11/12 No. 2

11/12 授業の感想2号の評価

感想2号（総数 53）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や感想の質には全く関係ありません．ただし「感想の内容」は評価対象となっています．

複数の同一または類似の感想は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

前回に引き続き，〈東南アジア〉の文化的特質の第二回目です．四層よりなる文化構造の第二層以降を説明しました．途中でマーライオンの絵も描きました．

今の東南ｱｼﾞｱは4層の文化構造から成る事が分かった。確か東南アジア諸国というのは1つの国の中にも複数の宗教の文化が内在しているという話を聞いたことがある.イスラーム、仏教などである.記憶は定かではないのだが、東南アジア諸国には教会もあると聞いたような聞かないような….
東南アジアに具体的にはどのような西欧文化の影響が見られるのか疑問に思います.それと、私は先週この授業は休講だと勘違いしていました….我ながら愚か者である。（3年女子）
（なんで休講と勘違いしたのでしょうか? 何か誤ったアナウンスがあったのですか?　文化構造第三層に関して言えば，今も残るヨーロッパ由来の言葉や建造物，それに占領政策の影響などが挙げられると思います．）

支配階級の国は支配した国に自国の文化を教えたがると話されていましたが、大戦中は日本も韓国に日本語教育をしていたことを思い出しました。ということは、もし敗戦後日本がアメリカの植民地化していたら、今の私たちは英語が日常会話になることもありえますよね。（3年女子）
（そうならなくて何よりでした．）

今日は四層の文化構造のすべてを習った。巨視的に見るとき，東南アジアはこの四層の文化構造を持つ地域という共通点がある。現在の国家間の文化の特徴が４番目にあたると考えてよいのでしょうか。フィリピンの国家としての体をなす前の状態ということがよくわかりませんでした。（3年女子）
（スペインに占領される以前，フィリピンは全くと言ってよいほどに，どの歴史舞台にも登場しないのです．そしてスペイン側の資料に拠る限り，講義でお話ししたような状況になります．
　文化第四層については，別段「国家間の文化の特徴」というわけではありません．）

東南アジアが歴史的に微妙な土地ということは知っていたが、文化に関しても複雑な構造ということは知りませんでした。ところで、日本はいったい何層なんでしょうか？とりあえず中国の影響は受けているし、インドの影響も受けていますよね？おまけに、明治維新後には尊欧蔑亜の考えが広まり、欧米文化をかなり受け入れているとおもうんですが。（1年男子）
（まず確認．「日本は，〈東南アジア〉文化の何層目を形成しているか?」という質問ではないんですよね?
　うーん，そうですねー．巨視的に見た場合は何層くらいになるんでしょう．それだけで一つの研究テーマになりますね．）

東南アジアの文化は、幾つもの要素が重なって、あのような特色のある文化になっているんだなと思いました。東南アジアという地域の中での共通性と独自性、その理由が今日の講義で理解できたように思います。
西洋の文化は言語や生活習慣、政治体制などに影響が見られるのではないかと思います。具体的には知りませんが、学校制度なんかは西洋的な文化の一つではないかと･･･中国文化の場合、学校というより塾という感じがするので。実際どのようなものが宗主国の文化の影響として残っているのか教えてください。（2年女子）
（第三層については上の方でも説明してあります．付け加えておきますと，例えばラオスの首都ビエンチャンには，フランス領時代の官庁の建物が建っています．これも影響の一つでしょう．）

タイという国は幸か不幸か植民地にならなかったから、第二層の文化が強いのはよくわかる気がするが、植民地支配を受けていた国々がその宗主国文化の影響をあまり受けずに第二層の文化を強く受けているのはなぜだろうか。ヨーロッパの国々だからキリスト教の影響を受けるということはなかったのだろうか。（3年女子）
（授業でお話ししたと思うのですが．．．　第二層の影響は第三層のものよりはるかに大きいのです．）

東南アジアの文化構造の第三層において、１３世紀以降大陸部にはスリランカ経由のパーリ仏教が伝わってきたとありました。パーリ仏教のストゥーパはブッダの icon である、という話でしたが、私には少し抽象的だったので、もう少し具体的に教えていただけませんか？（3年女子）
（詳しくは「宗教文化研究（仏教文化）」の方で，と言いたいところなのですが，それでは身も蓋もありませんね．どうぞ研究室に来て下さい．ここでお教えするより分かりやすく説明できると思います．興味のある方数人で集って来てもらえると一番よいかも知れません．）

