2003/5/30 No. 6

5/30 授業の感想6号と回答

感想6号（総数 120）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

まず，インドのカースト制について，私たちの尺度で「差別だからいけない」と一方的に決めつけることはできないと説明しました．次に satya について復習し，その後，梵我一如，輪廻・業・解脱へと進み，ヴェーダの宗教のまとめをしました．

今日は世界とインドのカーストなどを力説されて圧倒されました。　なんとなくわかってきました。（1年男子）
（少しずつでもいいから，理解を深めていこう．）

今日の授業にはまず先生の迫力を感じました。そこで僕が一番印象に残ったのは「決まりきったことを言っては駄目だ！ものにはいろいろな見方があり、そこに良し悪しがあるのが当たり前なのだから一概に否定することは駄目である」とおっしゃられた言葉です。私たち日本人の悪い癖として自分にないものはすべて否定してしまうということですが、その点ではインドのこの制度を認めている人たちはとても考えに柔軟性がありすばらしいと思いました。それぞれに良し悪しがあるにせどこの考えは素晴らしいと思い見習いたいものです。（1年男子）
（この「悪い癖」は別に日本人には限らず，世界全般に見られます．歴史や時事ニュースをこの視点から見直してみてください．）

私はカースト制のことを中学生くらいのときに習ったのですが、そのときはカースト制はよくない、差別だと思いました。しかし、今日授業を受けてその考え方が間違っていたとわかりました。よく理解もせずに自分の考えで差別と決め付けるのはよくないことだとわかりました。インドの思想は日本や他の宗教と違うので複雑でわかりにくい部分もありますがとても興味深いです。（1年女子）
（別段，中学校の教育が間違っているわけではないのです．むしろ中学生の段階では「差別はいけないことなんだ」と教え込むことが大切でしょう．大事なことは，その人の成長に合わせて，世の中には様々な価値観・ものの見方があるのだ，ということをきちんと教え続けていくことだと思います．）

yoga について、目から鱗の思いがしました。今まで昔はやった格闘ゲームのキャラクター像しかなかったもので。昔のインド人の観察力、思想には驚かされました。karman によって巡る samsara、そこから~~それを~~ moksa するための yoga...。複雑にからまっていて、たったの半期では、学べることが限られてくるのが残念です。話は変わりますが、ヘナ体験してみました！インドからの留学生の方にしてもらいました。乾くまでの時間は手を閉じたり開いたりしてはいけなかったのですが、すごくきれいにしあがっていて、感動しました。（4年女子）
（ヘナ体験，おめでとう．デジカメ写真があったら送って下さい．皆に紹介してあげましょう :-) ）

今日はインド文化においての思想についてより深く知れたと思います。梵我一如の考え方に共感しました。日本の自然観とも違いがあり、分かりにくくはありましたが。ヨーガの意味や輪廻を生む考え方も面白く、インドの思想がわかって来ました。しかし一番印象に残ったのは、カースト制に対して勝手な批判をするべきでないというところです。講義でカースト制をよく知り、私もそう思えるようになりました。インド人の考え方なら、少なくとも今は、カーストは決して人の尊厳まで傷つけるものにはならないとも思えます。とは言え問題があることも理解できるので、来週の釈尊の講義が楽しみです。（1年男子）
（乞うご期待! ）

今でもカースト制が受け入れられているというのは理解できるけれど、やはりインドの中にはそれを良しとしない人もいるはず。そのようなインドの中で、たとえば「カーストは悪い習慣だ」というメッセージを込めた映画が上映されたとしたら（実際上映されてるだろうけど）、民衆はどのような反応を示すのでしょう？もしそれが日本の場合なら、「差別は悪い」というある種の偏見（と言ってもいいぐらい、日本人の道徳観ってヒステリックじゃありません？特に戦争のこととか）でかたがつくだろうけど、あの「様々なものを吸収していく」らしいインドのこととなると・・・想像もつかないのが正直なところです。・・・念のため、別に僕はカースト制に文句はありませんよ！（1年男子）
（カーストについて十分理解した上で，やはり否定的に捉えることまで私はどうのこうの言ってはいません．私自身，あの制度に問題があることは承知しているつもりですし，何より，インド政府自体が公式にカーストの否定を宣言しています．）

