仏教文化 2004/1/23 No. 14 The Final

1/23 授業（最終回）の感想14号と回答

感想14号（総数 62）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

10月から始まったこの講義も今回で最終回を迎えました．前回とあわせ，鎌倉仏教を代表するだけでなく，今日においても日本仏教の主流を占めている浄土思想（法然，親鸞，一遍）・禅思想（栄西，道元）・法華思想（日蓮）の特徴を見た後，江戸期，そして現代まで時代を下りました．

今まで、私は宗教に対して、悪いイメージしかもっていなかったのですが、この授業を通して、仏教のよさや、それによって多くの人が救われていることを知り、考え方が変わりました。（2年女子）
（新しいものの見方を提示することができたようで，私も嬉しいです．）

「信じるものは救われる」という言葉の本来の意味を知って、なるほどなぁと納得しました。信じることができればそれ自体が救い…そういう風に感じさせてくれるのが本当の宗教なんだろうと思いました。心の安らぎを得るための宗教なのに、それが悪用されたり、ぶつかり合ったりするのは悲しいことです。互いを信じて思いやるということは本当に大切なことです。この講義を受け、毎回思いました。（2年女子）
（本当の宗教は，周囲と調和を取りながらの個の幸せが実現されるものです．他を不幸にすることによって自らが幸せになることはあり得ないからです．）

最後に先生が仰ったことも印象的でした。私は今まで親が仏教徒だから、自分も仏教徒になのだろうと考えていましたが、それは自ら処方箋選びを放棄していたのかなと思いました。自ら処方箋となるものを選ぶことの大切さを忘れてはいけないなと思いました。（2年女子）
（私は家庭の宗教教育力を否定するものでは決してなく，それどころかかえって推奨するものです．ただし，その宗教教育力が非常に弱まっていたり，あるいはその反対に，カルトにはまっている両親による押しつけ・刷込み等が横行している昨今，自ら処方箋を選び取るという意識をもう一度取り戻して欲しいのです．）

公案について考えてみましたが、さっぱりわかりませんでした。世話になっている老婆の気持ちを無視し、持ちつ持たれつの精神が無い坊主だったので老婆が怒ったということではないですよね…。（2年女子）
（それはないでしょう (^^; ）

公案に答えはあるのでしょうか…　仏教を学んできて、人間悩むことから始まって、物事を突き詰めて考えることで、何かしらの答えがみつかるものなんだなということを私は感じました。日々坦々と過ごすだけではいけないなと思います。最近、慣れてきたことでやる気を失いかけていたので…ただ寒いというのもありますけど。授業の感想になっていなくてすいません。けど、大学に通っている意味を、また考え直すいい機会になりました。仏教を学んできて、仏教徒ではないですけど、りんごに向かう気になりました。（2年女子）
（自らの問題として講義を受け取ってくれたようで嬉しいです．）

道元の曹洞宗で女性不成仏というのが気になりました。どうして女性は成仏できないのでしょうか…やはり当時は男尊女卑が根強く存在していたからでしょうか。
　公案の例を一つ授業で聞きましたが、大変難しい問題ですね。禅の修行修業が厳しいと言われている理由がわかったように思いました。工夫という単語も考案という言葉から来たみたいですね。厳しいながらも色々考えられておもしろそうな修行だと思いました。
　信じることができればそれ自体が救いということを聞きました。言葉だけ聞くと簡単そうですが、よく考えるとそうではないような気がしました。人間である限り、気分や周りの人間に左右されたりするので、ある宗教をずっと信じ続けるのはやはり難しいことだと思いました。（2年男子）
（女性差別思想はインドにもありますが，この問題を今時の「ジエンダー論」で扱うには難しい面があります．
　信じること，信じ切れることはとっても難しいです．どんなに悲惨な目に遭おうとも，「自分は幸せだ」と思っていられることと同値ですから．）

今まで禅と言えば、一休さんのことしか思いつきませんでしたが、今日聞いた公案も一休さんのとんち話のようなものかなと思いました。今日聞いた公案についての答はないと思いますが、たとえ答がなくてもそれを考える過程において得るもののために、考える意義があるのだと感じました。
半年間この授業を受けて、理解するのは難しかったですが、仏教は自分の生活や日頃考えていることに何かヒントをくれるものだと思いました。（2年女子）
（仏教は某かの処方箋を誰にでも与えてくれます．しかも有効な処方箋であるならば，それが仏教であるか否かすら気にする必要はないのです．）