植民地支配以前においては、現在私たちが自明なこととして考えているような形での国 ―国境線が明確な形で引かれているような― は存在していたのでしょうか？
　それと、パーリ仏教においてはストゥーパはブッタの icon であるということですが、仏教の創始者である釈尊は偶像崇拝についてどのような教義を残したのか、または何も言っていないのか、ということが気になりました。しかし、これは宗教文化研究のほうで扱う問題ですね。（4年男子）
（国境線は行ったり来たりですよ．それは別段この地域に限りません．仏教における icon の件，これまでの仏教文化の講義を聴いていれば答は自ずと見つかるはずですよ．）

東南アジアの文化の背景が良く理解できたように思います。外来文化がもっとも強いというのは、植民地支配によるものなんでしょうか？（1年女子）
（外来文化は第二層，植民地の影響は第三層です．．．）

そういえばラオスのビエンチャンには凱旋門に似せたという独立記念塔のほかにも結構西洋風の公園に似た場所が多く見られました。しかしラオス第二の都市であるルアンパバンではフランスの影響などあったようには思えなかったような…。ただ不発弾の話は聞きましたね。以下のＵＲＬでラオスの独立記念塔が見られると思います。（3年男子）
http://www4.big.or.jp/~naomy/asia/lao/vtnne/as/0331.JPG
（ご紹介感謝．）

インドネシアや東チモールのように違う文化構造だったから東チモールが独立しましたが、文化構造は国を分裂するほどの力があり重要で複雑なものであると思いました。もし同じ国がインドネシア全体を植民地としていたら今と全く違う歴史が生み出されていただろうし、やはり複雑だと思いました。（1年女子）
（）

前期と違って､5分の1しか授業がないため､あと一度しかないのが少し寂しい感じがします｡
授業中ひとつ気になるところがあったのですが､｢大陸部｣の次の｢島○部:イスラーム文化｣という所の○部分がよく見えませんでした｡その言葉と言葉の意味を教えていただけませんでしょうか?（1年男子）
（島嶼部です．って，君，第一回目も出ていたろう? そのときに説明したよ．後は辞書を引くなりして自分で調べましょう．大サービスでヒント：英語では islands ）

タイが17世紀以降にヨーロッパの支配化になったわけですが、そのときパーリ仏教は布教されたのですか。（1年男子）
（授業でお話ししたように，タイは植民地支配を受けませんでした．．．）

東南アジアの文化は外から来たものが多いんですね。二版はほぼ中国からのみ影響を受けたけれど（今は違いますけど）東南アジア文化はインドや中国、ヨーロッパ諸国と色々な所から影響を受けた印中洋折衷の融合体なんだなぁと思いました。今更なんですが前回も出席していました、って遅いですよね・・・すいません。（1年女子）
（前回の感想を書いてくれれば，多少の出席点は付けます．少なくとも 0点にはしません．）

東南アジアの文化はもともとの基層文化に加えて、その他のアジアの文化や植民地の文化などの影響を受けて形成されている事がわかった。一口に文化といっても言語や衣食住、宗教その他、本当にさまざまな範囲に渡るのだとおもう。文化ってなんだろうと思うと頭が混乱してきた。（3年女子）
（「人の活動全て」が，ある意味では文化と呼べるかも知れませんね．）

次はマーライオン関係．

東南アジアを東南アジアたらしめているものがやはりあったんだなぁと思いました。マーライオンを正面から描いた先生の絵心にひかれました。（2年男子）
（案外似ていたでしょう?）

第三層の植民地宗主国文化を聞いて東南アジアはそれぞれヨーロッパの文化を受けているけどボロブドゥールにしてもアジアぽい感じがしてならないです。
マーライオンをインターネットで見てみました。マーライオンは一つだけだと思っていたけど結構あるんですね。表情がそれぞれ違ってたし...簡単に作ってる？（1年女子）
（シンガポールには五体あるみたいですね．
　ボロブドゥールは第二層の外来アジア文化バリバリの遺跡です．アジアっぽいですよね．）

文化の広がりの様子を、紙にインクを落としたときの様子に例えた話がとてもわかりやすく、なるほど納得でした。歴史を学びつつ小旅行気分になりました。マーライオンはどこかコジコジに似ていました。（1年男子）
（うっ，言われてみるとたしかに．．．）

