5月29日
異文化コミュニケーション



A:私たちの周りにはたくさんの外国人がいますよね。そのことについて今日この題材を選びました。まずみんなに聞きたいんだけど、外国人に対してどう思ってる?
B:私は、白人に対しては単純にかっこいいとか高貴っていうイメージで、黒人に対してはちょっと怖いけどエキゾチックなイメージだな。どこか違うってかんじ。
A:うーん。じゃあ、白人・黒人にこだわらず、日本人と外国人がいたとしたら?
B:話しかける!私、外国人好きだから。優しくしたいっていう気持ちになるよ。
C:私は気になるし、話しかけたいけど、やっぱり勇気でなくて遠目になっちゃう。話しかけたいけど出来ない。やっぱり言葉の問題があるから緊張するな。
D:アジアの人なんかは向こうが日本語で話しかけてくれるけど、アメリカ人なんかはこっちが英語にそろえなきゃいけないよね。それはどうなんだろう?
E:そうそう。やっぱり言葉が通じないとなかなか難しいよねー。
F:こっちから積極的に話しかけられない。
C:私はひたすら逃げる!しゃべれないし、いるだけで避けちゃう。
A:うーん、そうか。今のみんなの意見にもあったように、多くの日本人が外国人に話しかけない状況・現代です。それで、ある話をしたいんだけど、多文化共生センターっていうところがあって、みんな 1995年1月17日何があったか覚えてる?
G:阪神淡路大震災!!
A:そう!あの地震相当すごかったよね。あの時、日本人と同じようにそこに住んでいた外国人も被害にあったんだよね。約8万人が犠牲になって、みんなが救助を求めていたなかで、もちろん外国人だって救助を求めていたんだけど、何しろ言葉が通じないから「〜が欲しい。」って言えなかったんだって。しかも遠慮してたんだよね。そのことを知った田村太郎さんっていう人が救助活動の中で“それじゃいかん!”ってことで立ち上げたのがこの多文化共生センターなんだ。そこでは、育児・母子救援や保障制度やいろんな活動をしたみたい。田村さんは活動する前に外国人に聞いてみたそうです。「どんな壁を感じる?」って。その結果がプリントにあるようなものでした。言葉の壁と制度の壁と心の壁。言葉の壁は大きいよねー。制度の壁はビザに関することや医療制度なんかもあるよ。ビザの更新ってすごく大変なの知ってた?あれは相当大変みたいだよ。種類もたくさんあって、学生ビザや就学ビザや労働ビザ・国際結婚ビザ…。さらにそれらは何年かに一度必ず更新しなくちゃいけなくて、その手続きが面倒くさい!まず市役所に行くんだけど、そこで字が読めないからどこにいけばいいのか分からなくて苦労するみたい。心の壁は日本人の多くが持っている“距離をおきたい”っていう気持ちから生まれるんだ。だから、震災のときもたくさん苦労したんだよね。
 田村さんは電話による対応を始めたそうです。日本語を教えるプログラムや医療における手助けや通訳などをされたそうです。けどこのセンターは全国に5箇所しかまだなくてこれからどんどん増やしたいそうです。ぜひ山口にも!去年の5月、田村さんが山口に来て下さったんだけど、まだ何も進んでない状態です。そこで私たちが出来ることといえば、会員になったり積極的に参加できたら一番いいんだけど、何しろ私たちは学生だし、一番近いセンターっていっても広島にもなかなか行けないよね。だから身近なことから始めてみよう!
 この県大にも20人くらいの留学生がいるんだよ。その人たちとしゃべったこととかある?
数名:うん。
А:それは日本語が通じる留学生の場合だよね。中にはあんまり日本語を話せない留学生もいて、私はその人たちとももっとしゃべってほしいんだ。確かに恥ずかしいよ!けど、向こうは人数的にもうちらより少ない訳だし、こっちから話しかけてあげるべきじゃないかな。しかも私たちは国際文化学科!!もっともっと話そうよ!話さなきゃ分からないことってたくさんあるよ。ささいなことでいいんだよね。アメリカ人とかにあいさつしかしてくれない人もいるみたいだけど、別に流暢な英語じゃなくていいんだよ。ジェスチャーでもいい。交流をもつためにスポーツや料理を通して一緒に距離を近づけたいんだ。どうしたらいいかな?
В:なんかこの前AさんはSくん(留学生)と一緒に自転車乗ってたよね?あれは何をしていたの?