輪廻の中で来世にかけるというのに、ヨーガ~~ヨーダ~~によって解脱しようとするというのがよく分かりませんでした。カースト制を法律で禁止しているにも関わらずにそれをやめようとしないのですか？？その法律を作った人はカースト制に反対していたのでしょうか？（1年女子）
（ヨーダではなくヨーガです．「フォースを信じるんだ!!」
　来世の幸福も永遠のものではなく，結局は生死輪廻の世界からは脱出できません．業を抑えてヨーガによって解脱することによって，絶対永遠の安楽が得られると考えたのです．
　近代国家を樹立するにあたり，カースト制は否定されるべきものと「頭でっかち or 世界へのアピール」から禁止されたのです．）

授業のペースがはやく理解するまえに先に進んでしまいます。カースト制に関してもあまり~~あんまり~~深くわかることができませんでした。多分インドを語る上で重要なポイントだと思うので、もう少し深く話してほしいです。（1年男子）
（個人個人によって興味の差・理解の差がありますから，授業時間をカーストだけに割くわけにはいきません．興味があってもっと知りたければ，研究室に訪ねていらっしゃい．気の済むまで深くお話ししてあげます．）

中国で輪廻という言い方もあります。前世にいいことばかりやってた人が生まれ変わる時、動物ではなく、人間になれる。これはインドの仏教思想から伝わってきたものだと思います。（3年女子）
（その通りです．）

輪廻のエネルギーが業であり、その業によって人々は来世へ生まれ変わるのに、ヨーガをすることによって本来生まれ変わるべきものではなく、違うものに生まれ変わらせてくれるのですか？今まで輪廻転生ということがある。ということだけだったが、今日その輪廻の由来みたいなものがわかってなるほどな～と納得した。今まで反vedaの人がいるなんて思わなっかたのではやく続きが聞きたいです。（1年女子）
（もはや生まれ変わり死に変わりの世界（生死輪廻の世界）を離れ，ブラフマンと合一した絶対平和の世界に赴くと考えたのです．）

今日は、先生がいつにも増して燃えていらっしゃる気がしました。カースト制の善し悪しをどうこう言うよりも、それの影響などを知るべきだと思った。私は、自分の尺度でしか他の文化を見ていなかったので、もっと視野を広げていくべきだと思った。（1年女子）
（♪燃え上がれ，燃え上がれ，燃え上がれ，○○○○!! ）

インドはカースト制なら、失業もなかったんですか？（1年女子）
（原則的にはそうです．）

brahamanとatmanは高校の倫理で聞いたことがありました。ところで、梵とはどういう意味なのですか？atman＝我は分かったけど、宇宙原理＝梵が。？この前初めて感想を読みました。先生のコメントも面白かったし、他の人の意見を詠むことで、自分の知らなかったことも発見できるし良かったです。（1年女子）
（brahman を中国語に翻訳するとき，音を写して「梵」と訳したのです．感想と回答は毎回チェックして下さい．勉強になるはずです．）

最後にはなされていたyamaの事がいろんなところに行き来していてあまりよくわかりませんでした。（1年女子）
（これでは yama のどこがどのように分からなかったのかが分からず，フォローできません．）

もうヨガとは言いません。ヨーガと言います。間違った言葉って多いと思いました。（1年男子）
（よし，よし :-) ）

今日の講義は同じ言葉が何回もでてきて頭の中がゴチャゴチャでした。まず、brahmanとsatya-vacanaは＝だと黒板に書いてあったけど、先生は「この二つは同じではない」と仰った~~言ったの~~で、よくわかりませんでした。あと、brahmanとatmanの関係もよくわかりませんでした。（1年女子）
（では，質問にいらっしゃい．私の説明をきちんと聞いていましたか?）

