5/7 授業の感想3号と回答
感想3号(総数 171名:県大生 77名,山大生 94名)の結果をお知らせします.「自分の意見が載っている,載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません.ただし「感想の内容」は評価対象となっています.
複数の同一または類似の感想は,原則的に最初に目についたもののみを採用しました.
原文の一部を修正したものがあります.
男子・女子の区別は氏名に基づく判断です.もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい.
今回よりいよいよ本格的にインドの宗教文化に触れていきます.まずは Veda の紹介をしました.
- 今日先生がおっしゃった「宗教は人間が育んできた文化」とう言葉に納得させられるものがありました。宗教と文化は密接な関係を持っているのだと思いました。今日は Veda についての授業で、Veda は4つあって4つのパートがある。=4×4=16パートあるそうですが、すべて oral tradition だったのですか?(2年女子)
(そうです.全て oral に伝えられました.)
- 今日は正直寝不足でうとうとしていたのですが、急に奇妙な歌が流れてきて、それで目が覚めました。(今度はしっかりと睡眠をとってきます)(1年男子)
( (^^; )
- Veda 讃歌は実際に耳にすると、音楽のようにも呪文にも聞こえました。仏教の読経に少し似ているような気もしました。それにも旋律があるように思うのですが、仏教には定められた旋律があるのでしょうか(4年女子)
(仏教にも「声明(しょうみょう)」といって,聖典に一定の旋律をつけて読む方法があります.声明の CD が研究室にありますよ.)
- いつも思っているのですが、電波の状況が悪く先生の喋っている【たぶん大事なところ】がすっぽり抜けていて、非常に残念です。
ところで、自分も今まで宗教と聞くと怖いものというイメージが非常に強かったのですが、それが、明治以降の概念で、文化=宗教という繋がりがあるとは知りませんでした。つまり、宗教は一つの文化で、文化の中に宗教が含まれるということでいいのでしょうか???
また、インドには、これだけ多くの自然現象についての神が存在しているというということで、昔から人間じゃ自然には到底かなわないんだと思いました。(1年男子)
(通信用ソフトウェアの不具合が原因だそうです.山大側・県大側双方の担当の先生方が鋭意改良の努力してくださっているということですのでご勘弁下さい.「これじゃ困る」と,山大の教務サイドに学生さんたちから強く訴えてもらうのが最善だと考えます.授業を受ける権利は自分たちの手で守っていってください.
下線部:その通りです.宗教は紛れもなく文化の一つです.特にインドのヒンドゥー教の場合,ヒンドゥー教=インド文化という等式が成り立つほどに両者の分離は不可能なのです.)
- アーラニヤカの中にある森は悪いもので切り開かねばという考え方には森の先が見えない不気味さに対する恐怖があり、それは世界の他の地域にも共通するものがあると思いました。(1年男子)
(それはヨーロッパ世界の話であって,インドの森はそのような悪ではありません.)
- インドの話もおもしろく思いますが、私はギリシャ神話が一番おもしろく感じます。神という立場にありながら、人間くさいところがです。先生はアニメとか、マンガとかよく読まれますか?もしそうならば、ガンダムSEEDをご存じですか?二人の少年をベースとした物語なのですが、この物語にもどことなく宗教色があるように感じます。へリオポリスという都市が出てくるし、この二人の少年の名前は、キラとアスランです。どちらも破壊神ですよね?アスランは阿修羅をもじっているのかなと思いました。(1年女子)
(ごめんなさい.私にとってガンダムは最初のガンダム(ファーストガンダム.映画三作品(1, 2, 3)を含む)だけなんです.人類の覚醒(ニュータイプ)の夢を打ち壊してしまった後続作品には私はついていけませんでした.)
- 神々への賛歌を唱える時インドではまず神を誉めることからはじめると聞いて、これがインドらしさなのだろうと思った。一般的にみて寒冷地方では哲学が進歩するという傾向があるが、逆に温暖な地方では個々の枠組を飛び越え、自然環境さらに全宇宙へと自らの思想を羽ばたかせているという感じがした。(1年男子)
(誤解です.インドの哲学は西洋や中国のそれと比べても決して劣るものではありません.また,西洋や中国の思想も宇宙へ解放されていないわけではありません.)
- シヴァ
シバ神の元がインドラ神だということもはじめて知りました。(1年女子)
(違います.シヴァ神の原形は暴風神ルドラです.うーにゅ.これも通信状態の悪さに起因するのかも知れませんね.私も授業を提供する権利を行使しなければならないかも.)
