宗教文化研究（仏教文化） 2004/11/19 No. 8

11/19 授業の感想8号と回答

感想8号（総数 68）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

「ブッダとことば」をテーマに，大乗仏教の誕生について解説しました．

ファイナルファンタジーの歌に大乗仏教のテーマがあるとはおどろきました。これを「スバーシタはブッダのことばである」、つまり良い処方箋を出す人はブッダである、という考えに当てはめれば、この歌も（受け取り手がいれば）説法になるのだなと思いました。そうすると、説法というものは、古い経典の中だけでなく、例えば現代でも身の回りに探せばたくさんあるものかもしれません。あとはそれに気付く人がいて、初めて説法の役割を持つことができるのでしょう。私は今までそのようなことに気付きませんでしたが、これから探したいと思います。（3年女子）
（「スバーシタ（あなたに合った処方箋）＝ブッダのことば」は，あなたのすぐ側にあるかも知れません．）

病気でも、幸せになれる道はある。問題は、病気が治るかどうかではなく、幸せになれるかどうか。というのが、大乗の考え方ですが。この点では、小乗と共通するのですか？？（2年女子）
（小乗は病気の根治にこだわり，「まだ不健康だ，まだ完全じゃない」という姿勢を取ります．）

ブッダになることは難しい。けど届かない目標に向かって一歩ずつ前進しながら生きる喜びがあって、それはカッサパたちのように適当な到達点や理由を作って安住することでは決して得られない喜びである。『無限の目標』の意義がよくわかりました。
　それから『覚えている限り、その人は生き続ける』というのはその通りだと思います。実際に話ができるわけでもないし、触れることもできないけれど、確かにその存在を感じる瞬間が(仏教に限らず)あり、そのことで元気付けられることもたくさんあるのです。参考に聞いた曲にもその思いが溢れていて感動しました。（2年女子）
（記憶によって紡がれ続け，ことばとともに蘇る永遠のいのち―ブッダも人も，記憶・ことばとともに永遠なのです．）

大乗仏教はブッダを目指すこと、足跡を残しながら終わりなき道を歩み続けることを大事にするんですね。病気を治せたら幸せで治せなかったら不幸・・・ではなくどう生きてどう幸せを感じるかが問題なのだと聞いて、（大乗）仏教は人の心を救う宗教らしい宗教だなと思いました。自分の世界を作り、認識し、歩いていく力を人に与えてくれるきっかけ。それが宗教なのだと思います。（2年女子）
（「歩む中にこそ本当の幸せがある」というのが大乗仏教の極意です．）

ブッダの誕生と仏教の誕生についてこれまで自分の中でしっかりと整理できていませんでしたが、今回の講義を受けてブッダの誕生の後に二次的産物としての仏教が誕生したという流れをはっきり理解できたような気がします。
　今まで「一つの道を二人で行くな」という言葉を聞いたことはあったものの、人に頼るのではなく自分ひとりで歩めといった意味に解釈していました。しかし、仏教の概念である、少しでも多くの人に広めるため、少しでも多くの人を救うためにも固まらず一人で歩んで行けという意味であるのだと知って、この言葉を真に理解し好きになりました。この言葉は、どこかに留まらずに前進していく、そして人間一人一人の存在自体を認めてくれているようですごく良い言葉だと思いました。こういった概念なども含め仏教について考えてみると、私も本物の仏教といえるのは大乗の方だと思います。（2年女子）
（リンゴに向かう有効な処方箋を出してくれるのが仏教なのです．）

私は今回の講義で初めてきちんと大乗仏教とは何なのか、そして小乗仏教とは何なのかを学べたと思います。大乗仏教は出家者だけでなく、在家者にも開かれたものであるし、小乗のように、無理な教えがないことから、多くのひとに支持されるものだと思いました。確かに、悪いことをしないということなど、不可能です。病人は病人のままでも幸せになれるという思想は本当に多くの人を救えるものだと思いました。（2年女子）
（「他人を裁くのではなく，他人を許す人になる」，大乗仏教の処方箋の一つです．）

