2003/6/6 No. 7

6/6 授業の感想7号と回答

感想7号（総数 125）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

バラモン（ヴェーダ）と自由思想家（反ヴェーダ）との間に繰り広げられた形而上学的論争の無意味さを，原理主義・宗教と教義を例に解説しました．そして仏教へと進んでいきました．

今の日本では思想の自由は保障されていても、形而上学的な問題を考える余裕はないような気がする。例えが間違っているかもしれないが、バスやタクシーの窓から子供が手や顔を出してはいけないのは、危険であるからというのが普通である筈なのにそれを「運転手さんに叱られるから」などとのたまう母親が世間にはいるらしいのだ。それはこのような問題を「考える」のではなく、日本では単に詰め込み学習と同じやうに教えられてきたからではないかと思う。諸行無常についての解説がかなり楽しみです。（1年女子）
（お話の件，形而上学的な問題とはちょっと違うような気がしますが．．．）

釈尊の家はすごっく広くて、出家するとき初めて釈尊は自分の家の門を見たって本当ですか？（1年女子）
（出家以前にも彼は何度も外出していますから，本当ではありません．）

形而上学的問題は解決できるのでしょうか？（1年男子）
（ある宗教内部にいるとき，形而上学的問題は「解決」もしくは「解消」されます．後者の「解消」をしてくれる宗教がホンモノです．）

今日の授業のパレスチナ問題など、宗教を考えるのに必要なことですよね。このようにどっちが正しいとかの白黒をはっきりつけるのは難しいことだし、またしてはいけないことだと思います。このような問題に ^Saakyamuni はどのような態度で挑んだのか、次回の授業が気になります。（1年男子）
（期待していてください．）

エルサレムの問題について、歴史的にエルサレムは、イスラーム教の土地であったことも、キリスト教の土地であったことも、ユダヤ教の土地であることも事実です。キリスト教の十字軍の遠征やイスラームの遠征などエルサレムの取り合いです。これらを考えると、どの宗教の土地でもあり、どの宗教だけの土地ではないと思います。政治的問題も多くありますが、できるだけ共存していけたらよいと個人的には思います。（2年男子）
（あなたの意見に賛成です．）

今日の授業で印象に残ったことは、宗教を基に生活してない私たちには少し理解しにくい生活を彼らはしているということでした。彼らの形而上学的な考えは私たちからしてみればとても考えられず、なぜそんなことで人々が争うのかと思うくらいです。しかし、それは少しものの見方を変えれば彼らは自分たちの考えをちゃんと持ちその主張をできているのだと私は考えます。今の日本人は少しぼかし争いをさける光景が多々見られます。どちらが正しいとかどちらがよいということはなかなか言えないのですが、僕も主張があまり得意ではないほうなので彼らが少しだけうらやましく見習いたい部分もあると思いました。（1年男子）
（日本は昔から「和をもって貴しとなす」国ですからね．）

以前キアヌ・リーブスが出演していた、「ブッダ」という映画のことを思い出しました。一国の王子で恵まれた生活をしていたのに出家をしてまで自らの悩みを解決しようとするなんてすごいな～と、改めて思った。毒矢の例えで毒矢は私たちの悩み（つまり、煩悩？）なんですよね？この矢を抜くことで私たちは悟りを開いたり出来るんですか？（1年女子）
（矢を抜けば涅槃に至れるのです．）

自分の存在について悩んだ末に出家して、神話の中にしか登場しない様な存在の仏陀になった釈尊はすごい人なんだなと思いました。どの宗教もそれぞれの考え方があってすべてを理解することは出来ないけど、それでも政治や経済なども複雑に絡んでいる宗教問題を自分なりに勉強して、その問題に対して自分なりの考えを持てるようになりたいと思いました。（1年女子）
（しっかり勉強してください．お手伝いしますから．）

釈尊が当時のインドでどれだけ変わった存在かがよく分かりました。当時のインドの観念にとらわれずに新しい考えを生み、世界に大きな影響を与えた釈尊は、やはり偉大な人です。形而上学的問題というのはとても微妙なことだと思いました。信仰心や意識はあくまで人の心の問題である以上、宗教の摩擦などの解決への道のりは遠いなあと感じます。（1年男子）
（「解決」できなくても「解消」はできるかも知れません．）