- インドラがシヴァ神のもとということシヴァ神も雷を司るってことですか?そうだとしたらデウスに似てますね。やっぱりこれは何か関係あるですか?(1年男子)
(上の方と同じ間違いです.インドラがシヴァ神の原形なのではありません.)
- 旋律であるサーマヴェーダもサンヒター、ブラーフマナなどの4つに分かれているのですか?そしてやはり一番最後のところが極意だったりするのですか?(1年女子)
(そうです.旋律はサーマヴェーダのサンヒター部です.)
- 今日の授業は何をやっていたのかよく分かりませんでした。ただ、あの歌に妙に親近感が沸きました。(1年男子)
(今回の授業では,まず「宗教」と「religion」の関係を説明してから,インドへのアーリア人の侵入,そして 4Veda の概要をやりました.それとも,音声や映像が悪くて分からなかったという意味ですか?)
- 今回初めてインドの(ヒンドゥー教の)神への賛歌を聴いたのですが旋律がとてもイラク・イラン(中東地域)の音楽に似ていると思いました。それだけでなく日本の昔の曲もあんな旋律じゃなかったですか?インドからアジアに広まっていったのかな・・・なんて自己解釈しました☆
インドラは1番人気な神様なのに女癖(?)が悪いんですね・・・。(1年女子)
(アーリア人はインドにもイランにも入っていきましたからね.でも,日本音階へも影響したと想定することは難しいかも知れません.
Veda の神々には,必ずしも道徳的とは言えない面があります.Veda の神々の特徴については次回扱う予定です.)
- インドの宗教を知ることで、私たち、日本人は無宗教ではないと改めて思いました。考えてみると、八百万の神様は私にとって身近に感じるし、またそれぞれの場所から、私たちを見守っていてほしいな、と、思います(1年女子)
( (^^) )
- 森に対する考え方、とらえ方がまた日本と似ていると感じました。森林書まであるのだから、多分日本よりさらに自然との繋がりが強いのだと思います。日本で言うシャーマンの様な役割をする人はインドにいるのですか?先生はうる星やつらも得意分野だと言われましたが、やはりらんまも得意分野なのですか?ウパニシャッドはよく奥義書と言うふうに訳されていますが、そこにはどのような奥義が書かれているのですか?(1年男子)
(Veda の宗教においては憑依型シャーマンは一般的ではありませんが,「宇宙の真理」とされるものと交感し,その経験を現実世界に反映させる「聖仙リシ」という人たちはいます.Veda 文献自体,リシが真理と交感し作成されたものと考えられています.
ウパニシャッド(奥義書)の中核思想は「梵我一如」「業・輪廻・解脱」です.どちらも今後の授業で説明しますよ.)
- 無宗教だという日本の文化もそれはそれで宗教なんですね。
余談ですが僕は GHOST IN THE SHELL を見てから攻殻機動隊にはまりました。(1年男子)
(押井監督は凄いですよね :-) )
- 今回の講義も様々な神の話を聞けて良かったです。暴風神がシヴァ神の原型だと初めて知りました。そして今回改めて気づいたのはゲームや漫画の元ネタになっている話が多いことでした。あまり関係がありませんが、例えばドラゴンクエストはまず間違いなくニーベルンゲンの歌がモデルになっていると思われます。FFも北欧伝承やギリシャ神話をモチーフにした敵や武器が多くでてきます。ますます神話に興味深くなりました。ところでブラフマーを数えて三大神とすると本に書いてありましたがこれは違っているのでしょうか。(1年男子)
(ラグナロクとかオーディーンとかいろいろありますよね.でも FF のシヴァとインドのシヴァとは関係ないんですよ.FF のシヴァは英語の shiver に由来するんだそうです.
三大神はヴィシュヌ,シヴァ,ブラフマーで合っているのですが,Veda 時代(初期ヒンドゥー教)でなく,もっと時代を下ってから出てきた思想です.今後授業で扱いますよ.)
- 高校の時には、ウパニシャッド哲学というのが出てきたのですが、これは veda の奥義書に基づく哲学なんですか?(1年男子)
(その通りです.)