アジア文化論と仏教文化を通しての講義で、仏教のおおもとのところが、少し解った気がしました。現在の仏教がお葬式の時だけのものになっている状態ではあるかもしれませんが、比叡山や鎌倉仏教が今でも残っているのは、日本人の中で大きな位置を占めているとも言えると思います。今回の講義を元に自分自身の処方箋を探してみたいと思います。
　今日の公案の答えは何なのでしょうか。私が考えた答えは、「お坊様が自分はもう枯れたので女の子はいりませんと言ったので、枯れていなければもともとは煩悩があるわけね、ということでおばあさんは失望した。」です。（3年女子）
（そりゃ，もともとは煩悩はあるのではないでしょうか? ）

禅思想、特に道元の曹洞宗は日本の他の仏教指導者とは違う思想を持っていることに興味を覚えました。どちらかというと大乗の思想よりはインドの初期の仏教、特に釈尊が出家信者たちに説いた教えを重視しているだろうかとも感じます。しかし禅は日本で生まれたものでもないのに、今日なぜか一部の欧米人たちに日本は「ZEN（禅）の国」と呼は不思議です。（4年男子）
（鈴木大拙による，禅に関する英文の著作が大きな要因です．それによって欧米人の間に禅仏教が広がることができました．反面，彼の禅理解に偏りがあることが指摘されていますし，彼の説く「日本的霊性」にも疑義が呈されています．）

「信じる者は救われる」の解釈について考えさせられました。請求書的考えは人間の中にある、何というかこう...もらえるものは全てもらっとけみたいな、欲深さの現れみたいな感じがしました。（2年女子）
（それはあなたの誤解だと思います．本当にそれ（＝救い）を受け取ることができたのなら，それ以上望む必要はなくなるのですから．）

他の宗派の在り方を批判してばかりという話があった日蓮に対して悪い印象が強かったのですが、今回日蓮の仏教に対する考えを知って別の印象を受けることが出来ました。
　処方箋を主体的に選ぶ必要があるという言葉は自分の心に今後も残っていくと思います。私にとっての処方箋は宗教ではなく別のものによって与えられていると感じていますが、この講義で様々なことを考えさせられ、以前より自分自身に歩み寄ることが出来た気がします。仏教は奥深いもので面白かったです。（2年女子）
（宗教も処方箋を出す一つの要素に過ぎません（もちろん大きな一つですが）．この講義が役に立ったなら嬉しい限りです．）

道元が、隣の人が怒られているときの「心身脱落」ということばをきっかけに悟ったとことろに、どんなきっかけで自分の転機がおとずれるかわからないものだと思いました。（2年女子）
（よい転機が訪れるように，もっと進めて言うならば，なにごともよい転機とするようにしたいものです．）

「信じる者は救われる」つまり、信じることができれば、それ自体が救いであり、もうすでに救われている。という言葉を聞いて、自分の歩いていく方向を導いてくれたようなそんな感じになり、なぜか嬉しく、元気が出てきました。（2年女子）
（元気が一番 :-) ）

今回の授業の後半に、先生が「鎌倉時代の人は自ら処方箋を選んだ」とおっしゃいましたが、その言葉がとても印象に残っています。現在の自分を振り返ると、「家が○○宗だから」とか言って、葬式などにだけ、その宗派のお坊さんに来てもらうだけで、その宗派についてほとんど何も知りません。本来の「処方箋」に関することには無関心で、ただただ形だけの仏教徒になってしまっているなと感じました。仏教の硬直化が進むと言われましたが、この授業を機に、今一度、身近なところにも深く染み付いた仏教について考えてみたいと思いました。（2年女子）
（せっかく縁があるのですから，菩提寺に行って話を聴いてみるのも一歩前進でしょう．）

今日の講義を通して、日本仏教も多種多様で奥が深いなと思いました。「信じる者は救われる」という言葉の真の意味も知ることができて、私も信じる心を大切にしていきたいとも思いました。
半年間、仏教について様々なことを学んで、私は今まで仏教の表面しか知らなかったんだなぁと反省しました。これからはいろんな事を仏教の角度や宗教という視点から、見てみたいと思います。私の視野は確実に広がりました！（2年女子）
（広がった? びよ～～んっ!! ）

