YPU SOAS 2004 基礎演習 I・III 5/11

5月11日
何故ビートルズはいまだに愛され続けているのか。

J：ではまず、ビートルズについての質問をします。
　「Love Me Do」でデビューしましたが、どう思いますか？
（一同曲を聴く）
I：イントロ聴いただけで、ビートルズとわかるよね。
J：これは愛して下さい、ですよね？
E：そうです。
J：ビートルズを知っている人は手を挙げて下さい。
（一同挙手）
J：1966年には、ジョンの「ビートルズの方がキリストより人気がある」という発言が発端となって、アメリカの熱心なキリスト教信者を中心に、ビートルズ・ボイコット運動が起こり、アメリカ・ツアー中には、メンバーの命を狙う脅迫事件にまで発展しましたし、ドラッグなどの問題もたくさんあったのに、解散した後現在まで愛され続けているのは何故でしょう？気になります。

Ｊ:とりあえず曲を聴いて下さい。
　「I wanna hold your hand」
　｢A HARD DAY'S NIGHT｣
　｢If I fell｣
　｢help｣
Ｊ：Helpっていう曲は、ビートルズが自身の存在理由を音楽を作り演奏することにあると考えていたのに対して、ファンが彼らの虚像だけを求めたていたこと、そしてライブ重視の活動になっていることに疑問を持ち、心の叫びとして出来た歌です。
E：ビートルズはレコードとライブでは音が違うから、違う人がやっているんじゃないかと言われたりしたが、それは音が聞こえない中でやっているからで、彼ら自身「Can you hear me?」と言っているんだ。
J：ビートルズは私たちの親世代ですが、今聴いてどうですか？
I：聴きやすい。

　「Revolver（アルバム）」
J：このアルバムは、新しい音楽の模索時代で、子どものアイドルからPOPアーティストへ変化していった頃です。
E：（写真を見せながら）ジャケットもすごいよね。
J：ビートルズには大体７つの時期があります。１つ目は不良少年時代で、実力をあげるために小さなクラブやドイツ遠征で活動していました。
E：（写真を見せながら）リーゼントだったんだよね。
　（一同笑い）
J：２つ目は、ロック＝アンド＝ロールの時代で、３つ目は新しい音楽模索の時代、４つ目はサイケデリックの時代、５つ目は完成、そして崩壊の時代、６つ目は解散後のソロ活動の時代、７つ目はジョン＝レノンの死後の時代です。
　２・３の時期には、Jazzやクラシックを混ぜて全く新しい音楽を作り出しました。
　４の時期にはドラッグにはまり、マリファナの回し飲みなどをしていましたが、それでも人気は衰えませんでした。それどころか、ドラッグを広めることになっていました。
E：何回も逮捕されているよね。
J：それから、インドのヨーガ（心の集中技法）を心の頼りにしたら、ヨーガに人気が集まったり。

「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band（アルバム）」
J：このアルバムは、オーケストラ、パーカッション、インド音楽などを混ぜて色んな音楽を作り出していて、更にこのアルバムは、現在の「アルバム」というものの発端になっています。
E：クラッシックは楽章を持ち、全部を演奏するのに時間がかかるが、その全てで何かを表す。当時ロックのアルバムは単なる曲の寄せ集めで、ロックはクラッシックよりも下位だと思われていたのを、アルバム全部で何かを表すという方法を取ることによって、覆そうとしたんだ。だが、同時に曲同士のつながりが強くて、ライブでの演奏はもはや不可能になった。

「Magical Mystery Tour」
B：聴いたことある。
E：映画があるよ。
J：映画用の曲です。８週連続１位。
B：何の映画？
E：自分らで作った映画で、プロモーションビデオのはしりだと言われているよ。アルバムの全部の曲分作ってる。面白いよ。ビートルズがやった色々な新しい試みは、「永遠に早すぎた」と言われているんだ。映画は全部で5本あるよ。
F：ＮＨＫで見たことある。

「Strawberry Fields Forever / Penny Lane」
J：これはとっても良い曲です。
I：ＭＤで持ってるよ。
J：「Penny Lane」は聴いたことありますか？
E：ベースが歌うんだよね。
J：楽しんで聴いてたらすごく楽しくなる。ベースがすごい。
E：ポールは天才的ベーシスト。
I：メロディはそんなに特殊じゃないのに。
E：ペニーレイン通りの歌なんだよね。
J：この辺から個性が出てきて、ポールも歌うようになった。
E：ポールは昔から歌うよ。
J：ここら辺で小野洋子も出てきた。みんなは小野洋子どう思いますか？
　小野洋子の個展にジョンが行ったことがきっかけで２人は知り合ったのですが、小野洋子は前衛芸術をやっていて、ジョンもそっち方面の才能があったようです。小野洋子と知り合ったことが、解散の原因の１つでしょうか？
E：元々個性が強かったし、ポールとジョンは道が違ったから、ジョンが小野洋子と出会ったことで、それが表に出てきただけだと思う。
J：解散後のジョン個人の歌にも良い曲がたくさんあるよね。
E：Mother とかね。