- だんだんとインド文化の奥に入り込んできたような気がしてきました。先生からすれば、まだまだなのかもしれませんが…。今日は先生の「宗教とは、人間がはぐくんできた文化である」という言葉に、とても考えさせられました。確かに、宗教というとオウム真理教などから、“洗脳”といった怖いイメージを持ちかけていましたが、よく考えれば私たち人間が生活をしていく中で作り上げたもの、つまり文化なんですね!勉強になりました! (2年女子)
(これからどんどん「濃く」なっていきます.ついてこいよ! :-) )
- ヴェーダは口承で人々のあいだに伝わったとのことですが、大勢の人々に口承されていくうちに変化してしまうといったことはなかったのでしょうか・・?気になりました。あと、今日の講義で出てきた自然神に関する神話はあるのでしょうか。もしあるのなら読んでみたいと思いました。 (2年女子)
(下線部:それこそ oral な伝承の一大特徴です.テクストは「開かれて」いるのですよ.
リグヴェーダ讃歌は岩波文庫から訳本が出版されています.)
- 雷神 Indra は India という言葉と全く関係ないのですか?(1年女子)
(関係ありません.India の由来を説明すると,まず Sindhu シンドゥ(インダス河のこと)の語頭の S がペルシャ語なまりで H に転訛し Hindhu(あるいは Hindu)ヒンドゥとなり,さらにそれがギリシャ語になると語頭の H が脱落し,Indu(あるいはIndos)インドゥになりました.現在の India という呼び名はこうしてできていったのです.)
- 日本のアミニズムはインドの多神教からきたものだったのですか?(1年女子)
(違います.アニミズムは世界に広く見られる宗教文化です.)
- 私の家は宗教ごとをあまりしないので無宗教かなっとおもっていたけれど今日の授業を通して小さな世界や思い込みにとらわれたらいけないなぁと思いました。郵便局でガッチャマンシリーズ2の切手買いました。 (1年女子)
(「自分の世界を広げる」のが学問する醍醐味です.)
- 今日の講義でヴェーダの神々の話を聞いて、やはり多神教は面白くて親しみやすいなぁと(一神多神の優劣という意味ではなく)思いました。ひとつひとつの自然現象に神格化された神がいて、人間界の役職のような風景に見えて親近感を持ってしまいます。 神同士で争ったりといった人間っぽい話に面白みを感じるとともに、そういった話に民族的背景があることをはじめて知りました。アーリア人は Asura の神々を卑下していると聞きましたが、Deva の神々と Asura の神々が争うと、アーリア側でない Asura の神々はいつも負けてしまうしまうのでしょうか? (1年男子)
(deva の代表であるインドラに対し,asura たちは何度も挑戦しますが,何度戦ってもインドラが勝ちます.こんな話もありますよ.あるときインドラはある asura の娘に恋をして,彼女を無理矢理さらって嫁にしてしまいます.現代風に言えば,インドラの行為は誘拐・拉致監禁・婦女暴行に相当しますね.そこでお父さんが怒って(そりゃ怒るわさ)娘を取り返しに行くのですが,いつもインドラに返り討ちにあってしまうのです.どうです? ひどいよね.)
- (1) アタルヴァヴェーダは異系統と書いてあったのですがほかに3つとどのような違いがあるのですか??
(2) ヴァルナは水の神だそうですが、カースト制(?)の事もヴァルナと言わないですか??(1年男子)
((1) リグ,サーマ,ヤジュルの3ヴェーダが祭式と関係しているのに対し,アタルヴァは日常レヴェルの呪文が中心であったため,当初は別扱いだったのです.
(2) 肌の色に基づく身分差別のヴァルナは var.na と綴り,ヴァルナ神は varu.na と綴ります.カタカナで書くと同じになってしまいますが,もともと別のことばです.前者のヴァルナ制度については次回扱う予定です.)
- ところでいつごろから供儀 yaj~na から供養 puujaa に変わったのですか? (1年女子)
(いきなりパタッと変わったわけではありませんが,紀元前 5, 6 世紀にはすでに供犠が嫌われたり,その効果が疑われていたことが分かっています.それに呼応するかのように供養が広まっていきました.)
- Rudra はシヴァ
シバ神の前身だという話がありましたが、どのようにシヴァシバ神になっていったのですか? (1年女子)
(Veda 時代(初期ヒンドゥー教時代)を下ってヒンドゥー教がインド文化そのものとなっていく過程でシヴァになっていきました.)