今日の授業では本当にこの半年間くらい私が探していた大事なものがやっと見つかりました。問題は幸せに生きるかどうかなんですよね。心が平和かどうか。人間だから怒りもするし悲しくもなります。それをどれだけ受け入れることができるかが心が平和かどうかなのかなと思いました。幸せになるためならキリストを信じたっていいし、アラーを信じても、自分を信じても何でもいいんですよね。なんだか明るい気持ちになることができました。ありがとうございました。（2年女子）
（「確かな依り所」「他者の世界観を排斥しない」，以上の二点がクリアーされていれば，どんな処方箋でも大丈夫です．「揺れ動く自分」を本当に信じるのは難しいことだと，私は思っています．）

今回の講義で、法の伝承形態について誤解していたということが分かってよかったです。literal だけで伝承する形態になったと思っていたのですが、oral と literal が併存して伝承されていったのですね。また、あらためてアショーカ王がタブーを破ってくれてよかったと思いました。もし、タブーが破られなかったら、カッサパたちのアラカン止まりの仏教が続き、難しすぎる処方箋のせいで仏教が広まらなかったと思います。固定された処方箋では解決できない人の悩みを、その人のサンスカーラに合わせた処方箋によって解決するというのは、とてもすばらしいことだと思いました。（2年女子）
（それが釈尊の仏教だったのです．）

ファインディングニモの例で大乗と小乗のことがよく分かりました！どう見るかで世界が変わるということにはっとさせられました(^_-)b今まで「まだ」とか「もう」という言葉を無意識に使っていたけど、見方によっては感じ方も変わるんだと思いました☆心の平和、幸せに生きるという考え方に少しずつだけど、近くなっている気がしますo(^-^o)(o^-^)o（2年女子）
（「あなたが変われば世界が変わる」のです :-) ）

有効な処方箋とそうでない処方箋の違いはどこにあるのかなと思いました。（2年女子）
（いくつかの判断基準があります．
　・りんごに向かわせるものであるかどうか．
　・無用なサンスカーラを発動させないかどうか．
　・他者を排斥しないかどうか．
　・あなたを幸せにするかどうか．）

なぜ、oral から literal との共存への移行によって、新しい処方箋が出せるようになったのかが分かりました。集団による管理とはいえ、人の記憶と文字にすることと比べれば、はるかに文字のほうが残していく点においてはすぐれています。大乗仏教と小乗仏教における違いは、私たちの今の生活の中でもいえる点があると思いました。例えば勉強では、目標が近すぎると、その目標に到達するまでの残りの部分までを気にしてしまい、自分がこなしてきた部分を見失いがちですが、大乗仏教のように、無限大（勉強だと、常に何かを学ぼうとすることでしょうか）であると、自分が頑張った分を見ることが出来るような気がします。あと、literal なものとしての併存という新しい道を切り開きつつも、ヨーロッパのルネサンスのように、釈尊に戻るということで有効な処方箋がだせたという、進みながらも昔を大切にするこのバランスというものが、大乗仏教の広がりを進めたのではないかと私は感じました。（2年女子）
（よいセンスです (^^) ）

大乗仏教よりも小乗仏教の方が現代人の姿のような気がしました。人生にゴールを決めている人はたくさんいると思いますし、小乗仏教は理解できたのですが、大乗仏教は無限の目標に向かう漠然とした状況を理解し難いものでした。（2年女子）
（漠然とはしていません．「サンスカーラを完全に統制下における状態」がゴールです．）

イタリアのルネサンス（文芸復興）のような、釈尊にもどる運動により釈尊の影響はより強くなったのではないかと思いました。もし、釈尊の滅後カッサパ達の存在がなかったら、大乗仏教も成立しなかったでしょう。前に進みたいからといって、先ばかりを突き進むのではなく、後ろを振り返り、古き良き伝統や思想を見つめ直す事は、新たな一歩を歩むためにも大変重要で意義のある事なのだと確信しました。そして、今回の授業で時代は変わっても、人々の中で釈尊は生き続け、形を変えてでも彼の教えを正確に吸収しようとする人々を見て、釈尊の偉大さを認めざるをえませんでした。（2年女子）
（過去に学び未来に活かす，それが大切です．読売新聞の１１月２３日付・編集手帳が興味深かったです．）