ノートを見直すと禅思想のところに「禅思想…釈尊に帰れという思想→無理→何でもあり」と走り書きしてあるのですが、(1)確か「何でもあり」で終わりではなかったですよね？そこからどうなったのか続きをもう一度教えていただけないでしょうか。 (2)あと、教外別伝の説明もお願いします。
半年間の講義を通して仏教とは何かについて教わってきましたが、日本人でありながら、仏教について本当に知らな過ぎたと実感しています。まずは今日までの講義内容を整理しなおし、十分に理解し、自分の納得のいくレポートを仕上げたいと思います。（3年女子）
（(1) おそらく「禅思想…釈尊に帰れという思想→無理→何でもあり」ということ自体にすでに混乱があるように思いますので，それに囚われずもう一度整理してみましょう．禅思想には「瞑想によって覚りを得た釈尊（仏教の原点）に帰れ」という復古的思想の側面が強いです．釈尊は，その優れた能力と並はずれた努力によって，自力でリンゴを食べることができました．弟子たちは釈尊を模倣しようとしましたが，自力にかけては釈尊に匹敵する人がそう輩出することもなく，その結果，仏弟子の中には「自分たちはブッダにはなれない．手前のアラカンという位が弟子たちの到達できる最高位だ」と考える人が出てきました．これは，仏滅後にマハーカッサパたちが，処方箋を「自力中心」に狭めてしまったことによる弊害でもあったのです．その後大乗が興起し，新たな処方箋が出されるようになったことで，誰もが菩薩（将来ブッダとなる存在）になることができるようになったのです．
　(2) 「リンゴの味はリンゴを食べた人にしか分からない．だからと言って，リンゴの場所へと導いてくれる道しるべ（教え・処方箋）を軽視してはならない」という意味です．
　レポート，期待しています :-) ）

日蓮が「仏教は世にあふれているのに、少しも善くなっていない」ということから「本当の仏教とは何か」と考え始めた、ということでしたが、世の中が善い方向に行っていないと感じるのは、いつの時代にも投げかけられているひとつの普遍的なテーマなのではないか、と感じました。
最後の最後で、大寒波が到来したものの、なんとか出席することができたので、少し嬉しかったです。（2年女子）
（寒い中，よくがんばりました :-) ）

宗教というものが、過去から現代にいたるまで人間の生活に密接にかかわってきた理由がなんとなくわかった気がします。
かなしいかな、現代の日本では宗教というものがかなり危険視され「…教」を信じています、と堂々といえないような状況になっています。宗教を信じていることを恥ずかしくない、奇異な目で見られないようにするにも、宗教というものをきちんと理解しなければならないと思いました。（4年男子）
（この講義は少しはお役に立ちましたか? ）

大学生になって親元を離れる時、母に「変な宗教に引っかからんように気をつけなさい。」と言われました。私もなんとなく、宗教って怖いというイメージを持っていました。けれど、この授業を通して、宗教によって心が救われ、何かを信じることで安らかに生きられるようになる。そういう力があるのだと知りました。そして大事なのは「主体的な処方箋選び」だということ。それが出来ないから、怖いものだと思っていたのだと感じました。（2年女子）
（「何が変で，何が変でないか」の正しい知識を得た上での「主体的な処方箋選び」でない場合，自分では主体的に選んでいるつもりなのに，いつの間にか宗教カルトの罠に掛かっていた，ということが起こりえます．）

この半年、仏教を学んでほんとうに自分は仏教について無知だっんだなぁと思いました。仏教徒の幼稚園に通っていたのに・・・今思えば、身近な仏教なのにとても遠い存在だった気もします。
　この授業を受けていなかったらきっとず～っと無知のままだったんだろうなぁと思うと悲しいですよね！しかも普段何気に使っている言葉や知っている言葉でも自分の解釈と違っていたり、いろんな面で勉強になりました。今まで学んできた仏教をレポートを書くことでもう一度整理して、深く理解できればと思います。（3年女子）
（レポートを活用して理解を深めてください．）

私も宗教と聞くと怪しいなぁとか、人の人生を左右するというイメージがありました。しかし今回、仏教について深く学んだことでイメージが変わりました。私もいつか、自分にあった処方箋が見つかるといいな･･･と思いました。（2年女子）
（そのためにも，予め正しい知識を獲得しておいて欲しいと思います．）

