味としても、勉学に関しても、私たちの生活の中で切っても切れない存在であり、たとえ読書に興味がない人でも、幼い頃から読んできた文章はかなりの量だろう。私たちは知らず知らずのうちに本から言葉を学び、知識を得ていると思う。また、資料にあったように読書をしないと人の痛みが分からないような社会は、とても悲しいと思った。


書記さんは「話がどんどん膨らんでいって本題から逸れてしまった上、書記なのに何かと口を出して書くことを怠ってしまって反省」との弁ですが,書記さんのせいではありません.議事進行は議題提出者(司会)の責任ですし,また,書記だからといって黙っている必要はないのです.

情緒・理性・健全な批判精神・想像力・判断力・氾濫する情報との節度を持った接し方などなど,読書によって養われるものは数えだしたらきりがありません.学生諸君,あなたたちを高めてくれる本を読みなさい.

(鈴木隆泰)


基礎演習 I・III

アジア文化論研究室

HOME

suzuki AT ypu.jp