私は今まで、大乗仏教は全ての人を救うための仏教で、小乗仏教は個人のためにある仏教だと思っていました。しかし今日の講義を受講して、簡単に「全ての人・個人」という認識で終わらせてしまってはいけないと感じました。今日の講義を聴いて、大乗仏教の良さをすごく感じて、表現はおかしいかもしれませんが、初めて宗教を素晴らしいと感じました。（2年女子）
（ (^_^) ）

「死後の世界がある」と信じている人に対し、「あるわけない」と言い切ってしまうことはその人向きの処方箋ではない。死後の世界を不安に思っている人に対し、「そこには仏様がいるから安心して」と言ってその人が安心するならそれが最良の処方箋である。その人の心の平安、幸せといったことが大切なんだ、という今回の講義は何か自分の生き方や周りの対人関係を考えさせられた。今まで自分は周りの人が悩んでいるときにとんでもない処方箋をだしていなかっただろうか、とも思ってしまった。「有効な処方箋」を考えたとき、それからは何か人への優しさみたいなものが感じられた。（2年女子）
（それが「ブッダの慈悲」なのです．）

新しい処方箋はブッダをよみがえらせる力を持ち、りんごに向かわせる。そのりんごとはブッダであり、アラカンではないということが分かった。また、小乗は目標が有限であるため10進んだら、まだ90余っているという考えだが、大乗はどうやっても人間は不完全で、一歩歩いたら1残ると言う考えが印象的だった。（2年女子）
（強く印象づけてください．）

今回の授業で、大乗仏教と小乗仏教の違いが大まかにではありますが理解できました。日本のお坊さんは結婚も認められているし、飲酒もするし、小乗仏教徒から見れば「いい加減で真面目でない」という風にに見えるかもしれません。けれどブッタを目指すことを目標とする大乗仏教と、アラカンでとまっている小乗仏教を比べると、私は決してそうは思いませんでした。また、そのように人と比べ、優劣をつけるのはサンスカーラの影響を受けていると思います。（2年女子）
（「ブッダを目指さない」「処方箋が限定されている」という点において，大乗は小乗を批判的に超克すべき対象と考えました．）

今回ファイナルファンタジーⅨのテーマ曲(Melodies of Life)を聴きながら考えたことは「生きること」とはなにか、「死ぬこと」とは何かということでした。私は「死」とは自分の意思を持つことが出来なくなったときだと考えていました。そしてそれは肉体が滅んだときだと思っていました。しかし今回、この講義の中で考えたことは、肉体が滅んでも、誰かの記憶の中に自分が存在していれば自分の意思を持つことが出来るのではないかということです。肉体と共に自分の意思も失われてしまうというのは残された私たちの想像にしか過ぎないのではないかと私は考えました。もし肉体を失っても誰かの記憶の中に自分が存在していればまた何かを目指すことも、人を導くことも出来るのではないでしょうか。本当に誰の記憶にも残らなくなったとき私たちは存在する場所を失い、そこで本当の「死」がおとずれるのではないでしょうか。（2年男子）
（「死」「死後」をどう捉えるのかもサンスカーラの産物です．だからこそ，プラス方向のサンスカーラを発動させる必要があるのです．）

大乗はブッダを目指しているのに対し、小乗はアラカン止まりということは、小乗は目標を妥協してしまったということになるのだろうと思いました。あるドラマで、癌になった老人に大きな病院に入院したらちゃんとした検査や手術、治療ができてもっと生きられるというのに老人はせず、自分の生きた土地でお世話になった大好きな先生に手術をしてもらい、自宅で短い余命を過ごしました。その老人は、大好きな人たちが毎日会いに来てくれる、家から自慢の庭が見えると言いとても幸せそうだったと、助けられなかったと嘆く医者に家族は感謝の言葉を述べていた場面が今回の授業を受けて思い出されました。老人にとって大きな病院に行き寿命を延ばすことよりも、自分の生まれて生きた土地で過ごすことが有効な処方箋だったのではないだろうかと思いました。「幸せに生きる」ということができたのではないでしょうか。幸せに生きる・人それぞれの処方箋ということがわかったような気がします。それから FF はよく知っているので、それを使って教えてくださって嬉しかったし、わかりやすかったです。（2年女子）
（FF，皆さんもやりましょう :-) ）