半年間、仏教について本当に沢山の事を学べた（知る事が出来た）と思います。自分が宗教に関して少しは知っていたと思っていても、それはあくまで中学や高校の教科書から得たわずかな知識にしか過ぎず、この講義を受けて、深くまで知る事ができ、とてもためになったのではないかと思いました。
半年間という短い間ですが、とても新鮮で面白かったと思います。どうもありがとうございました。機会があれば、また鈴木先生の講義に出てみたいと思います。（2年男子）
（アジア言語特講 I・II か専門演習 III・IV くらいしか残っていないのでは? (^^; ）

今回の授業で「往相還相」の話がありましたが、極楽浄土で修行をして、またこの世に帰ってくることを還相というと解釈したのですが、極楽浄土は死後の世界ですよね？そしたら、この世に帰ってくるという行為が生まれ変わるということですか？頭が混乱してよくわからなくなってきました・・。（2年女子）
（仏教の原則論で言えば，極楽浄土で修行してブッダとなることが出来れば，生死を超越したことになります．とにかく，よく分からなければ質問にいらっしゃい．）

NHK大河ドラマで北条時宗を見ていたので、日蓮は奥田英二のイメージです。法然を否定し新しい仏教を提唱したため、ひどい迫害を幕府からも、ほかの仏教徒からも受けたようですが（ドラマの中では石を投げられたり、はりつけにされてされそうになっていました。）、自分の信念を貫き通し、仏教流布に努めたその姿は、信じることの力強さを物語るものだと思いました。（2年女子）
（私の日蓮のイメージは杉良太郎なんです．池上本門寺の日蓮像から来るものかも知れません．）

講義の前半に釈尊の根本的思想に触れ、現在日本をはじめ各国で行われている仏教の姿にある種の違和感を感じたものでした。しかし後半になってその理由が自分なりに分かったのではないかと思います。仏教に様々な解釈が存在する事は本質を理解する事を困難にしているようですがそれもまた仏教の本質・・(何が何だかよく分かりませんね)最近はショックな事が起こっても「皆が私の思い通りにはならない」と一歩引いて考えられるようになりました。これは私にとっての処方箋でしょうか。（4年女子）
（現時点ではたしかにそうでしょう．今度はその次の「じゃあ，どうするの?」という段階に進むべきです．）

私が小さい頃から考えていたことと言えば、自分は一体何教の信者なのだろうかということです。お正月を祝ったと思えば、バレンタイン、節分、雛祭り、七夕そしてクリスマス･･･仏教やらキリスト教やらごちゃ混ぜです。日本人に生まれてしまったので、こういった祭をほとんど祝うことが普通になってしまったわけですが。私はまるで無国籍人になった気分になることさえあります。こういうことは許されるのでしょうか?（2年女子）
（うちのゼミ生の，「宗教から見る日本人らしさ」という卒論発表を聴いてみることを強くお勧めします．1/30（金） C32 教室で 13時からです．）

たとえ仏陀になっても修行を続けなければならない、続けなければ仏陀でなくなってしまう、というのは今の私たちにも言えることだと思います。どんなに出世しても、どんなに偉い人になっても、苦労や努力といった「過程」を忘れないでいようと思います。「結果」ばかりを追い求めるなら、たとえ結果が出てもそれで終わってしまいます。だから常に修行して、努力する気持ちを大事にします。それが心の平安にも繋がると思います。でも、決してその「過程」に甘えることがないようにも気をつけなければいけません。人は人である限り、生きている限りたくさん失敗をします。それはどんなに成功を収めた人でも同じです。でも失敗は恥ずかしいことではないと思います。目に見える成功にとらわれずに、また目に見える失敗にとらわれすにがんばろうと思います！！（4年女子）
（接近（upaaya・方便・処方箋）の中にこそ真の覚りがあるという思想もあります．）

授業を受けていると自分に必要なものがいったい何なのか、気づけることがあります。サンスカーラ、仏陀の生き方が今のわたしの心にひっかかったように思います。「宗教についての無知は危険だ ~~宗教は、危険なものだ~~」と真剣な顔で言われた先生の言葉も残っているように思います。正しいと思ったことをすることに関しては、人はどこまでも残酷になれる場合がある。しかし、危険なものであると同時に自分の支えにもなる。自分の生きる拠り所は、持っていたい、しかしそれを自分のなかのどこに持って、どう活かして生きていくのか。今の私に必要な授業だったと思います。（4年女子）
（善い処方箋を見つけていってください．）