２つの考え方集団が争っているときにその２つの間をとったような考え方ではなく、それらとはまったく次元の違った考え方が出来た釈尊は、とっても凄いと思います。それと、パレスチナ問題は解決できないのですか？どうやったら解決できるのでしょうか。（1年女子）
（宗教的に解決・解消ができないのであれば，政治的に解決するしかないでしょうね．とにかくどんな方法であれ，この問題が双方納得のいくかたちで解決されることを望みます．）

形而上学的問題のところで「神ははいるのか、いないのか」というものがでていたけれど、それはどの宗教にも属さない人たちの問題なのではないのでしょうか？「神を信じますか？」と聞かれて「本当にいるなら信じる」と答える人がいるけれど、神がいると分かった時点からそれは「神を知っている」ということになり、信じるのとは違うことになるのだから。「神を信じる」というのは「神という、いるかどうかを証明できない存在を、いると考える」ということではないのですか？それとも、現代に至っては宗教＝神は間違いなく存在するという前提での考え方、なのでしょうか？（1年男子）
（「宗教＝神」という等式そのものが成立しません．「毒矢を抜いてくれるもの」が宗教です．）

今日の授業は少し難しかったです。パレスチナ問題は非常に興味があります。政治的な背景はやはり金ということですか？信じる神がいることは素晴らしいですが、その神々の為に人を殺せる心理が理解できません。神も自分の教えのためには人を殺すことも辞さないという考えなのでしょうか？？（1年男子）
（「汝の敵を愛せ」とは説かれていても，「神の敵を愛せ」とは説かれていません．）

昔から宗教が基の争いは数え切れないほどあったけど、なぜそのような争いが起きるのかその心理がよく理解できないのは、やっぱり私が宗教を持っていないからなんでしょうか。私は個人的に言えば、いくら神が理由でも人の命や自分で命を絶つことはどうしてもしてはいけないことだと思っています。パレスチナ問題にはすごく興味はあるのですが・・・（1年女子）
（個人的に宗教を信じていなくても，彼らの心理を理解していくことは可能です．パレスチナ問題に興味があるなら，もっと進んで勉強していってください．）

vedaと反vedaのことに形而上的論争が関係していることが分かりました。また、パレスチナ問題も形而上的論争が関わっているために解決ができていないことも初めて知りました。毒矢の例えは分かりやすかったです。中学生のときに仏陀の漫画を読んだことがあるのですがその仏陀は釈尊なんでしょうか…？（1年女子）
（手塚治虫先生の『ブッダ』ですか? もしそうなら，その仏陀は釈尊です．）

セム系とは何ですか？（1年女子）
（セム語族とは，ヘブライ語やアラビア語などが属している言語グループです．この語族の言語を使用している・使用していた人たちによって信仰されているユダヤ教・キリスト教・イスラーム教を，「セム系一神教」と呼ぶのです．）

私は、哲学はいいけど宗教なんてなければいいのにと思ってしまう。政治の問題（パレスチナなど）をややこしくしてしまうし、そのせいでいろんな人が死んでいくからです。地球にもともとある自然と、これまで命をつないできてくれた先祖に感謝する気持ちがあればなんとか生きていけそうな気がする。でもやっぱり人間だから憎悪などの感情もあり、苦しみもある。そこから救ってくれるらしい神って信仰のある人にとってはどんな存在なんだろうか。神の言葉というだけで無条件で受け入れる。恐ろしいことだと思った。（1年女子）
（宗教と哲学を分けるのは西洋的・キリスト教的発想です．あなたはキリスト教のような一神教的信仰を批判しながら，実はそれを前提にしているのですよ．それから，二番目の下線部も宗教と呼べます．自分の信じている・認める宗教はよくて，そうでない宗教はなければよいとあなたは言っているのですよ．よく考えてみましょう．）

今日の宗教の話は本当に興味深かったです。毒矢の例えで、宗教は形而上学的論争をするためではなく、宗教はその矢を抜くために存在しているのだという話は初めて聞きました。よくみる西欧の映画の中にもよく「神」がでてきて、そのたびに宗教について考えさせられたり、多くの民族は宗教が持っているにもかかわらず自分は信仰する宗教がないことなど、今まで疑問に感じてきた部分があります。この授業を通して、自分のもっている疑問が少しずつでも解けていければ、と思っています。（1年女子）
（しっかり勉強を続けていってください．）