今回の講義では小乗仏教、大乗仏教の比較を見てみたわけですが、私は大乗仏教のあり方に対する認識が変わりました。　今まで大乗仏教というと小乗仏教に対して楽して極楽浄土に行ける、みたいな印象を持っていました。それは平安時代の末法思想における浄土信仰の印象が強かったためですが、仏教文化であらためて大乗仏教を捉えなおすことで本来の大乗仏教の意義を教わることができました。そう考えると法の文書化によって従来では与えられるものであった処方箋が庶民一人一人が自分自身で悟りへの一歩を見つけていく、という個人の主体的な姿勢が重要だと思います。　小乗仏教は一部の出家者のみに伝わる処方箋で、しかも自らはブッダを目指さないというのは仏を作っても魂入れず、の状態にあるように思えます。ブッダからしてみれば、小乗仏教、大乗仏教ともにダメなのかもしれませんが、人間にはサンスカーラを使わずして生きられない、というのを自覚し、それでも一歩を歩む、という道は到達せずとも自らで前進していく、という表明であると思います。先が見えなくとも進んでいく、という姿にひどく惹かれますし、自分自身そうありたいと思いました。（2年女子）
（下線部：ブッダから見れば，人間は「悪いことをするな，と分かっていてもやめられないダメダメな存在」です．そして，そんな人間を救ってくれるのが〈処方箋〉なのです．）

ファインディングニモの話で half empty と half full という言葉がでてきたが似たような言葉がドラマや漫画を見ていてもよく出てくるなと思った。よくあるパターンでは一人が「あと一時間しかない！」と言い、もう一人が「あと一時間もある！」などと言う。日本語でいうと「しか」と「も」しか違わない。それだけの違いなのにそれぞれの言葉を発した人の生きている世界は全く違うのだと感じた。（2年女子）
（世界をどう捉えるか，それはサンスカーラを発動させる個人個人によって違います．ブッダならざる者は必ずサンスカーラを発動せざるを得ません．だからこそ，自らを，そして他人をも豊かにする捉え方で世界を捉えましょうよ．）

釈尊が覚った体験をことばにすることによりそれはサンスカーラとなりますが、不完全だけれども人に伝えるコミュニケーション方法はこれしかないと思いました。ことばとは誤解を招きやすいものだと思います。しかし、人に自分の思いや考えを伝えるのはことばによる方法しかないと思います。大乗仏教はブッダを目指すことが最終目標であって、それまでの段階は関係ありません。しかし、小乗仏教はブッダを目指すことが本来目標であったはずなのに、アラカンという有限な目標を置き、それに誰がどれだけ近づけたかという段階が重視されています。私は、一歩一歩歩んだことは認めるという考え方の大乗仏教の方がとても視野が広いなぁと思いました。私たちは心の平和を得て、今を幸せに生きることが何よりも大切なことなのではないのかと思いました。（2年女子）
（人は「今」にしか関与できません．幸せに生きましょう :-) ）

インドの文化や思想には、同じ行為を継続することや伝統などに対する重みがあるため、内側からそれらを破るという考え方は生まれにくかったであろうと思う。そのように考えると、アショーカ王がタブーを破ったことは、人々が待ち望んでいたことであったのかも知れない。そのような点は、インド文化の根底に流れる思想を充分に把握していなければ深くは理解できない部分であると思うので、その広がりを再確認しておきたい。また、大乗と小乗の考え方の違いから、同じことでも「少しでも進めた」と見るか「少ししか進めなかった」と見るかで、その人の目の前に広がる世界が大きく変わってくるものであるということを学んだ。（2年男子）
（「少しでも進めた」世界に住むようにしましょう．）