マーライオンの話が出ましたが、マーライオンのあるシンガポールは色々な文化の人々が集まった国なので、これは四つ目の、国民文化と言うものになるのですか。（1年女子）
（それ以前の種々の三層が相互に混じり合いつつ，あらたな四層目を作っているのが現状でしょう．）

東南アジアの文化があれほど複雑な構造から成り立っている事を知り、多くの歴史的な背景を虫する事ができないと感じました。植民地の宗主国が違うだけで文化が違うと思うと大変興味深い事だと思います。先生の書かれたマーライオン、アンパンマンに出てきそうです。。。（1年女子）
（正義の味方? それとも悪役? ）

マーライオンの絵が何よりも印象的でした。確かに特徴はばっちりつかんでいて分かりやすかったです。(笑）
この夏タイとベトナムにいって来たこともあり、文化の話などとても興味のある授業だったので、後一回の授業も楽しみたいと思います。（1年女子）
（特徴をつかんでいましたよね．）

アジアの文化構造の複雑さに驚いた。またインドがアジアに与えた影響を知り、インドにいっそう興味を持った。これからより深く学んでいきたいと思う。マーライオンの絵ステキでした。（1年女子）
（ (#^o^#) ）

東南アジアはインドの影響を受け、ベトナムやフィリピンは中国の影響を受けるという、山脈があったために全く別の文化が根付くというのは、自然なことなのかもしれないけど面白いと思いました。前回の講義に出られなかったので、文化構造の四層が理解しきれてなく、難しかったけど友達に教えてもらいます。アジア文化論 I 同様、面白そうです。マーライオンの絵が気に入りました。（1年女子）
（四層構造，もし分からなければ遠慮なく研究室にいらっしゃい．）

確かに先生のマーライオンは面白かったです！でもなんでマーライオンを描いたんでしたっけ？Mer lionはヒンドゥー語なんですか？それともシンガポールがSinha puraで、「ライオンのいる場所」という意味だから、それつながりで描いたんですか？
今回２層から４層までやって、『４層の文化構造』の概念が理解できました。(前回はよくわからなかったので・・・)
４層の【国民文化】で「・・・・独自な国民文化を創造しつつある。」と書いたのですが、「しつつある」なのですか？ということは、まだ創造し続けているということですか？（1年女子）
（Merlion は英語です．ちなみに「ヒンドゥー語」というものはありません．「ヒンディー語」ならあります．
　外来アジア文化の中でもインドからの影響が強かったということの説明の一環で，シンガポールという国名自体がインド由来であり，なぜシンガ（ライオン）なのかということでマーライオンが登場したのです．ふぅ．
　国民文化，まだまだ創造されている最中です．本当に〈東南アジア〉は熱い!!）

そして．．．

私が一番興味を持ったのは③の“植民地宗主国”です。ヨーロッパによって植民地とされてきた東南アジアの国々は歴史を見てもその苦労さが分かるし、東チモールなんか本当に最近の出来事なのでとても身近に感じれました。タイが植民地とならなかった理由が英仏の衝突を防ぐためということは始めて知ったので、驚きました。タイにとってこれはよかったといっていいのでしょうか？？？戦後、独立国となった国々がたくさんありましたが、これからどのような動きを見せるか楽しみです。それぞれのカラーをうまく出せたらいいですね。
この授業を受けてつくづくアジアって面白いって思いました。あの“アジアパー伝”を読んでもっといろいろと楽しく勉強したいです。こんなに楽しい授業なのに前回、出席できなかったのが残念です。というか、あったことに驚きです。かなりの生徒が休講だと勘違いしてたと思うのですが…。（1年女子）
（なぜかこの手の意見・感想を寄せた方が少なくなかったです．そこで馬先生に問い合わせたところ，「自分は講義できないけど，休講とは言っていない」ということでした．たしかに，休講の案内は出ていなかったですよね．やはり皆さんの早合点です．でもちょっと可哀想な気もしますので，それなりに配慮させていただこうかとも考えています．）

【総評】オムニバス形式のこの講義，何とあっという間に次回が私の最終回です．（鈴木隆泰）

アジア文化論 II

アジア文化論研究室

suzuki AT ypu.jp