今日の授業はよく考えさせられる授業でした。先生が、カースト制度について、熱心に語っていらしたので、私は、今までよく考えていなかった部分があることに気づかされました。カースト制度があった方が良かったのでしょうか、悪かったのでしょうか？親から子に受け継がれるカースト制度は、今だに、不思議で、謎です。生死輪廻は、奥が深いです。（1年女子）
（どちらにせよ，私たちが善悪の基準を設けて裁けるものではないですね．）

カースト制って、みんな頑張っても出世とかできないらしいので、みんなダラダラしてこないのかと思いました。頑張らなかったらリストラなどとかあるのかなぁ？？（1年女子）
（カーストはがんばらなくてもリストラにならない制度なのです．それから「とか」は「AとかBとか」という繰り返しで使うのが正式です．会話中ではまだしも，文章で使うのは好ましくありません．）

生死輪廻は今まで精神的な世界で起こるものだと思っていたので、遺体が火葬され、煙が雲となって空に昇り、雨として地に帰ってくる、という考えに驚きました。命は自然の中にあるんですね。また、カースト制について悪いイメージを持ちやすいことを考えると、私たちは何か自分たちと異なることを学ぶとき、あまりに自分たちの物差しを押し付けすぎているような気がしました。もっと、この世界はこういう世界だというのをすっと受け入れられる素直さが大事なのかなと思います。意見を言うのは、その後でも遅くはないですからね。（1年女子）
（いずれにせよ，ステレオタイプの意見から脱却させるのが，大学の使命の一つだと考えています．）

brahmanとatmanがまだよく理解できません。梵我一如って？？（1年女子）
（梵 brahmam は大宇宙・自然界 macrocosmos の本体です．我 aatman は小宇宙・いきもの microcosmos の本体です．この両者が等しいという主張が「梵我一如」です．）

輪廻の為のエネルギーが業なんですよね？するとヨーガによって違うものに生まれ変わろうとする人は、人生に満ち足りていない人ってことですか？
今日の授業で、インドは西洋と違って心身二元論ではないとありましたが、日本と同じ考え方なので、やはりインドも日本も同じアジアの国なんだなぁと嬉しくなりました。（1年男子）
（ヨーガによって解脱した場合，もはや輪廻しない（生まれ変わらない）絶対安楽の境地に達すると考えられました．
　日本とインド，たしかに似ているところもありますが，日本はあれほど論理的にものごとを考えたりはしませんね．似ているところ・違うところをきちんと理解していくのは楽しいでしょう? ）

「カースト制度は日本の士農工商と変わらない・・・」ずっとそう思っていたけど、今日の授業を聞いてそれは間違っていると反省した。たしかに僕らの常識から考えると、「カーストは差別だ」と思う人が大半だと思う。自分もそう思っていた・・・。やぱり日本人は井の中の蛙とゆうか、どうも外国文化を自分の常識から非難しているように思う。その文化はその地域の人々が生み出し、そして受け入れているのだからやはり観点を変えると、違う国のひとがカーストについて意見することは、単なる自国の常識の押し付けにすぎないということが、改めてよく分かった。（1年男子）
（上の方でも書きましたが，これは別に日本人には限りません．問題は，このような偏見が助長すると，偏狭なナショナリズムに陥る危険があるということです．若者よ，よく気をつけて歩むべし．）

小学校人権の授業でも、中学校の歴史の授業でも「カースト制」は人権を無視した悪い制度だと聞かされていたので、ずっとカースト制はなくさないといけないものだと思ってきましたが、私たちの一方的な決めつけであって、100％悪いものじゃないということが良くわかりました。インドのことだけではなく、私たちは様々なことに対して「良い」「悪い」を自分の価値観で決めつけるのではなく、いろんな視点から見ていく必要があると感じました。今日は色々勉強になりました。（1年女子）
（せっかく大学に来たのですから，キャパシティーを拡げて下さい．）

今回の講義では、生死輪廻などを取り上げられていましたが、インドは人間は自然の一部であるなど自然との関わりが非常に強い国で、日本と似ていて何となく親近感がわきます。でもやはり「カースト制度」はよくないと思います。ただ自分の価値観を人に押しつけたり捉えることも良くないことだとわっかているつもりなのですが。（1年男子）
（いかにあなたがそう感じても，あなたがインド人の文化を否定する権利はないということは理解できましたか? それが理解できているなら，カーストについてあなたがいかに感じようと，それはあなたの自由です．）