この講義を受ける前までは、自分は宗教とはあまり関係ないと思っていました。しかし仏教について学んでとても身近なところで私と関わっているんだということを色々と発見することが出来ました。仏教については知っているようで実は何も分かっていなかったんだと反省しました。本当に仏教は奥が深いものだなぁと思いました。半年間でしたが仏教について学んでよかったです。仏教について知っている知らなかったではこれからの人生大きく違っていただろうなと思います。（2年男子）
（そうそう．大きく違います :-) ）

鎌倉仏教は高校の時にすごく苦労して覚えたつもりだったのに、今になってあまり残っていないのはひとつひとつの特徴をつかまずに覚えていたのでなかなか覚えられてなかったのだなと思いました。先生が講義の最後に、宗教とは生き方や文化であり、宗教という文化に関心を持たずにぼーっとしていると時として危険なもの（カルト）にはまってしまうとおっしゃっていたことがとても印象的でした。私はこの講義を受けるまで仏教は法事やお墓参りや仏壇といった先祖供養の形でしか仏教と関わっていませんでしたが、仏教の本来の考え方が分かり仏教に対するイメージも古くさいものではなくなったのでよかったです。私たちの周りにはたくさんいろんな危険なものがあると思いますが、自分をしっかり持って、正しい判断ができる目を養っていきたいと思います。（2年女子）
（先祖供養も立派な宗教の形態です．それがあなたにとって安心をもたらす処方箋になっているかどうかが鍵なのです．）

私の知る限り、世界を見ても本来の意味で宗教というものを捉えていない人、主体的な処方箋選びができていない人が多いように思います。それは自分で考えることをせずに宗教というものに一方的に寄りかかるだけの怠惰な人間の姿の表れであるように思います。この講義を受けて本来の宗教というものの本質がぼんやりとですが理解でき、私は宗教によって偏った道（考え）に走ったり、足をすくわれて自分自身というものを見失わないようにしたいと思います。たいへん有意義な授業でした。（2年女子）
（宗教は「依り所」ですから，そこに寄りかかること自体に問題はないでしょう．おそらくあなたが「怠惰だ」と感じるのは，その依り所に寄りかかっている人が，本来ならその依り所から力を得て，世界・社会の中で生き生きと活動するはずなのに，そういう生き生きした感じをその人から受けないからではないでしょうか．そういう場合は，その人の寄りかかり方が悪いか，あるいはその人が「依り所」としているものが悪いかのどちらかでしょう．）

１つの宗教であるのに人によって捉え方が違うんだなと毎回感じさせられました。いずれにしても自分自身にとってプラスの方向に捉えていることが元となってその教えは広がっていますよね。そこが私にとってとても魅力的でした。平穏をもたらすためにさまざまな教えが今日まで伝わってきたわけですが、自分が信仰している教えにとらわれすぎて争いが起こってしまったりしていることも現実としてあります。宗教の本来の教えを忘れることなく自分の中でよりよく理解していくことが大切ではないかと思います。宗教というと少し構えてしまう部分が自分の中にもありましたが、この授業を受けるにつれて私の中にも宗教の考え方が存在していることを認識できたと同時に、そのことがとてもうれしく思えました。またそういうふうに捉えることができてうれしかったです！ありがとうございました（＾ー＾）（2年女子）
（これからも一緒に学んでいきましょう．）

「信じる者は救われる」ということは、信じることができること自体が救い、という言葉に厳しさを感じました。そして最後に先生がおっしゃった「宗教論争は無意味である」という言葉が印象的でした。よくテレビや新聞などで宗教戦争のことが取り上げられているけれど、仏教について学んだ後はその言葉の重みが違いました。まずは自分の宗教について知ることが大事なんだな、と思いました。この授業で仏教という面から自分を見つめることが出来ました。ありがとうございました。これからは人に処方箋を与えることが出来るような人を目指そうと思います。（2年女子）
（皆がお互いに処方箋を与えつつ与えられつつ，そんな人たちのいる場所が浄土なのかも知れません．）