- (1) veda が口伝であり文字で表すことが禁忌なのは、ただ単に声に出すと言葉に力が宿るからではなく文字にすると人間の目に見えるからいけないのかなと思いました.神様は目に見えない次元にいるので、神々に捧げる言葉が人間に見えてはいけないのだろうかと。
(2) シヴァ神が奥さんに踏みつけられていたのは, シヴァ神がアーリア人の神様でなかったからなのでしょうか。とすると奥さんはアーリア人の神様になりますよね。(1年女子)
((1) そういう言い方は実際にされうるとは思いますが,多分,後からついた理由だと思います.literal に拠らない oral な伝承は世界各地で見られますから.
(2) そうではありません.シヴァ神もカーリー女神(シヴァ神を踏んづけている奥さん (^^;)も土着信仰から生まれたのです.あれは女性の力(シャクティ)に関わるもので,アーリア対非アーリアという構造で見るものではありません.シャクティについてはこれからやります.)
- ヴェーダはアーリア人によって作られたものであり、アーリア人の宗教的なものを記録した詩集じみたものだと思っていましたが、インドの土着民族との融合の結果にできたものだということに驚き、融合していこうとしたことはすばらしいことだと思いました。しかし、アーリア人が入ってきたこと身分的差別ができてしまっただけでなく、神々にまで差別ができたことは残念だと思いました。 (1年女子)
(授業中にも説明したように,「Veda=アーリア人の宗教」「ヒンドゥー教(≠Vedaの宗教)=アーリアと非アーリアの融合」という捉え方をするべきではないのです.)
- 今日の話はとても難しかったです。横文字がたくさん出てきて…これは全部覚えないといけないんですか?(1年女子)
(どれを覚えてどれを覚えないかを自分で判断するのも勉強ですよ.)
- (1)リグヴェーダと、サンヒターの歌の違いは何ですか? (2)どうして、願主は自分で祈ることができないんですか? (1年女子)
((1) リグヴェーダの中にサンヒターがあるのです.
(2) 「祈る専門職」がいるからです.授業中に説明しましたよ.)
- 前回の質問の回答にあった、「インドの言葉になった日本の言葉」について教えて下さい。 (1年女子)
(リクシャーですね.日本の人力車(じんりきしゃ)の転訛で,インドで活躍している小型のタクシーです.)
- 疑問に思ったのは、何故神へ対して生贄をささげる必要があるのかということです。 (1年女子)
(自分がしてもらいたいことは神々もして欲しいと望んでいるはずだ,という発想です.それは時代性・地域性によって左右されますが,それこそまさに文化の一局面なのです.)
- 神話には沢山の神々が出てきたが、その神話も誰か人間が書いたものであるのは言うまでもない。しかし、なぜそれを信じるのだろう?俺もなんか書いて新しい宗教つくれるかな? (1年男子)
(思想(共産主義や経済偏重主義)なども人間が作ったものであることは言うまでもない.しかし,なぜそれを信じるのだろう? 日常の行為(米のご飯を箸で食べる,朝の挨拶に「お早うございます」と言う)なども人間が定めたものであることは言うまでもない.しかし,なぜそれを行なうのだろう?
あなたは宗教が文化であることがまだ理解できていません.それから,教員に対して提出する感想文なのだから,言葉遣いも常識の範囲を逸脱しないように.その「常識」もまた「文化」です.)
- 日常の呪文にはどんな呪文があるのか知りたいです。 (1年女子)
(病気や蛇を避けるおまじない,恋敵を失墜させたり好きな人を振り向かせるおまじないなどもあります.)
- 疑問に思ったことは、deva であり強いはずのインドラの体についている性器は誰がつけたのかということでした。(1年男子)
(聖仙によってつけられました.「いまひとつ弱い Veda の神々」については次回扱います.)
- 今日先生が話されていた宗教的知識であるヴェーダ
ヴェーダーについてですが、その後でてきたサーマヴェーダヴェーダー・ヤジュルヴェーダヴェーダー・アタルヴァヴェーダヴェーダーとの関わりがよく分からなかったので教えてください。(1年女子)
(4ヴェーダについて,それぞれのサンヒターに関してもう一度説明します.
・リグヴェーダ:讃歌の集成
・サーマヴェーダ:旋律の集成
・ヤジュルヴェーダ:祭式の際に唱えられる呪句の集成
・アタルヴァヴェーダ:日常の呪句の集成
です.サンヒター部に関する限り,リグヴェーダのそれが Veda の宗教の中心部と考えて構いません.)