前回の感想でインドの「底なしの胃袋」観はどこからくるのか分からないと書きましたが、これは veda から出てきたものではなく、インド文化、インドの自然そのものからくるものだという結論に自分の中では結論づけました。むしろ veda も飲み込み、民族も関係ない、インドがそうさせる、ということですか。^₍₁₎ やはり人間も自然の一部ということからは抜け出せないんですね。その意味でも梵我一如は真理ということになります。後少し思ったんですが、梵我一如の考え方は、高校の時倫理でやったプラトンやアリストテレスのイデア論に通じるものがありますね。
それから輪廻についてなんですが、解脱したとき人はどうなるんでしょうか。brahman の元へ帰るのでしょうか。逆に brahman から新たに atman が生まれることはあるのでしょうか。₍₂₎ brahman も梵我一如なら輪廻するのでしょうか。もしそうなら brahman 自体も輪廻からは逃れられず輪廻こそが最大の原理となってしまいます。はたまたその上にもっと大きな brahman みたいなのがあって…　なんかまたぐちゃぐちゃになってきました。（1年男子）
（下線部(1)について．賛成です．
　下線部(2)について．brahman へ帰一した aatman は，再度生死輪廻の世界へ舞い戻ることは（原則的には）あり得ません．その点では，火の鳥のコスモゾーンとは異りますね．むしろコスモゾーンは阿弥陀仏信仰の往相・還相に近いかも知れません．）

梵我一如を本当に悟ると宇宙が自分の手の中にあるような気持ちになるのかなぁ。と思いました。そういう気持ちになれたとしたら、金持ちになりたいと焦っている今の自分のことがばかばかしく思えてくるのでしょうね。（1年女子）
（お金はあってもいつかはなくなりますからね．解脱の楽は永続するらしいです．）

インドではすべての身分の人がカースト制を受け入れていると言うのを聞いてビックリした。（1年男子）
（必ずしもそうではありません．ヴァルナ外の untouchable の人たちに対する差別はガーンディーも反対しましたし，彼らの中にはヒンドゥー社会を飛び出して，仏教やイスラームなどに改宗する人もいます．ただし，それらの人々をも，新たなカーストとして位置づけてしまうところに，インドの底なし胃袋の一端が垣間見られます．）

よくテレビなどとかで見るヨーガの独特な動き（体を曲げたり、足を首にかけたりする）はやっぱり瞑想していく中で出てきたものなのですか？それともヨーガは瞑想するだけじゃなく、あの動きと合わせてひとつのものと考えるのですか？ちょっと気になったので教えて下さい。（1年女子）
（授業中にも説明しましたが，あれは「ハタ・ヨーガ」というもので，ヨーガの中では新しい傍流です．伝統的なヨーガ（ラージャ・ヨーガ）は，姿勢を正して行う瞑想法です．）

輪廻の話はとても理解しやすく納得できた！あと五戒の話にも興味を持った。人は何かの教えがあるから間違いを起こさずにすむと思うし、何かを守っていれば罪を犯さずにすむと思う。五戒を守っていれば五戒も自分を守ってくれるという考えがその時代の人々を救っていたと思う！！！（1年女子）
（その時代（古代インドのことですか?）に限らず，現代でも通用しています．）

今日の授業には聞いたことのある単語がたくさん出てきた。インドのことはほとんど知らないと思っていたのだが、気付かないうちに自分の中にもインドの思想が存在していたのかもしれない。
しかし「ヨーガを通じて梵我一如を悟り、ヨーガが完成する」といったように、過程と結果が同じ単語になることに対する違和感はぬぐいきれなかったことも事実だ。そのような単語の他の例も知りたい。（1年男子）
（他の例では「法 dharma」が例として挙げられます．仏教徒は，釈尊の説いた教え（＝法 dharma）を通じて，真理（＝法 dharma）の獲得を目指します．）