仏教とはどういうもので、今の私にどう関わっているのか。正直、近くにあるようで遠くにあるもの、遠くにあるようで近くにあるものだと思いました。これでは漠然としすぎかもしれませんが、今はまだ整理がつかず、そんな感じです。これから、自分の今までの講義ノートや、ここにある受講生の感想や質問、それに対する先生の返答を見ていこうと思います。
　「信じるものは救われる」。私はこれを当たり前のことだと感じるようになりました。信じることは簡単なことではなく、また、信じることができても持続するのは困難なことです。そんなことができた人たちが救われるのは当然だと思うのです。
　現代の日本人は宗教と聞くと「怖い」とか「怪しい」というイメージを持ちがちです。それは「知らない」からです。今回、宗教、特に仏教のことを学び、その「怖く」て「怪しい」ものが今までよりも身近に感じられ、また、やはり尊いものだとも思いました。（2年女子）
（知らないものは人間にとっては恐怖なのです．それを補償するため，人は無自覚にサンスカーラを発動し，「宗教・仏教はアヤシイ」という世界を構築してしまいます．厳密に言えば，「宗教・仏教はアヤシイ」と思っている自分を構築しているのです．たしかに世の中にはカルトが溢れています．でも，歴史の淘汰・洗礼を受けてきた宗教は，カルトとは全く異るものなのです．）

先生がおっしゃられた、本木雅弘主演のお坊さんの映画（ファンシイダンス）、観たことがあります！永平寺をモデルにしているように思われました。古いのでうろ覚えですが、修行一日目、門をくぐった直後、彼は頭にカラスに糞を落とされてしまいます。当然彼は怒り心頭です。そんな彼も、修行するにつれ、色々なことを学んでいきます。最後には袈裟姿もしっくりとくるようになる。そんな彼にまたもカラスが…。しかし彼は、心静かなままでした。映画の完成度や実情に近いか否かはともかく、幼い私にとっては、「お坊さんってこんな生活してるんだ。」という強烈なインパクトがある映画でした。
　現在の仏教系の法人（団体？）の内一番多いのは日蓮宗系というのは驚きです。良くも悪くも日蓮が、またその考えが強烈だったのだろうと思います。しかし、処方箋が、８００年近くたった現在、またマニュアル化してしまっているのは残念なことです。ふと、末法思想は、これらを防ぐため、警鐘を鳴らすものでもあるのかなと思いました。
　この講義を受けて、新しく知ったこと、再認識させられたことなど、多くのことを学んだと思います。これらのことを生かしつつ毎日が過ごせるようにしたいと思います。レポートは、今まで教わったことを噛み砕きつつ、自分に教えるように書きたいと思います。半年間、ありがとうございました。（2年女子）
（毎回精力的な感想をどうもありがとう．お名残惜しゅうございます (;_;) ）

「信じる者は救われる」という言葉の本当の意味を聞いて、なるほどなぁ、と納得しました。確かに、信じれば救ってもらえると思った瞬間にその人の心は救われているんですよね。請求書と領収書を使った例えがとても分かりやすかったです。人間は言葉一つで元気をもらったり落ち込んだりします。「信じる者は救われる」、この言葉は絶対他力という考え方ですが、そうやって「救われる」と信じることによって勇気をもらっていたのではないかと思いました。私は勇気をもらうことによって「自分の力」が増すような気がしています。当時の人々もそういった勇気をもらっていたのではないかという考えが浮かびました。
　私は宗教という言葉を聞くと、自分には全く関係のない特殊なものだと考えていました。しかし、宗教がたくさんの人の心のよりどころとなっているのは事実です。そして、仏教について学ぶことにより、自分が気付いていなかっただけで私も色々と宗教に助けられていたことを知りました。宗教の考え方に流されるのではなく、自分を救ってくれる処方箋をうまく選び取って生きたいと思います。
　これからの生き方を考えさせられる講義でした。半年間ありがとうございました！（2年女子）
（ありがとうございました! ）

【総評】 14回に渡ってお届けした「サンスカーラを基調とした鈴木の仏教ワールド」，いかがだったでしょうか．この講義があなたたちにとって，少しでも処方箋として機能できた・できることを念じてやみません．辛抱強く聴講し続けてくれた皆さん，どうもありがとう!!　（鈴木隆泰）

宗教文化研究（仏教文化）

アジア文化論研究室

suzuki AT ypu.jp