- あともし宗教戦争が本当に自分たちのためじゃではなく、神のためだったとしたら、文化の中にも宗教戦争は入るんでしょうか?((1年男子)
(授業中にも説明したように「神のために行う宗教戦争」などあり得ません.本当に神を信じているなら,敵を打ち破るのは神さまに任せておけばよいからです.)
- 以前シッダールダについての本を読んだときに、バラモンという言葉がずっと出てきました。バラモン教が初期のヒンドゥー教ならば、シッダールダはアーリア人が入ってきた頃の人ということなのでしょうか。気になります。また、私が読んだ本のバラモンはとても高圧的で、位のひくい住民に対してひどいあつかいをしていました。それはアーリア人の文化だったからなのでしょうか。(1年女子)
(仏教の開祖釈尊は,紀元前 4, 5世紀の人ですから,アーリア人の侵入からはおよそ1000年ほど経過しています.階級制度については次回扱います.)
- ヴェーダは口承と言うことでしたがサーマヴェーダなどはマニュアル化が不可能ならその口承の行為自体をサーマヴェーダと言うのですか?もしそれが今書物として残っているなら旋律はどのように記載されているのですか?音符ですか?(1年女子)
(リグヴェーダ(サンヒター部)を祭式で実行する際にはサーマヴェーダ(サンヒター部)の助力が必要なのです. 「書物として残っているサーマヴェーダ」についてはこちらをご覧下さい.文字の上にあるのが旋律を表しています.)
- 授業を受けて気づいた
きずいたのですが、日本ほど宗教の入り混じった国はないのではないでしょうか。どの宗教からの影響がステレオタイプ的で、ぐちゃぐちゃな印象を改めて感じました。神々にはそれぞれが平等であるというきちんとした意識があるのに、人間界には根強い差別があったのか。インドはそうあってほしくなかったです。ただの私の希望ですが・・。 (1年女子)
(ステレオタイプではないと思いますよ.様々なものが混じっていることはその通りだと思いますが,だからこそ日本独自の宗教文化が育まれたのです.例えば,朝敵の菅原道真を太宰府に祀ったり,A級戦犯を靖国神社に祀ったり,大国主命を祀る出雲大社が天照大神を祀る伊勢神宮よりも大きかったり,これらの理由は決してステレオタイプで説明できるものではありません.そして,そのきちんとした説明を怠っているからこそ,いまだに靖国参拝に対して海外から批判を招いてしまうのだと考えます.付言すれば,靖国参拝は確実に「宗教行為」なので,総理の参拝は憲法違反です(ですから,総理が「靖国公式参拝は宗教行為ではない」というのは,靖国神社を冒涜するものでもあります).でも,憲法の問題(国内問題)と海外からの批判(国際問題)とは分けて考えるべきだと思います.私の意見では,総理の靖国参拝は憲法違反ですが,日本人(もちろん全員とは言いませんが)には靖国参拝をする「宗教的理由」があるのです.その意味で,「日本人は A級戦犯を祀っている靖国神社を参拝しているので,いまだに戦争の反省をしていない」という海外からの批判は正鵠を得ていません.でも,その批判に対するきちんとした説明の義務を怠っているのは日本側の過失なので,現状において日本が海外からの意見を批判するのは「逆ギレ」でしょう.)
- 「yajur-veda」を聞いてから、頭の中が「やじろべぇ」に支配されているのは私だけではないと思いますが、今日の授業は今までよりも少し難しかった気がします。私のとったノートによれば、vedaは宗教的知識、聖典、なので日本文化の中にもあるはずですが、つまりはお経みたいなものですか?来週もvedaの話が続くと思うので、もう少しきちんと理解できるように頑張ります。(1年女子)
(Yajurveda(ヤジュルヴェーダ)=やじろべぇだ.
Veda は聖典ですから,仏教で言うお経に相当します.)
- 今日の授業の中に出てきた veda は人々の間に口伝で教えていたとありましたが、なぜ宗教的なものを文字で表すことはタブーだったのですか?あと、宗教について自分もあまり良いイメージがありませんでした。でもこの授業で宗教を学んでいくうちに神様は1神仏でなく複数いるということや、さまざまな種類の神様がいるということ、それからその神々にまつわる物語など興味深いことが結構あって自分の中にある宗教の固定観念がなくなるような気がします。これからも面白い話をたくさん聞かせてください。(1年女子)
(「なぜか?」と聞かれれば,それが oral な伝承だったから,というのが(トートロジー的ですが)一番の理由です.そして,さらにその理由を尋ねるならば,ことばの力への信仰や知識の独占などが挙げられると思います.)