輪廻の輪から抜けるためには、どのような方法があるのですか？（1年女子）
（ヴェーダの段階ではヨーガの修習がほとんど唯一の方法でしたが，『バガヴァッドギーター』の段階になると，自らの義務をきちんと果たしたり，あるいは，神に対して絶対的な帰依をすることによっても解脱が達成できると説くようになりました．）

解脱は、生まれては死に、また生まれてくるという輪廻から、抜け出すことだと習いました。それでは~~じゃあ~~、みんなが解脱することを望んでいるのですか？そして、解脱したらどうなるのですか？もう来世には生まれてこないのですか？解脱については疑問がいっぱいです。（1年女子）
（ほっほっほ．よいところに気がつきましたね．まず，解脱したらもう生まれては来ません．生死輪廻の世界を離れてしまったのですから．そういうわけで，インドの伝統に則せば「解脱こそ最高の理想」ということになるわけですが，実際は「この世にまた生まれ変わってきたい」と考えるインド人は決して少なくはないそうです．理想と現実のギャップは，いかなる人にもあるのですね．）

カースト制はいけないとよく言われているけど日本のように一方的な押し付けの身分制度ではなく民衆が自ら選んで行っているのならこれから先もインドから身分制度がなくなりそうにないような気がしますが・・・本当にこのままのシステムでこれからもやっていくのでしょうか・・・（1年女子）
（インドにも都市化の波が来ていますから，変化しつつはあります．でも，それがカースト制度そのものをなくす力にはならないでしょう．かたちを変えつつ，カーストは存続していく可能性が高いと思います．）

今日はまたスケールの大きな世界へ引き込まれたような気がした。Yogaを通じて梵我一如を悟ることでbrahmanとatmanの合一が完成するなんて…。（全てを手に入れているようですね。）
業karmanという言葉を始めて聞いたが、生死輪廻のエネルギーでもあったとは知らなかった。日本でも「人は死んでもまた生まれ変わる」と聞くがYamaの中に再死の観念が含まれていた事には驚いた。「終わりはない」ということですか？（もしそうだとしたら生死輪廻の世界はパンクしそうな感じですね。）（3年女子）
（根元的な brahman から万物が展開したわけですから，別にパンクはしません．エネルギー保存則と同様に，総量は不変だからです．）

五戒の話で言ったことを実行することにより戒によって悪いことをしようとすると今までのやらなかったという自分の気持ちで悪い行為をしないように守られるのをすごく納得した。自分でも、普段やっていない悪いことをしようとするとどうしても、気が引けて、やっぱりやめておこうという気持ちになる。ここに、初めから私が、これはやらないというような、宣言をしていれば、私にも立派な五戒がうまれるのですね。（3年女子）
（「ことばの力，誓いの力」が実感できるでしょう? ）

神様も、虫も、植物も、人間も、brahmanから出てきたatmanだ、という考え方はおもしろいです。ますますインド人の思想に興味が湧きました。brahmanに、私も一atmanとして、戻れる可能性があるのなら、挑戦してみようかな…。絶対的な安住の地っていう響きにそそられます。こうしてかんがえても、インドの思想って、生きているうちに楽を手に入れるんじゃなくて、死んでからの人生（？）も大切に考えてるんだなぁ。すごいですねぇ。（1年女子）
（スケールの大きさにかけては，インド文化は他のどの文化にも引けをとらないでしょう．）

カースト制度のによって、身分が分けられる社会は不思議だ。人が自分の役割を認識しているから。
　輪廻の来世で幸福を望む考え方は凄く共感できる。早く今の生活から逸脱したい。（1年男子）
（「早く今の生活から逸脱したい。」という部分はあなたの感想ですか? それともインド人の心情を慮ったものですか? もし前者なら，何か大きな不満でもあるの?? ）

生死輪廻の話にとても惹かれました。生まれたものは必ず死ぬという考えはそのとおりだと思いました。形あるものはいつか壊れると一緒ですね。（1年女子）
（同時に，「死んだものは必ず再び生まれてくる」のです．生死の無限の繰り返しが輪廻の世界の構造ですから，）

