1月16日
動物実験をどう思うか



A「今日は動物実験について話し合っていきたいと思います。インターネット、洗剤、シャンプー、化粧品、医薬品の研究のために、日本で2000万、世界で2億もの動物が実験台にされています。」
B「化粧品にも!?」
A「私も知らなかったけどそうなんです。」
B「例えばどんな実験をするんですか?」
A「ウサギの目に薬品をたらして反応を見たり、口紅を食べさせたり。このような実験についてどう思いますか?」
B「でも、その動物の犠牲があって、人間のために使われているからしょうがないかなぁ。」
C「やっぱりしょうがないのかな・・・。」
D「動物実験というと、大学病院などの動物実験が思い浮かぶ。学校の教科書に載っていたキメラマウスはちょっと・・・。」
B「キメラマウス?」
D「白とか黒とかがごっちゃになった、普通では生まれてこないネズミです。」
E「私も思い浮かぶのはネズミかな。学校の授業の解剖なんかはあんまり意味がないような気がします。」
F「ネズミなどを使って薬物反応を見るのはあまり賛成ではないけど、理科の実験での解剖は、実物を見たほうがよくわかるのでいいと思う。質問なんだけど、ネズミに出た結果は人間にも当てはまるの?」
D「サルは?」
A「サルは人間とDNAが90%以上も同じですが、たった少しの違いが実験による生死をわけるらしいです。」
G「でも、開発された薬は最終的に人間にも試されるよ。」
A「実験にもいろいろあって、心理学実験、化粧品のための実験などがありますが、どこまでの実験なら許せますか?」
B「ネズミなどには抵抗があるけど、魚なら許せる。動物の種類によって違うかも。動物のことを思うとどうかと思うけど、自分のことを思うと仕方ないことだと思ってしまう。」
C「実験しないとわからないのですか?」
G「試してみないと解らないのが化学の世界。理屈だけじゃだめなんだよ。」
C「じゃあ、やっぱり実験は必要かな。」
H「ネズミなら許せるけど、イヌとかはかわいそう・・。」
G「私たちが肉を食べていられるのは誰かが動物を殺し、解体してくれているから。動物実験にしても、実験をしてくれている誰かのおかげで今、私たちは快適な暮らしを送ることが出来ているんじゃないのか?」
A「皆さんは学校などで解剖したことありますか?」
D「牛の眼球を解剖したことがあります。」
A「どうでした?」
D「確かに実物を見るのはよくわかるけど、今役に立っていないのであまり意味がなかったような・・・。」
G「でも、勉強ってそんなものじゃない?無知でいるよりいいのでは?意味があるかないかを考えるのは難しいよ。」
A「私は動物実験には良いイメージを持っていなくて、化粧、洗剤、シャンプーの動物実験に取って代わるものがあると思う。」
B「世界で最初の動物実験って何なんですかね?」
F「この動物は食べれるかな?って食べてみるのも動物実験なのでは・・?」
A「化粧のことに戻るけど、動物実験をしていない会社もあるんです。化粧品に実験は必要?」
G「効果が同じなのに実験してる会社としてない会社があるなら必要ないと思うけど。」
D「死んだ動物はどう処理されるの?私はちゃんと供養するべきだと思う。動物は物として扱われ、死んだら終わりだと思う?」
A「インターネットにもごく一部ではあるけど実験者が笑いながら残酷な実験をしているという態度の悪さが指摘されていました。」
C「動物に対する感謝の気持ちがない人はすべきではないと思う。」
G「確かにあまりにも酷い態度の実験者はどうかと思うけど、罪悪感ばかりを感じていては、その人、罪悪感で潰されちゃうよ?好きで動物殺してるわけじゃないと思うから、責めちゃあかわいそうだよ。ある程度割り切った気持ちでやらないと。」
A「そうですか・・。私も一方的な視点からしか見れていませんでした。」
G「不必要な数の動物が殺されているならそんな実験はやめるべきだね。」
F「実験をしてもいいと思ってたけど、みんなの意見を聞いてるとよくわからなくなった。」
C「Gさんの意見に反論したかったけどいい言葉が出てこなかった・・。」

《編集後記》
私たちが日ごろ使っている洗剤、シャンプー、化粧品。安全に使われている裏には多くの動物の犠牲があるということに複雑な思いがしました。動物と人間の命について、奇麗事では済まされないという難しい問題があることを改めて感じさせられました。今日は、実験に賛成派・反対派どちらの意見にも納得してしまう大変難しい問題だった。世の中、良い悪いがはっきりする問題のほうが少ないのかもしれない・・・。


ある行為の恩恵に与かっていながら,その行為,あるいはその行為を行う人たちを非難することは,天に唾するのと同じだと思うのです.動物実験にしても,減らせるものであれば減らせるに越したことはないわけですが,動物実験を減らそうと主張するためには,どこまで実験を減らしても安全面で大丈夫なのかを明示する必要があるでしょう.それを行わずに感情的・感傷的立場だけから動物実験に反対の立場を表明するようなことは,大学人はやめましょう.

(鈴木隆泰)


基礎演習 II・IV

アジア文化論研究室

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