- oralは、口で伝えていくものなのに広まっていったということが、すごく力があるものなんだなと思いました。ちなみに、聖書はoralとliteral、どちらでしょうか?(口でもつたえられているので) (1年女子)
(聖書も元来は oral な伝承でした.)
- 今日は神についてやりましたが、日本人は無宗教なのではなくて、いろんな宗教を知らないところで信じている特殊な考えを持つ人間だと思います。私は前まで宗教を信じている人を少し遠い目で見ているところがありましたが、祭が大好きな私にとって、宗教は生きる上でとても大切で生きている意味を持つものだと思いました。自然神にはいろいろありましたが、どうして暴風神を神と思うのか気になります。私だったら「暴風がふきはじめた!神様助けて!」と他の神様を呼んでしまいそうですが、この人たちは、神様いじめないで!と思うというところに偉大さを感じさせられました。 (1年女子)
(暴風(モンスーン)は凶暴で恐ろしいものであると同時に,雨によって恵みをもたらす存在でもあります.)
- その時の状況に応じて拝む神様を変えるっていうのは何だか「困った時の神頼み」って感じだなぁと思いました(笑)多神教の神様って一神教の神様よりバカな感じで(こういう表現はどうかなぁと思いますが・・・)人間っぽいですよね。ギリシャ神話とかを読んでそう思っていたのですが、やっぱり通じてるだけあってインドの神様も人間っぽいですね。 (1年女子)
(両下線部ともなかなか穿ったご意見だと思います.ギブアンドテイクが Veda の宗教の基本ですし,「いまいち弱く,人間ぽい神」も Veda の神の特徴です.)
- 雷の神様が一番人気だというところに驚いた。太陽とか水の神様のほうが大事そうな感じがしたのでちょっと意外だった。宗教で人殺しはありえないという話も納得した。でも中には歪めて解釈する人もいるんですよね。新興宗教もやっぱり怪しいものが多い気がします。 (1年女子)
(「戦う神」が一番になったところに,リグヴェーダ編纂時の社会状況が窺われます.アヤシイ新興宗教はたくさんあります.それは事実です.)
- 授業とぜんぜん関係ありませんが、このG・W京都へ行ってきました。 三十三間堂に、雷神などの彫刻が並んでいました。 その解説に「インドラ」の文字が!! でも、本来は神々を「文字化したり、偶像を作ったりはしない。」という今日の授業を聞いて、少しがっかりしました。 いや、旅行そのものは楽しかったんですけどね。 京都弁の女の子はなんで、あんなに可愛く思えるんだろう・・・? (4年男子)
(君もしっかり「日本男児」してますなぁ.)
- インダス文明が滅びた本当の理由を先生の講義で初めて知りました。まだ文明が衰退していないころにアーリア人がせめて来ていたら歴史が少し変わっていたかも知れませんね。“歴史の中の分かれ道で違う選択をしていた場合”という世界を見てみたい気がします。あと、質問があるのですが、4つの Veda の中にある呪文には、呪文と聞いて私たちがイメージするような怪しげな意味もあるのですか?それとも仏教でいうお経に近いのでしょうか。 (1年女子)
(アヤシイものもあります.付言すれば,仏教のお経の中にもアヤシイものもありますよ.←ダメなもの,イケナイもの,という意味ではありません,為念. )
- 歌があるのにはびっくりしました。宗教には歌はつき物なんですか!?オウム真理経にも麻原をたたえる歌がありましたよね?私も自分では無宗教だと思っていたけど、確かに無宗教ではないですよね?日本人として日本の文化の中で生活しているから、私もれっきとした日本というある意味無形の宗教の信者なんだと思いました。(1年女子)
(宗教に歌は付き物です.信仰感情を吐露するのに,歌はとてもよいメディアなのです.)