今回の講義では、大乗仏教と小乗仏教についてまとめました。まず小乗仏教について。元来、出家者はブッダではなくとも処方箋を出していたのに、それをやめてしまった。カッサパ向きの教えだけを固定してしまった。しかもブッダになることもやめ、「アラカンで良い」と有限のところにゴールを設けてしまった。つまり、絵に描いた餅を実現しようとして結局実現出来なかったのです。大乗仏教は違います。まず、教えはカッサパ向きの教えだけではありません。もちろん、カッサパ向きの教えを排除したのでもありません。修行の進んだエリート出家者向きの教えだけを固定するのではなく、在家者（一般の人々）向きの教えも取り入れる。まさに大きな乗り物です。本来の仏教の在るべき姿に戻ったと言えます。ただし、この大乗仏教は在家者が作ったのではありません。作ったのは出家者です。また、お経がブッダそのものというわけでもありません。お経には、もちろんブッダのことばも入っていますが、同時に多くの弟子のことばも入っているのです。ことばは不完全なものですが、広い意味でのコミュニケーションの手段です。ことば（有効な処方箋）とともにブッダはよみがえります。ことばがブッダなのではなく、ことばを通してブッダをよみがえらせることが重要なのです。私は「ことばを大切にしたい」と今回の講義で改めて実感しました。ことばは不完全なものだからこそ、大切にしなければなりません。ことばをいい加減に扱ったり、亡くなった方を忘れたり。これでは駄目です。私達が忘れない限りブッダは生き続けるのですし、その教えも有効なのだと思います。「ブッダから見ると人間は皆不完全である」という事実も学びました。誰かと自分を比較することは自分を苛めることに繋がります。また、「ブッダから見ると」という一言から、私は「今もブッダから見られているのだ。だからこそ、一日一日をしっかりと生きなければならない」という思いを新たにしました。「そのままで良い」、「病気のままでも幸せに生きられる」、「人それぞれの生き方があって良い」。つまり、処方箋をマニュアル化してはならないのだ、ということを知りました。マニュアル化（固定）してしまっては、一部の人にしか教えが有効でなくなります。人の数だけ教えがあって良い筈です。また、それで当然です。誰もが幸せに生きられる世の中に向けて歩むことがまさに第一歩なのだと思います。（2年男子）
（よし，よし :-) ）

処方箋の考え方に沿えば「善説はブッダのことばである」と再定義するのは時代に沿う形となり当然の成り行きだと思いました。「ブッダのことばは善説である」とする小さな集合では救いの形としては不十分であり、対応するために全体集合を拡大することは、ブッダの善説の枠外の人をも救い、ひいては万人を救うことへと繋がる措置だと考えられます。
　さて、話は変わりますが、大乗経典は阿羅漢ではなくブッダを目指すという本来の姿、すなわち原点回帰を進めるものであり、小乗のほうは阿羅漢に留まると伺いました。つまるところ、大乗は終わりなき挑戦を繰り返し、小乗は言い方は良くないですが妥協に留まった形をとっています。釈尊の遺言「諸行無常である。サンスカーラの無軌道な発動を抑え、ブッダを目指せ」に則って考えればどちらが本来の姿であるかは明白だといえます。
　さらにこれら二つを見て、大乗はｋ／ｘ＝０　（ｘ→∞）、小乗は［ｋ］　０≦ｋ≦ｎ　（ｎは有限値）　だと私は考えました。つまり、大乗は無限大分の定数ということであり、ブッダ（ｘ）から見れば修行度合（ｋ）は０に等しいものであるから、修行の進み具合による貴賎なしと考え、小乗は修行度合が進めばランクが上がるという概念を持ちます。ここで重要なのはブッダではなく人間が修行をするということです。小乗側も仮に阿羅漢に到達したとしても所詮はブッダとなってはいません。大乗側だったらランク付けをして良いとは言いませんが、妥協をし、勝手な到達点をあつらえた者がランクをどうこう言っているのは勘違いも甚だしいのではないでしょうか。小乗側はブッダの遺言を覚えていたかすら怪しく思えます。（2年男子）
（だからこそ，大乗 great vehicle なのです :-) ）

【総評】皆さん，大乗と「いわゆる小乗」との違いをよく理解してくれたようで安心しました．次回は大乗仏教の処方箋の具体例を見ていきます．（鈴木隆泰）

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