11月28日
クローンについて



A:今日の議題は、クローンについてです。クローンについてはみんな知ってると思うけど、同じ人間の遺伝子を使って同じ人間を作ることです。賛否両論あるけど、人間が人間を作るのはいいのか?そんな事をしてしまってもいいのか?と思って。
個人的にはするべきじゃないと思う。でも、「してはいけないという理由でしない」ということは歴史的に見てないのではないか、と友達に言われ、考えてしまった。科学の進歩はどこまでいっていいものなのだろうか。まず、クローン技術についてありかなしかを聞きたい。

B:牛とか羊とかありますよね。あれはどうかわかんないけど、人間はあまりいい事じゃないと。

A:理由もつけてください。

B:いきなり自分と同じ人間がいたらびっくりするし、国の重要な人物、例えば大統領を作って、教育して、その人の思うようにしていったりとかするから…だめだと。

C:すりかえるってこと?でも、20歳のときに作ったら0歳からスタートだからすりかえは無理じゃ?

A:さあ。

B:皇室とかの問題で…

A:とりあえず置いといて、次の人。

D:クローン人間はいいことじゃない。自然の道理にかなっていないから。性格まではいっしょにならないと思う。

A:遺伝子の研究の延長線だから、全く同じのを作るのが目的ではないのでは?

D:はぁ。

E:私も反対。ニュースを見ていい気持ちがしない。なにかしら利用するために作るから、そのために生まれてきたと思ったら、いやだ。

F:反対。だけどもし何かで自分の片腕がなくなって、それだけ作れるんだったらいい。部分的なら医療面で役立つと思う。でも無理だろう。いつかバチがあたりそう。

G:医療の面ならいい。でも悪用が絶対ありえる。

H:クローンは気持ち悪い。でも遠い将来、老人だけになって子どもがいなくなったらあるかもしれない。

I:医療面ならあるって言ってたけど、自分の遺伝子から胃とか腎臓とかを作るのはいい。クローン人間はだめだけど、クローン技術としては、あり。

J:気持ち悪いっていうのがわかる。生理的にだめ。人工的に作られた感じがして、いや。

A:やっぱりみんな否定的ですね。ぼくもそう思ったんですけど、やっぱり疑問なのがどういった必要から出てきたのかということ。でも、好奇心や探究心からのクローン技術なら止めることはできないと思う。

・・・沈黙。

どこまでがいい使い方で、どこからが悪い使い方なのかを聞きたいんですけど。

C:付け加えると…。新たに人間を作ることは自然の道理に反するって言ったね。それなら腕を折ったり病気になったりして、治療するのもだめじゃない?だって、病気になったりした人は、ほっといたら死ぬ人だよね。これは自然の道理に反していないっていうなら、クローンはどう?クローンが自然の道理に反するというのなら医療も否定することになるんじゃないかな。これはとても身近な問題なんじゃないかな。

A:クローン研究を進めることによっていい方向に使えば寿命が長くなるかも。現にこれまでも長くなってきているし。いい方に使えばいいんじゃないかな。何をもって悪いとするのかを追求したい。境目を。
直感でクローン人間はだめって思うけど、やっちゃいけないってだけでやらないなら戦争もないし、原爆もなかったと思う。

C:ちょっと違うな。悪いと知っててもやるのはやる。
あと宗教の立場から言えば「人をつくっていいのは神だけだ」って考えがあるけど、もうなくなってきてるよね。

・・・沈黙

A:ちょっとよくわからなくなってしまったんですけど。

C:科学技術のいいものと悪いものの例をどんどん出していって境目を作ったらどうだろう。
けど難しいでしょうね。戦争も原爆も全部いい面悪い面両方あるから。これは完全にいいこと、完全に悪いことってあるのだろうか?というすごい問題に突き進んでいるのではないかと思う。
クローンにしぼったら?

A:もし自分の子どもが生まれたてとか幼くして死んだら、その子の細胞を使って生まれ変わらせますか?クローン技術が使えるとしたら使いますか?

F:使いません。

A:僕もそう思う。

F:そのときの感情を大切にしたい。

A:一つしかないというありがたみ?

F:はい。あと、兄が幼いとき死んでて、クローン技術があっても使わなかっただろうって親が言ってた。

A:そうですね。それがいいと思います。

F:じゃあちょっといいですか。食べ物だったらどうですか?例えば、いい肉が安全にクローンでできたら。

A:悪影響が出ないなら食べるけど、遺伝子組み換えはだめって言われてるから…。

C:テロメア知ってる?
〜しばらくテロメアの時限装置についての説明〜
今まで作られた動物のクローンはどこかに必ず奇形があって、完全なのはないんだ。でも動物だからわかりにくいんだろうね。

・・・沈黙

A:まとまった気がするからテーマを変えてもいいですか?

C:そうかな。
臓器移植とクローンはすごく密接に結びついている。

A:どう思いますか?

B:臓器移植はいいと思う。けど、そのためにクローンを作るのはだめ。極端だけど、自分がクローンで、ある日「元の自分が死んだからお前の臓器をとるぞ」と言われたら考えられない。

C:殺すこともある。きれいごとじゃない。臓器売買もある。組織が殺すってことも。

A:お金を持ってる人が勝つってことですよね。

C:フィリピンでも臓器の問題で子どもがいなくなってるのが問題になって。その調査関係者もいなくなったり。

G:臓器の行き先は?

C:ほとんどアメリカ。

H:日本ではどう?

C:難しい。法律がある。
でも我々は子どもに弱い。自分じゃない人が苦しむのを見るのは辛い。助かるなら、と思うならしてしまう。その技術ができた以上、できてしまう。

A:じゃ、まとめると…

C:まだまとまんないよ。
クローン問題はやっぱり生理的なものなんじゃないかな。生理的な嫌悪感じゃないだろうか。なぜ人は人を食べないのか?それは人を食べたくないからだ。そこに理由はない。
根本までさかのぼると、理屈では説明できないのでは?一番の大元は理屈じゃないんじゃないか。でも、理屈によって感情を抑えているのは不健全だ。
クローンは気持ち悪いな、いやだな、という感情が実は本質的な部分じゃない?
理屈と感情の世界は、はき違えて討論せねば、と思う。

A:本能的にだめっていうのでまとまった気がする。

〜まだ時間があったため、理屈と感情の話から、北朝鮮の拉致問題についての報道について討論した〜

C:人間理屈じゃないっていうのがわかればいいのかなあ。

A:はい。そう思います。

《編集後記》
クローン問題はおもしろいテーマだったと思う。でもその割にはあまり盛り上がらなかったから残念だ。それに、今回だけではないが、いつからか、端っこから順番に意見を述べていく形が定着してしまって、議論というよりはアンケートのようで少々退屈だった。


書記の方,ご苦労さまでした.よくまとまっています.
「編集後記」で触れているように,議題提出者(司会)の議事運営に,工夫・努力の必要性が認められます.次回以降はこの点についても,皆でお互いに気をつけていくことにしましょう.

(鈴木隆泰)


基礎演習 II・IV

アジア文化論研究室

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