「Hey Jude」
J：これは大ヒット曲。１番売れた。ロックのイメージが薄まる曲。
E：すっごい激しいロックの曲とかもあるよね。
I：Hey Judeは、音楽の教科書に日本語の歌詞があって、嫌だったよね。
E：「落ち込むな～」とか。
I：「頑張れ～」とか。
C：嫌だった。
E：ポールの初期のシャウトは一級品。
B：何でビートルズ好きなの？
J：聴いてて楽しいから。
E：Get Back が一番良い！
J：あたしが好きな理由は、メンバーの絡み合いがやんちゃで良い感じだから。
E：８ビートが良い。
J：音楽療法にも良いらしい。
E：植物に、クラッシックやビートルズを聴かせるのは良いんだけど、ローリングストーンズを聴かせたら枯れたらしいよ。ローリングの方が不良のイメージ。
K：歌詞が聴き取りやすい。
J：英語の授業とかでやるよね。リスニングしやすい。

「Hello Goodbye」
E：公文のＣＭの曲だよ。シンセサイザーを初めて使ったのはビートルズなんだ。
F：これがビートルズの曲とは知らなかった。
E：そういうの多いよね。知らず知らずに聴いてるの。
B：面白い歌詞のものとかあるよね。
J：お母さんを想って書いた曲とか。Let it be。
E：あれはマリア様じゃないの？
J：お母さんらしい。
B：どうしてマリア様だと思うんですか？
E：宗教ソングだし、「聖母マリア」って歌っているし、何より普通の母親では必然性がないから。感じが違う。
J：真相はわからない。

J：ジョン・レノンは殺されました。
E：１９８４年１２月８日。色んな説があるけど、精神的にやばい人に呼び止められて、サインしてって言われて、撃たれた。John は Stating Over を発表して再出発した矢先だったけど。
　犯人は捕まってる。釈放したら、ビートルズのファンに殺されるから、出せないんだ。
　後追い自殺も多かった。
J：それくらいすごい人。
C：ヒデみたい。
I：私もそう思った。
J：未発表曲を集めたアルバムがあって、すごくヒットした。
C：誰が歌ったの？
E：ジョンのテープが残ってたのかな？
J：小野洋子とか。
E：あんまり上手くないよ。
J：ポールは、ジョンへの悲しみの中で「カンボジア難民救済コンサート」を開いてるよね。
　Ebony and Ibolyもヒットさせたし。
E：ピアノの白と黒の鍵盤は美しいのに、何故人は白と黒で憎しみあうのか、っていう曲だよ。
C：素敵。
J：黒人と白人がいっしょに歌う。黒人のjazzと白人のロックが混ざって、スカ。
　ポールはジョンに対する気持ちとして、Here Todayを作ってる。
E：暗い曲だよね。
J：リンゴ・スターは才能なかった。解散した後も色んなエピソードがあるから面白いよ。
　高校の時に見たビデオもすごかった。ボイコットとかの。
C：友達にビートルズ嫌いって人いるから、好き嫌いの差は激しいよね。
J：ちょっと興味出ましたか？
（一同頷く）
I：１曲づつが短いから聴きやすいよね。
E：２４時間１ヶ月くらい聴くと良いと思うよ。
一同：洗脳じゃん！

まとめ
J：ビートルズが愛されるのは、ストーリー性があるから。
I：気持ちがきちんと曲に表されてる。
E：ビートルズは全世界で受け入れられてるから、音楽が文化を越えて愛されてるってことになるんだ。
I：もう伝説だよね。
E：今も普通に聴かれてるから伝説じゃないよ。
J：そんなに熱狂的に好きってわけじゃないんだけど、なんかやっぱり良いんだよ。
終わり。

《編集後記》
　今回は熱狂的にビートルズを好きな方がいらっしゃったので、ビートルズに詳しい人の間では議論が白熱したようですが、なんとなく知ってる程度の人の発言は少なく、発言者が偏ったようです。私自身、ビートルズは嫌いではないが熱狂的に好きというわけでもない程度なのですが、書記ではなく議論に参加して色んなエピソードを聞き出したかったです。曲を聴きながらだったので、書記はやりにくかったのですが、色んな曲が聴けて楽しかったです。私は、私たちの世代でビートルズが愛されている理由の一つには、ビートルズ世代である親世代が、マスコミを動かしているということが挙げられると思います。ビートルズで育った番組制作者が番組でビートルズを多用すれば、自然と私たちの耳に入ってくるからです。そして、やはり良い曲であるからこそ、愛され続けているのだと思います。

ビートルズに言葉は要りません．

皆さん，聴きましょう

（鈴木隆泰）

基礎演習 I・III

アジア文化論研究室

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