(1)veda派の人たちが言うように皆が解脱を目指し静の境地に入ったら生物はいなくなってしまうのですか？ (2)仏陀は伝説上の人物で今までいなかったのに、どうして釈尊が仏陀であると人々は確定できたのですか？ (3)それから、「先に矢を抜け」ということの意味も分かりませんでした。（1年女子）
（(1)そういうことになります．
　(2)人々の矢を抜いていったからです．
　(3)毒矢について詮索するよりも，まず矢を抜かないと毒が回って死んでしまうからです．）

「矢を抜くために宗教がある」という考え方はとても新鮮で、納得できました。釈尊は、きわめて冷静に世界を見ていたんだなぁ。と思いました。お釈迦様という言葉は、小さい時から知っていたけど、どうして人々に拝まれるのかわかりませんでした。今日はその理由がよくわかりました。（1年女子）
（やっぱり彼って「仏陀」でしょう? ）

僕は仏陀という人物がとても好きです。考え方、生き方など尊敬すべきすごい人物だと思っています。釈尊釈迦の１０人の弟子のことも少し調べたりもしました。しかし、今日の授業で仏陀はvedaと反vedaの時代に生きてそれらとは対立せず、上から見下ろすような感じだ、というところにますます仏陀の凄さを再認識しました。それにしてもゴータマ・シッダッタはvedaと反vedaの混沌とした時代の中で、今となっては当たり前のことを普通に考え、悩んでいくという生き方に、まさに仏陀（悟りを開いた者）という名は本当にふさわしいと思う。（1年男子）
（釈迦は部族名です．）

毒矢の例えで「先に矢を抜け」ていうのが、当たり前じゃん！と突っ込みたくなりました。（1年女子）
（当たり前のことを当たり前に実行できるのであれば，この世に悩みなんかなくなるのかも知れません．）

パレスチナ問題に形而上学的論争が関係していたことを知りました。同じ母胎から生まれたものなのに聖地を争って対立しているなんて悲しいことだと思う。政治的問題もあるけれど.....。後、今までまちがって経済学部の学籍番号を入れてたんですけど、大丈夫ですか？すみません。（2年女子）
（今回以降気をつけてもらえれば結構です．安心してください．）

今回の講義で、宗教のプラスの側面とマイナスの側面の話が出てきましたが、やはり宗教とは一つの「道具」といううか「機能」というか、そんなものなのかと思いました。
薬にも毒にもなる、そんな感じです。時に人に救いを与え、社会に秩序を与え、時に支配の道具となり、人を狂気に走らせる。コントロールしようにも、自分が宗教にコントロールされちゃってるんだからしょうがない。それでもやっぱり必要なものなんですね。
釈尊の話は高校の倫理で少しやりましたが、今の仏教とはかなり違ったイメージを感じたのを覚えています。細かいところは覚えていませんが、宗教というより哲学的だったような気がします。（どこに宗教と哲学の線があるのか、分かりませんが）
ちなみに私の実家は浄土真宗の檀家になっています。ひたすら偶像拝んで、念仏していれば極楽にいけるという考えだったと思いますが、なんか違うような気がします。少なくとも私には、ぐっとこない。
次回の授業で少しは晴れれば、と思います。
（しかしこんなところから原理主義やら始まるのかもしれませんね。）（1年男子）
（上の方でも書きましたが，宗教と哲学を明確に分けるのは西洋的・キリスト教的発想です．例えばインドでは，両者はどちらも同じく「ダルシャナ」と呼ばれます．「ダルシャナ」とは「見ること，観察」を意味することばで，宗教・哲学が人間や自然への洞察・観察を行うものであることから，このように呼ばれているのです．
　浄土真宗において，念仏は極楽往生のための手段ではありません．念仏できること自体が，すでに救われていることの証明になるのです．ちゃんと勉強していないのに文句だけを言うのはフェアーな態度とは言えませんから，これから励みましょう．）

ユダヤ教の神様はエホバなのですか？エホバの証人はユダヤ教なのですか？（1年女子）
（エホバ（ヤハウェ）は旧約聖書の神の固有名詞の学問的呼称です．エホバの証人はキリスト教の一派です．授業中にも言ったように，ユダヤ教もキリスト教もそしてイスラーム教も，同じ神（創造主）を信仰しているのです．）