- 今日の授業は果たしてインドの宗教を学んだのかアーリア人とインド人の宗教を学んだのかどこからどこまでがバラモン教と呼べるのか、少しこんがらがってしまいました。時間があれば自分でまとめてみようと思います。今日の後半の自然の神々に対する信仰については、日本に近いなと感じました。キリスト教のように、学問のような信仰ではなくて、日々生きていく人間が直に感じた自然に対する畏怖や敬意からなる信仰で、日本の八百万神の信仰と似ています(と私は感じました)。そういう純粋な「未知なる自然」に対する宗教はキリスト教などとは違い、宗派というもので争うこともありにくいのではないかと思います。(段々と発展していけばそれぞれ全く変わってしまうでしょうけども)そもそも宗教とは神がいれば宗教となるのでしょうか?精霊のように何かを抽象的に崇めれば信仰になるのでしょうか?自然に対しただ純粋に敬意と畏怖をもって接することは宗教というのでしょうか。今気がつきましたが、やはり宗教の定義というものは難しいのですか? (1年女子)
(難しいです.宗教の定義は学者によって十人十色で,例えば解説書を比較したとしても,統一的な解答を見出すことはできないでしょう.ただし,その多様な定義の中で共通する部分を挙げるとしたら,「宗教はそれを信じる人にとって,ある種の絶対的な意味を持つ」ということです.したがって「価値観の相対化が叫ばれる中,それを受け入れない文化が宗教である」,という定義もあり得るでしょう.)
- 宗教学という授業をとってはみたものの、私たち日本人の宗教については考えたことがありませんでした。
初詣や御祓いや願掛けなど、神社やお寺に出向くことが多いので、やはり仏教国だなとは思いますが、クリスマスという行事があったり、教会で結婚式を挙げたりと、キリスト的なものもあり、なんだか不思議です。
実際に信仰の篤い厚い日本人は少ないと思います。
そこでふと思ったのですが、インドの人々はみな、今私たちが勉強しているような信仰をもっているのでしょうか?
それとも信仰の厚い一部の人々について勉強しているのでしょうか?
また、神にもいろいろな神がいて、さらには人気のある神様までいるなんて驚きです。宗教ってそんなに堅苦しいものではないんだなと思いました。(1年女子)
(下線部:初期ヒンドゥー教の場合でもかなりそうでしたし,もっと大衆化した時代では,事実上「皆,信仰を持っている,持っていた」と言えます.ヒンドゥー教=インド文化,ですから.)
- 授業の度、私の持っている偏った固定観念を崩してくれるので今後の授業がとても楽しみです。(1年女子)
(そう思ってもらえると,こちらとしてもやり甲斐が一層大きくなります.ありがとう.)
- 授業のはじめの辺りで、アーリア人がインドとイラクに分かれたところの説明が映像の乱れで聞けませんでした。次回の授業でもう一度お話ください。(1年女子)
(重要なことは何度でも繰り返しますが,この件についてはここに書くことで許してください.
コーカサス地方を旅立ったアーリア人の一部は,インド・イラク方面に移っていきました.そしてそこ(=コーカサス地方とインド・イランの中間地点辺り)である期間定住した後,今度はインドとイラクにそれぞれ分かれて入っていくのですが,リグ・ヴェーダの主要部分は,彼らがインドとイラクに分かれる以前にかなりできていました.そのため,リグヴェーダの神々と古代イランの神々との間には共通点があるのです.)
- 讃歌をきかされて、インドの奥深さを感じた気がしましたが、異様に聞き入っている自分に気づいた時は怖くなりました。(1年男子)
(君も前世ではきっとインド人だったんだよ :-) )
- 先生が前回の感想の答えとして、日本語からインドの言葉となったものもあると書いていらっしゃったと思うんですが、それはどのような経路でインドへ伝わったのでしょうか?インドから日本へ伝わるのはわかるのですが、日本からインドへとは・・・!中国などを通して伝わったのですか? (1年女子)
(英語経由だったり,太平洋戦争の影響だったりします.)
- 皆さんの感想と先生のコメント思った以上に勉強になりますね!これからもチェックしてこ〜^-^ (1年女子)
(是非チェックしていってください.)
- 讃歌を聞かせていただきましたが、私の持っていたイメージとは違いました。私はもっと宗教的で複雑でおどろおどろしいものを想像していたのですが、実際には軽快なリズムで聞きやすくて、ダンスも出来そうなかんじでした。あれにビート音をきかせたら、立派な現代音楽にはやがわりですね! (1年女子)
(あれも「宗教音楽」です.あなたの「宗教」の捉え方を拡げていってください.)
- (1) deva と asura のことですが、なぜアーリヤ人が asura を戦いを好むとして見下したのかが分かりませんでした。戦いを好むのは騎馬民族であるアーリヤ人の方の deva のほうであるのではないのかと疑問に思いました。しかし、現在でもインドの神様が武器を持っていることとつながっているのかもしれないとも思いました。もともとインドに住んでいた人々もどちらかというと戦いを好む人々だったのでしょうか。この話はまだ講義で扱っていないので、そのときを楽しみにしています。
(2) ヴェーダの話ですが、リグヴェーダの中にサンヒター、ブラーフマナなどがあるということですか?