А:あーあれは友達とSくんを誘ってドウモンに遊びに行ったんだ。Sくんにいつも「何してるの?」って聞いたら、ホームステイ先でも家に帰ってご飯食べて勉強して寝るだけって言っていたから、それなら!ってことで湯田の足湯に連れて行ったんだ。そしたらすごく喜んでいたよ。こんな感じで何でもいいんだよ。
G:私、一つ気になってたことがあるんだ。私ももちろん外国人にもっと話したいって思うの。けど、英語を母国語としているアメリカ人やイギリス人にはどうしても緊張するの。だって、向こうは英語達者で当たり前な話だけど、私たちのように英語を母国語としてない人たちにとっては彼らほどうまく話せないのはある意味当たり前でしょ。だけど、向こうの人たちは、世界共通語の英語をちゃんと話せなくてバカねって思ってるとしたら、とても恐ろしいし不利なはなしだよ。そのことがずっと気になっていたんだ…。そこらへんについて外国人はどう思っているのかな?
A:うん。そのことをあるアメリカ人に聞いてみたら、「そんなこと思わないよ。」って言ってたよ。私たちだって日本語がうまくしゃべれない外国人をバカみたいなんて思わないでしょ。その人は“何で日本人は話しかけてくれないのか”って気にしてたよ。英語の出来る出来ないは人それぞれ。話せないからってバカにしないよ。何でもいいから話しかけて欲しいってさ。あいさつだけじゃさみしいって。「もし自分と逆の立場だったらどう?」って言ってた。
E:今寮に入ってるんだけど、この前蛍を見に行って、今度は留学生を誘ってあげようかなって思う。
B:お祭りにも行ってみたいな!なんかアメリカの蛍は日本の蛍と違うみたいよ。だからきっと風流も違うだろうし。
A:そうそう!小さなことからね。ホームパーティーとかに誘ってみるのもいいかも。
G:あっ!この前韓国人の留学生を誘ってピザパーティーしたよ。
В:話は変わるんだけど、不便してるっていうのをよく聞くんだ。県大卒業生で、友達が出来なくてすごく悩んだんだって。買い物とかもよく困るみたい。店員さんが反応してくれないんだって。別のバイト先の話では、男の子と女の子のバイト生なんだけど、そこの店主先に下宿してて同じ1つの部屋に住んでるんだって。別に恋人同士とかじゃなくて。他の日本人の下宿生はみんな一人一人部屋があるのに、その外国人男女は一緒なんだって。
G:えー!!それはひどい話だね!ひどすぎない?
D:それはおかしな話だなー。日本人って面倒見がいいんだよ。ビザ更新が厳しいけど、それを通過したら彼らの面倒はよく見るようになってるんだよ。そんな風に住む所がないとかってならないようにちゃんと手配するみたいなんだ。だから、そんなひどい話は、逆に彼らが不法滞在か何かなんじゃない?じゃないとそんなこと起こるわけないと思うな。
В:うーん。けど不法滞在とは思えないけどなー。
A:どっちかって言うと、中・韓国の人はお金がないっていうしねー。お金がなくて出ていけないのかな?
・・・
A:もし今留学生と交流するなら、ロバート・クーパーの日本語教師のボランティアがいいよ!すごく勉強になるし、話す中でいろいろわかるんだ。もう一つは、毎週木曜日にC館の4階で留学生と一緒にご飯を食べよう!これもいい手だよ。他にこれはどう?ってない?
B:あいさつ一つで解消できるよね。
A:1対1がきついなら、2対5とかでもいいし。
C:私はまず自分が日本文化を知らないのが問題だと思う!自国文化を学ぶべきだなって思ったんだ。この前、一緒にいた留学生に「お寺って何であるの?」って聞かれて答えられなかった。
D:“千と千尋の神隠し”って映画あるけど、あれはアメリカ人には意味がわからないらしい。文化や宗教がからんでくるしね。今は環境的にいい時だしどんどん接してほしいな。
C:“エネルギーと環境”っていう講義で、留学生になんで?って聞かれて答えられなかったな。文化や考え方の違いを感じたよ。
A:高1のときオーストラリアに行って日本の文化を説明したよ。竹とんぼとか剣玉・カルタ(絵カルタ)・スポーツ・鬼ごっことか・・・。向こうと違うんだよね。
B:その違いを発見できるとおもしろいよね。