輪廻からヨーガで解脱した人が死ぬとどうなるんでしょうか？（1年男子）
（解脱の境地は不死の境地です．不死ということは，もはや生きてもいないということです．生きているものはいつかは死にますから．）

この前はほとんど理解できてなかったけど今日の話を聞いてまだまだ難しいけどなんとなく理解できた。brahman=satya-vacanaだけどsatya-vacana=brahmanではないというのがよく理解できなかった。（1年女子）
（すなわち，
　brahman → satyavacana：これは成立．
　satyavacana → brahman：これは必ずしも成立しない．
ということです．
　猫は動物である：これは成立．
　動物は猫である：これは必ずしも成立しない．例えば犬も動物だから．
要は，両者間の必要条件・十分条件と関連してくるのです．）

私は、インドの人々が両親の職業を尊敬している点がとても気に入りました。思いやりや尊敬など、心の豊かな部分は競争社会の中でよりもカースト制度の中でのほうがよく育つ気がします。カースト制度にも、資本主義にも、長所と短所があって、なかなか完璧な制度は作れないと改めて思いました。それと、自分の物差しで異文化や他人を計ってはならないから私たちは、色々な見方が出来るようになる為に、心の広い人間になる為に、異文化やその他の色々なことを勉強するのかな。と思いました。（1年女子）
（その通りです :-) ）

思想を論理的に突き詰めるというのは難しいことだと思います。が、今日の「梵我一如」のあたりの説明（インドにおける自然と人間との関係の考え方）は私にとって素直に受け入れやすかったです。自分が変化したり、大きくなったり、小さくなったり頭が大変でもありました。
　あと、yoga の両足を頭の上で組むのに憧れて、昔うんうん唸りながら練習したことがあります。(結局出来ませんでした。)でも、元々は「瞑想」ということで躍起になって出来るものじゃないと解りました。そもそも yoga の目的がまったく違いますし。

もし輪廻があるとしても、私は抜け出したいとは思っていません。でも、それは努力しないで生きることとは違うと思います。インドの輪廻を抜け出したい人や、そうでない人(居るかどうかわかりませんが・・・)はどう思っているのか、少し解説していただきたいと思いました。（2年女子）
（「梵我一如」がすらっと理解できると，インド思想は格段に入って来やすくなります．解脱・輪廻云々に関しては，上の方に書いておきましたので，そちらを参照してください．）

今日の鈴木先生の授業には感動するものがありました。私が異文化を学ぶ上で忘れかけていた大切なことを思い出させてくださったからです。
私は今までこの授業がよく分からなくていつもスッキリしていませんでした。しかし今日はスッと頭に入ってきました。それは先生の言葉のおかげだと思います。ホントです！いろんな国の異文化を学んで行く中で私は結局どこか一箇所だけの国の文化を正当化することしかできていませんでした。自分が恥ずかしくなります。
今日気付いたことを一生忘れたくありません。
これからの授業が楽しみです。（1年女子）
（これからの授業もよろしく!! ）

macro-cosmosとmicro-cosmosが対応関係というところで, 物理学の宇宙の構造と分子の構造が似ているというのと, 近似しているというところが, 興味深かったです．また, 輪廻の思想は仏教の思想と思っていたのですが, 仏教ではまた違うのでしょうか．命が死ぬとまた生まれ変わるというのは, エネルギー不変の法則と共通するものがあると, 以前から思っていたのですがどうでしょうか．
yoga によって梵我一如を悟るとはどういう状態なのでしょうか．自分にだけ解るということで解脱したと知るのでしょうか．解脱した魂または人は死んだら何処に行くのでしょうか．といろいろ疑問がわいてきました．（3年女子）
（エネルギー保存則に関する記述は，上の方を参照してください．
　解脱した人がどうなるかは形而上学的考察（理性や経験では解決できない世界）の対象です．形而上学的議論に対する釈尊の態度が非常に興味深いですよ．次回を期待していてください．）