毒矢の例えをもっと詳しく聞いてみたいと思った！！今日のではまだ頭で理解ができなかったみたいなのでできれば今度の授業の最初に説明してくれたら嬉しいです。（1年女子）
（質問に来てくれれば説明してあげますよ．授業中に繰り返すのは時間の関係もあって難しいかも知れません．）

veda,反vedaのような対立、またそれらに伴い起こってくる問題などはいつの時代も変わらず起こるものだと思った。しかもそれらは｢どちらが正しい｣「どちらが間違っている」というような、いわゆる『答え』といったものは見つからない永遠の問題でもあると思う。
インドの思想にはそういったことを解決するカギのようなものがあるように思えた。う～む、インドはつかみきれないほど深い。しかしいつかは理解してやろうと思う。（1年男子）
（ (^_^) ）

反ｖｅｄａの考え方はどんな人たちによってうまれたんですか？バラモンはなくなってしまうんですか？（1年女子）
（Veda の宗教には飽き足らない自由思想家たちによって生み出されました．だからといってバラモンが駆逐されてしまうことはありませんでした．）

今日は仏教の話、インド理解への道のりは遠いです。商業の発達から思想が変化して、宗教に影響を与えるというのが歴史というか人間っぽいので面白かったです。vedaと反vedaの争いの中で釈尊の発想は面白いと思った。形而上学的な論争として捉える考え方は今のインドの考え方にも影響を与えている所はあるのでしょうか？それにしてもインドって濃い。一神教は大変だ。自由思想家は金持ちでしょ？じゃなきゃそんな考え方出てこないだろうし、そんな暇もないでしょう。（1年女子）
（宗教家に布施をする習慣がインドにはあるため，彼らは別に金持ちではなくても生活し，思索することができるのです．豊かな文化だと思いませんか? ）

今日は原理主義者の話がおもしろかったです。実は言葉自体は知っていたけれど、意味をよく知りませんでした。宗教が形而上学的問題に答えを出してくれるもので、それは宗教内部によってのみ通用し、それを逸脱したとき原理主義が起こる。。宗教は、道を指し示してくれるけれど、一方、怖い部分も伴っているんだと感じました。あと、やっぱり、釈尊は好きだと思いました。ＶＥＤＡの考え方も理解した上で釈尊、（仏陀）はすごいなあ、と感じました。先生の例えの話は面白くて分かりやすいです。インドはとても考え方の規模が大きいと思います。人は人の数だけ色々な考え方を持っていて、それを知ることで、自分の視野も広くなってくるように感じます。仏陀の話を聞くとすごいなーと思うけど、インドの話を聞くと、ジーンと私の中にしみこむ感じがします。（4年女子）
（ひょっとしたら過去世にインドにいたのかも知れませんよ :-) ）

釈尊の思想は、veda派と反veda派の思想両方を踏まえたものであると錯覚してしまいがちなので、第三者の立場にあるが、両方の思想を半々に持つのではなく、全く別の思想であるということはちゃんと理解しておきたい。（1年男子）
（よろしく．）

毒矢の話が、わかりやすくてすごくおもしろいでした。中学、高校でもインドの歴史とか文化について学んだことがあったけどこの授業は回を重ねるごとに本当に奥が深くてどんどん引き込まれていきます。来週の諸行無常の話も楽しみにしています。（1年女子）
（楽しみにしていて下さい．）

今回の講義においては、若き日の釈尊の悩みという人間的な一面を知ることが出来ました。Buddhaとは「目が覚めた人」という意味だったことも、今まで知らなかったことの一つでした。
私は中学生の時、「仏教童話大賞」というコンクールに応募したことがあるのですが、釈尊の教えや他宗教との比較にばかりとらわれており、釈尊個人という基本的なことについては考えませんでした。加えて、釈尊の教えについても正しく理解しておらず、大変酷い童話となってしまった記憶があります。ちなみに、作品名は『ある朝』というのですが、これは勿論志賀直哉の処女作『或る朝』と同じ題名であり、本を読んでいない証拠です。今思うと、「ヤレヤレ」という感じです。
イスラエルとパレスチナに関する問題についても講義で取り上げられました。高校生の頃、「エルサレムを両方で半分こしたらいいのに」、「エルサレムを緩衝地帯にしてお互いに手を出さないようにしたらどうか」などと考えていたことを思い出しました。当然、これは乱暴な考え方ですが、高校の授業のディベートではこのような意見も出されていました。この時、先生はあるプロ野球の試合を例に説明して下さいました。

西武と日本ハムの試合で、松井選手がホームランを打った。これに上田監督が抗議し、エンタイトルツーベースとなった。当然、今度は東尾監督が猛抗議。協議の結果、スリーベースヒットということで落ち着いた。この日、試合はかなりの時間中断されたが、一人の退場者も罰則者も出なかった。これは大リーグでは考えられない出来事だ。