A:Sくんとファミレス行ったとき、お茶とドリンクとジュースがあってどれがソフトドリンクなの?って聞かれたの。みんなジュースとソフトドリンクが違うって知ってた?私もその時知ったんだ。そんな風にお互い違いを知ったよ。私にとっては日本文化って言ったらやっぱり食かな。あと、能とか・・・。
C:高校のとき茶道部に入っててELTの先生がいろいろ聞いてきたんだけど、すごく困ったことがあったよ。なんて教えたらいいかわからなくて結局教えられなかった。
D:けど、文化って形から入るものなんだよ。文化って形なんだ。形に合わせて入っていく。そうするものだって言ってしまえばいいんじゃない。それが文化さ。茶道はその空間の中で味わうものってさ。まずやってみたらわかるよ。
H:けど、なんか国際交流のいい点ばっかり出てきたけど、実際嫌に思ったこととかないの?授業で隣に座った中国人の留学生に対して、ちょっとギクシャクしたムードがみんなの間に広まってるみたいなことを聞いたんだ。
A:うーん。確かに全くないとは言えないよ。えっ!?って思う時だってあるよ。けど、そういう時は直してあげればいいんじゃないかな。ちょっと言ってみるとかさ。
D:日本人ってあんまり自分の意見をズバッと言わないけど、中・韓国人ははっきり言うからその点後くさりがないよね。それは“文化”として片づけていいのかな?
G:けど、その中国人の留学生に関して、それはその人の個人的な性格とかが合わないの?それとも中国人・日本人の違いで合わないの?
H:うーん。多分その人の性格かな。
D:私は一番好きな言葉でマザー・テレサの「愛情の反対は憎しみではない。愛情の反対は無関心である。」って言葉があるんだ。
数名:あーなるほど。
A:外国人ですごく自己中な人いて、うーむって思ったこともあったな。
D:けど、そんな時って言ってあげるのが一番いいと思うよ!相手はわからないんだし、お互い言い合えばいいじゃん。影口が一番よくないよ。私は面と向かって言うよ。
A:そうそう。おかしいよって言ってもらえるのはきっと大学までだと思うな!社会にでたら誰もそんな教えてくれないよ。
B:中・高校の時ってよくけんかしなかった?
A:いや、私は冷戦だったな・・・。(笑)
B:特に女の子ってねちょねちょしてるから嫌だよね。男の子は殴ってすっきり終わるのに。
C:男より女のけんかのほうが恐いよね。
D:男と女は脳の造りから違うからね。女の人は過去のことを引きずるんだよ。昔のことを言ってくる。
C:「地図を読めない女。話がきけない男」って言葉あるよね。
D:うん。右脳と左脳が違うみたい。男は論理的で、女は直感で動くらしい。
・・・
A:ではそろそろまとめに入ろうか。とにかく自分の気持ちを変えて欲しいな。ちょっとずつトライしてみよう!どんどん交流していこうよ!
D:あーあと、さっき出た中国人の留学生の件でも、こっちから声をかけてみようね。忘れちゃいけないことは、私たちのほうがやりやすい立場にいるんだってことだよ。それはわかってあげてね。

《編集後記》
今回の題材は、私たちが普段から直面している身近で具体的な内容だったのでとてもやりやすかったです。私たちは国際文化学科の学生として、ただ語学や文化を机上で学ぶだけでなく、積極的にコミュニケーションを図っていくことが大切です。英語は目的ではなく手段にすぎません。私たちの目標は国際的な人との平和的交流です。まずは話をしてみよう!話さないと分かり合えるものも分かり合えないですよね。勇気を持って話しかけたいと思います!!


国際文化学部」らしく,活発に意見が飛び交い盛況でした.
他の文化を何でも容認して丸飲みしてしてしまうのが「異文化(他文化)理解」ではないと思います.だって,もしそうだったとしたら,異文化理解なんて成立しないはずだから.
きちんと,「ここまでは分かる,ここからは分からない」と認め合い,そこから理解を深めていくことでいいのではないでしょうか.
とにかく,居ながらにして異文化と接することのできるこの機会を生かして,積極的にコミュニケーションを図ってください.

(鈴木隆泰)


基礎演習 I・III

アジア文化論研究室

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