私の中でのYogaのイメージは、足を首の後ろで組んだりしてかなりアクロバティックな、どんな目的でしているのかも分からないようなものだったのですが、今日の授業を聞いて初めてYogaとは瞑想であり、Yogaを通して梵我一如を悟ったり、輪廻を解脱することが可能になることが分かりました。
様々な風土に応じた考えや文化を人々は育んでいるので、自分の持っている考えだけを正しいものだと信じて他のものを見下したり、無理やり自分と同じ考えを持たそうとしたりしてはいけないという事を再認識しました。（1年女子）
（ハタ・ヨーガは心身の調和を目指すものであって，必ずしも解脱を目指した修行法とは呼べません．）

これまで授業を受けてきて、カースト制を否定的に見ていたように思います。先生の言われたことがガッツリ胸に響きました。カースト制もインドの伝統的な文化であってそれを私達が簡単に否定したり、排除しようとするのは確かに違っていると思いました。相手の文化を理解し、宗教や思想を理解することが、異文化を理解することにつながるんだと再確認しました。国際文化学部に入ってからなんだかその気持ちを忘れていたように思います。当たり前のことなのかもしれないけど・・・。理解しがたいことでもそれが相手の文化であり生活なのだからはじめから否定の目ばかりで見るのはいけないんだと今日はしみじみ感じました。これからもアジア文化以外にも気づける何かを探してこの授業に望んでいきたいと思います!! ありがとうございました!! （2年女子）
（異文化理解は，もちろん相手の文化を全て受け入れるなどということでは決してありません．どうしても受け入れがたいところは受け入れがたいままでいいのです．大事なのは，受け入れがたいところがあるという理由で，その文化全てを受け入れないという硬直化した姿勢を取ってはならないということなのです．）

今日の講義を受けていて考えたことがあります。インドの人々（ヒンドゥー教信者？）の中の「科学」というものはどのような位置づけがなされているのでしょうか。例えば、今日先生が仰っていた、「太陽は一日ごとに生まれ、死ぬ」というお話しにしても、科学を学んだ者は「ただ地球が回っているだけ」だということを知っているはずです。それなのに太陽の生死を信じているというのは彼らの中にどういった考えがあってのことなんでしょうか。化学的な事実の存在は認めた上で宗教上の神話を信じているのか、科学的事実を否定する立場に立っているのか。宗教を勉強すると、私はいつもそんなことを考えてしまいます。ヒンドゥー教だけに限らず、｢宗教｣というものを考える上で、科学の存在って、かなり無意味な物になってしまうような気がして・・・（2年女子）
（そうではありません．あなたの感想は奇しくも，日本における科学教育，そして宗教教育の貧困さを物語ってしまっていると思います．故清原先生の運営されていたメールマガジン Cherry Press の 2001/11/28 号に，科学・宗教・原理主義に関する記事を投稿してありますから，是非参照してください．）

中学ぐらいの時、カースト制は差別で、あってはならないものと教えられたことがあります。でもそれは、単に差別制度としてとらえて機械的にいけないものと植え付けられていたような気がします。いけないものと言っておきながら、ガーンディーがカースト制を認めていたことは言わずにただ素晴らしい人、すごい人とだけ教えていました。カースト制が単にいけないものだと教えるのなら、それを認めていたガーンディーが素晴らしい人と教えるのは、なんかこっちの方が歪んでいます。そうやってこちらの尺度でいい、いけないと決めつけるのは間違っていると分かりました。そんな私は、２度目の赤い実はじけたを経験してしまいました。（1年女子）
（よし，よし (^^) ）

高校の授業で習って、梵我一如とはどのようなことかという意味は大体知っていたが、イメージが湧いてこなかった。でも、今日の授業ではっきりとした意味が理解でき、深くまで学べてイメージがはっきり湧いたのでよかった。
今まで講義を毎回聞いてきて、インド文化は他の文化と比べ、極めて知的な文化レベルにあるのだということを理解できるようになってきた。あと、その土地の気候が人間を育み文化をつくるのだということも理解できた。（1年男子）
（よい感想です．◎）