先生はこの時、日本を批判したり、他国を批判したりすることが目的でこのようなことを仰ったのではないと思います。ただ、考え方、文化といったことに対する興味を私達から引き出したかったのだろうと思います。「知ること」が第一歩だ、と先生は結ばれました。この意味の持つ重要性についても今回の講義で初めて分かりました。（1年男子）
（高校時代の授業と大学での授業が，あなたの中で上手にリンクできて何よりでした．）

私たちの周りには形而上学的な問題がたくさんあって、それに悩まされないようにしてくれるものが宗教なんですよね？（1年女子）
（宗教の役割の一つです．イコールではありません．）

釈尊については小さい頃に本を読んだことがあったので結構知っていたつもりだったのですが、まだまだ甘かったらしく、今までずっと釈尊のことを釈迦と呼ぶという間違いを犯していたので、今日からはきちんと釈尊と呼ぶようにします。人々がVedaだ、反Vedaだと形而上学的論争を繰り広げていたときに全く異なった第三者的立場から毒矢の例えを示したことは本当にすごいと思いました。私だったらきっと論争の渦中にいて、それ以外の考え方や物の見方は出来なかっただろうと思います。
自由思想家のことを ^Srama.na(沙門)と言うとおっしゃっていましたが、これは沙門という字が入っている毘沙門天との間に何か関係はありますか？（1年女子）
（全く関係ありません．沙門はシュラマナ ^srama.na の音写語で，毘沙門はヴァイシュラヴァナ Vai^srava.na の音写語です．）

恵まれた生活を捨てて出家した釈尊は相当変わり者だと思いました。けれどもだからこそveda派でも反veda派でもない全く違う考えができたのかもしれません。そういえば高校生のとき、倫理の授業で釈尊は６年間の間、一日に一粒の米と一粒のゴマしか食べなかったという話を聞いたのを思い出しました。今回の授業では全く出てきませんでしたが、気になります。（1年女子）
（それは伝説です．それだけしか食べなかったら餓死してしまいます．）

どうして「お釈迦様」と呼んでいいのかが分かりません。（1年女子）
（釈尊に対する親しみを込めた呼称だからです．「釈迦」単体はどこまでも部族名です．）

「争うのではなく、矢を抜くために宗教がある。自分は、まず矢を抜き、他人の矢も抜く。」という第三者の意見に関心しました。vedaの意見にも、反vedaの意見にも属していないけれども、両者を（色んな意味で）理解してないと生まれない考えだと思いました。私は、形而学的論争は起きて当然だとおもいます。それを否定するよりも、むしろ色んな考え方があると理解し合う方に力を注ぐことの重要性についても学びました。（あと、高校の倫理のテストで、ゴータマ・シッダ-ルタと書いて丸になっていたことを思い出しました。有り得ないんですよね？）（1年女子）
（おー，下線部はグレイトな感想だ!!
　それから，「ゴータマ・シッダールタ」はあり得ません．）

現在の視点で見ると, 釈尊が「Vedaと反Vedaの人達の形而上学的議論は人々の苦しみを救うことはできず, まず苦しみを救うことこそが宗教だ」と考えたことは, なるほどもっともと思うが, 二者択一の議論しかなかった当時にそれを考えついた（さとった？）釈尊はすごい人だと思いました．又, 毒矢の例えも誰にでも解りやすくしようという思いが感じられました．仏教は他の宗教に比べて激しい宗教戦争などが無いこともあり, 私は一番共感できる宗教と感じていたのですが, その内容は表面的なことしか知らなかったので, 来週のサンカ－ラについての授業がたのしみです．（3年女子）
（乞うご期待．）

釈尊の話はなんとも興味深かったです。そしてそこから、世間で常識とされていることに疑問を抱いた鋭さと、物事を全く違う視点から見てみることの面白さ、大切さを感じました。常に狭い視野でひとつの事がらに縛られるのではなく、一歩引いて、広い視野で物事を見つめてみることで、できるのではないでしょうか。でも私は面倒くさがり。そこまで考えるのにはかなりの時間とエネルギーが必要だし…。やはり、それをなし得た釈尊って偉大だ!!　歴史や文化って人があってこそのものだからか、そこからたくさんのことを教えてもらえますね。おもしろいな（＾＿＾）（1年女子）
（そうそう，面白いんです．）