(3) 私は自分が日本文化を知らないことに気がついたとき、日本人であるのに悲しいことだと思いました。しかし、私も物には心があるような気がしてならないのは、日本元来のものの考え方だと知り、すごくうれしかったのを覚えています。だから、インドでもちゃんと元来の思想が残っているのをうれしく思います。 (1年女子)
( (1) 「歴史は“勝者”が作る」のです...
(2) そうです.4ヴェーダはそれぞれ4つのパートより成っています.
(3) 外国を見ればみるほど自国が見えてきます.だから外国文化を学ぶことは絶対に必要だと思っています.)
- 「人が生きていること自体が文化」という台詞が凄く印象に残りました。ですよね。私もそう思うんです。憲法の『文化的な最低限度の生活』ってどんなだ、と思っていました。生活の中に根深く宗教と言うものが入り込んでいることは、日本みたいな国では自分では解りにくいですね。言われないと気がつかないものもあります。それが信仰だと言われてきてないものだから。よく無宗教の国は楽だなぁ〜とか思うのですが、盆になれば墓参りに行くし初詣も三回忌も葬式も当然のように行うし、実はばっちり宗教行事をこなしてる辺り笑えます。神様同士の喧嘩…考えてみるととんでもないですよね(笑)。その度に天は荒れ地が唸り海が吼えるのか…。人間はどれだけとばっちりを食らうのでしょう。ヴェーダのアーラニヤカに凄く興味があります。インドの森林というのには、綺麗で神秘的なイメージがあります。(1年女子)
(森林での修行は今も昔も広く行われています.仏教においても森林修行はごく普通に行われていました.)
- 宗教、今まで私は聖書を読んだり修行したり、洗礼や呪文などどちらかというとすごく儀式的に感じていました。 でも宗教は文化だ!と仰った時には、そういうものなんだ、そういう考え方もあったんだ。と改めてというか、自分は難しく考えすぎてたなと思いました。 今回の講義では特にインドの原点でもあるインダス文明はすごいなと感じました。まだガーンディー
ガンディーについて入ってないのでよく分かりませんが、伝記などを見る限りこの人はアーリア人的な考え方の人ではなく原住民が考えを濃く受け継がれた方だと思います。 この講義をやる前は皆無に等しいくらいインドの文化や考え方は知りませんでしたが、今はまだ少しかじっただけでもその大きさやすごさに感動してしまいます。(1年女子)
( (^^) )
- 参りましたm(__)m 今日の講義の最初のほうでヒンドゥー教とヒンドゥー文化は先生は分けていないといわれてそのときはなんとなく漠然と聞いていたのですが、講義の最後のほうで神々の話になったときに Indra が Asura を倒す話がよく出てくるという話を聞いてなんとなくわかったような気がしました。それは宗教がそれを考えた人々の環境や状況、歴史的経緯を含めて形成されていると受け止めることができると考えられるからです。例えば、農耕民族なら水や土に神々の存在を感じやすく、戦闘民族なら戦いの神を重要視するというように、(当たり前かもしれませんが)その文化がうまれる過程や継続されるうえで身近なものに神々の力を感じ、恩恵を受けたいから崇拝するのだなと思いました。・・・となると学業や娯楽的な神が出てくるときはその文化が安定しているときなのかなと思われるのですがどうなのですか?(1年男子)
(地域・時代・環境が人を育み,その人が今度は宗教を含めた文化を育んでいくのです.
今日の食べ物にも困るような状況下では,精神性に関わるようなものよりも,身体・生命に関わるものが好まれるという傾向はあると思います.でも,人間は複雑で,かえってそういう時こそ娯楽を強く求めることも珍しくありません.人間って不思議で,面白くて,そして何より素敵だと思います.)
【総評】「今回の授業は難しかった」「分かりにくかった」という感想が少なからずありました.新しい知識を多く紹介したので,たしかにそのように感じる方が少なくないことは私としても予め覚悟していました.しかし,その分かりにくさの一端には,皆さんが「これまで宗教という文化に関する教育を余り受けてこなかった」ことも挙げられると考えます.この講義を通じて,自分の世界(世界観,世界認識)を広げていって欲しいと思います.難しくてもついてこいよ! (鈴木隆泰)
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