今まで日本とインドとは近いなぁと思っていましたが、輪廻の考え方は少々違うみたいですね。インドのカースト制を受け入れるというか根本に据えている人々は、いい意味で諦観思想なのでしょうか？ただの諦めではなく、受け入れ、その中で出来ることをしていく姿にはすごいと思いました。それと、生死に関しての考え方がものすごく論理的なことに驚きました。インドの数学の成績がいいわけだ。今までヒンドゥー教は謎だったけれど、イメージはつかめてきてはいるのですが、やっぱりまだまだです。（1年女子）
（これまたよい感想です．あせらずにじっくり考えていって下さい．）

私は、今までカースト制度はインドの良くない習慣だと思っていましたが、それは自分自身の偏った見方であった事が、今日の授業を聞いて分かりました。国際文化学部に来たからには、もっと文化を相対化して見られる~~相対して見れる~~視点を身につけなければいけないなと思いました。それから、輪廻の思想について、どこから、そのような思想が来ているのかを知ることができて、良かったです。（1年女子）
（よし，よし (^^) ）

私は、インドのカースト制を誤解していました。『差別はいけない。いつか、インドのカースト制度がなくなればいいのに・・・』と、単に自分の先入観でしか物事を見ていませんでした。『物には、いろんな見方がある。』先生のこの一言、忘れません。生死輪廻の思想のところでは、まさに『自業自得』という言葉がぴったりだな・・・と思いました。来世のために、今世が頑張れるのだし、人の命は繰り返すこともできる。それなのに、どうして人はヨーガの達成による輪廻解脱を望むのでしょうか？安らかに眠りたいという事ですか？（1年女子）
（そうですね．どんなに安楽な生活でも，それが生死輪廻の中にいる限り，いつかは終わりが来ます．永遠に終わらない絶対の平安が，解脱の世界だと考えたのです．）

先生が授業の最初に仰って~~言って~~いたことがすごく分かるような気がしました。カナダに1年間いましたが、向こうで日本やアジアの文化について欧米のものさしでよく、それが悪いとか、それは間違っているなどと言われました。私も自分がそういう体験をするまでは、インドのカースト制度をありえないとか、差別的だと否定していましたが、その土地で育まれてきたものを否定される側に立って考え方が変わってきたような気がします。今の国際情勢を見ていても、一つの国が自分たちのものさしで他の国を変えようとしていたりするのを見て、やっぱり本当の意味の異文化理解が必要だと思います･･･。インドの人はjati制を認めていない仏教を追い出し、jatiを選んだ、ということも初めて知りました。（1年女子）
（悔しかったとは思いますが，よい経験をしましたね．先生は誉めてあげます．）

今回の講義では、macro-cosmosであるbrahmanとmicro-cosmosであるatomanの対応関係について分かりました。村上龍氏のエッセイに印象に残るものがありました。彼の観た映画の中に、ヨーロッパの監督によって撮られた短編映画があったそうです。音声はなく、最初はアップで何が映っているのか全く分からない。やがて、それが男の顔であることが分かる。だんだんロングになっていき、男がプールサイドに座っているという映像になる。さらにロングになり、男の住む地域が映る。国が映る。地球が映る。宇宙が映る。そして、宇宙の全体像が映し出されます。ここで、一旦映像がストップし、今度は逆に猛スピードで最初の映像へと戻っていく。男の体内へと映像は進む。最終的には原子、分子のレベルに達する。初めてナレーションが入る。「結局、宇宙も人間も同じなのです」
私は、インドにおける「自分と自然の一体感」という考え方に共感を憶えました。又、その地域独特の文化や宗教を否定する考え方は、間違いであるということが分かりました。異文化を認めない狭い考え方にとらわれないように、今後も積極的に受講したいと思います。（1年男子）
（よーし，ついて来いよ!! ）

【総評】インドのカースト制を題材にして，異文化理解について考えを深めてくれた方が多く，大変頼もしく感じています．これからも一緒に勉強していきましょう．次回は仏教に進んでいく予定です．（鈴木隆泰）

アジア文化論 I

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