授業で分からなかったんですけど、釈尊（saakyamuni)とGotama siddhatthaって同一人物なんですか？もしそうなら、カピラヴァストゥ王子→saakyamuni→Budda→Gotama siddhatthaっていう風に４回もかわってるんですよね？何かすごいですね。インドの人にとっては普通のことなんですか？（1年男子）
（全然違います (^^;
　カピラヴァストゥの王子であったガウタマ・シッダールタは，覚りを開きブッダとなりました．彼はブッダとなって後，釈迦族出身の聖者という意味で，シャーキャムニと呼ばれました．）

商業が盛んになり都市が形成されたりしていくとVedaへの疑問が生まれてきたということでしたが、やはり豊かになっていったことと関係があるのでしょうか？（2年男子）
（そうです．金銭的にも思想的にも豊かになったのです．）

毒矢の例え好きです。私も宗教は自分が悩まないでよくしてくれるもの、平安をくれるものであってほしいと思います。人間は弱いから宗教に頼って救いを求めるものだと思います。そして、宗教によって救われるべきなのに形而上学的な論争をすることは、無駄のような気がしてしまいました。ただ、私が宗教はそういうものだと言っても、インドの人々には釈尊の考えは受け入れられなかったのだからインドの人々にとっては、宗教はそういうものと言うだけでは取るに足りないものなのかなと思いました。必ずしもその土地で生まれたものがその土地の人に受け入れられるものだとは限らないのだなと思いました。赤い実はじけまくりですな。（1年女子）
（釈尊の教えは，かつて広くインドに浸透しました．しかし，インドの，特に地方におけるカースト擁護の伝統は払拭しがたく，最終的にはインドの地を追い出されたのです．そこには，仏教が僧院に閉じこもってしまい，人々の矢を抜くのを怠ったことも関係しています．）

最初の講義から気になっていたのですが、神はどう誕生したのですか。なんだか「パレスチナ問題」のように人間は神を利用しているだけのように感じます。（1年男子）
（宗教学的に言えば，神は人間の想像力の所産です．ですから神の存在証明はできないわけですが，同時に，神の非存在証明もできません．そもそも何であれ（宇宙人など），「非存在の証明」はほとんど不可能なことなのです．）

パレスチナ問題の話が印象的でした。人間が神を利用しているようだけど、実際戦っている人たちにとってあれは宗教のためなんだろうと思うし、この問題の解決はどういう方法を取ればいいのかすごく難しいと思います。あまりに昔からすぎて…。あと釈尊釈迦の話が興味深かったです。豊かな暮らしの中から出家したことはすごいと思うけど、逆に考えると豊かさは物事を考える余裕も与えるのかな、と思います。考え方がひねくれすぎですか？またいろんな話が聞きたいです。（1年女子）
（だから，釈迦は部族名だってば．．．
　明日生きるための食糧確保もままならないような状況で，高度な精神文化が育まれることはあり得ません．豊かさは重要なファクターです．）

今回の講義により、自分が宗教（特に仏教）に対する先入観を持っていた事に気付かされ、仏教が凄く暖かいものに思えました。ですが、私が思うに最近の仏教の宗教家達の殆どはそうであるとは思えません。自分の宗派に人を集めたいばかりに、様々なことを強要していて、仏教の根源であり釈尊の言っている「矢を抜く」事に専念していないように思えるのです。これは仏教以外のどんな宗教家に関しても言えると思います。これもまた思い込みだったらすみません。でも、実際パレスチナ問題のように、形而上学的な問題で宗教間で論争が起こっているのも事実です。そういった事で論争する事自体が自分に刺さった矢だという事を見逃していると思います。先生がおっしゃったように、「宗教によって得られる形而上学的問題に対する解決・安らぎは、その宗教の中でのみ有効」だから、異なった宗教同士では分かり合えないのかもしれません。でも、それで終わらせていつまでも争いあうなら、それこそ自分に刺さった「他の宗教との係わり合い」という「矢」を抜く事を忘れていると思うのです。私は今回、「宗教」とは「矢を抜くこと」だと気づかされました。だからこそ私は異なる宗教同士の争いが疑問でならないのです。こんな時釈尊がいたら何と言うでしょうか？（4年女子）
（やっぱり「矢を抜け」と言うのではないでしょうか．深い感想をありがとう．）

【総評】宗教の問題についていろいろと考えてくれた学生が多く，とても嬉しくそして頼もしく感じました．次回は仏教の核心「サンスカーラ」を扱います．（鈴木隆泰）

アジア文化論 I

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