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1/18 アンケート10号の評価

アンケート10号（総数 33）の結果をお知らせします．「自分の意見が載っている，載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や回答内容の質には全く関係ありません．

複数の同一回答は，原則的に最初に目についたもののみを採用しました．

原文の一部を修正したものがあります．

男子・女子の区別は氏名に基づく判断です．もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい．

今回は中国仏教を経て，日本仏教に入りました．「日本仏教の曙に隠された歴史の真実」を初めて知った方も多かったようです．

日本の仏教伝来はある意味純粋なものではなかったということ聞いて少し残念でした。人の心を救おうという考えさえも政治的野心などに利用されてしまうような時代に伝来したという事実は仏教にとっては不幸なことであったと思います。（2年女子）
（仏教にとって不幸と言うより，何よりも日本人にとって不幸なことでした）

今まで飛鳥・奈良時代は仏教全盛の時代だと思っていたので、真の仏教とはかけ離れたもので、道具として用いられていたということ、そして天皇家がシャーマンの血筋であるということに驚きました。私度僧は数多く存在したのですか？（3年女子）
（歴史に名の残っていない者まで含めれば，決して少ない数ではなかったはずです）

今日の講義の崇仏派と排仏派の話を聞いて、夏の集中講義で見た「用明天皇職人鏡」を思い出しました。仏教は部族同士の争いの道具にすぎず、イデオロギーとしての仏教の対立は平安期以降に出てくるということを初めて知りました。次回の講義は有名な最澄や空海についてなので楽しみです。（2年女子）
（楽しみにしていて下さい）

日本の平安以前の仏教は処方箋を出しておらず、仏教であるとは言いがたいということは分かりました。そうすると、平安以前に作られた仏像には、本来の意味での仏教的思想は入っていないということになるのでしょうか。（3年女子）
（時代を問わず，仏教精神を忘れた者たちが造り，彼らのみが拝んだ仏像は単なる「置物」に過ぎません）

授業の展開が早くて、ついていくのがやっとだった。政治と宗教はなかなか切り離せないものなんだと思った。教相判釈の意味がよく分からなかった。（2年女子）
（仏教には様々な教え（処方箋）があります．そのうち，どの教え（処方箋）が最も優れているのかの解釈が「教相判釈」「教判」と呼ばれるものです）

日本史で起こった出来事の要因や内容を知らず、ただ生じたという事実だけしか知らなかったので、今日の講義は驚くことが多かったです。（例えば、大仏建立の意図や、仏教が軍事と交換のもとでもたらされたということなどです。）社会科学で、日本は外からの成果だけを取りこんでくるというようなことが言われることもあるようですが、今日日本へ仏教が入ってきた流れをいいて、そのことを思い起こしました。（3年男子）
（「外からの成果だけ」というのは強すぎますね．詳細が不明なのでこれ以上コメントできませんけど）

６世紀に日本に仏教が入ってきてから平安時代までの長い間、仏教が仏教として機能していなかったことを初めて知り、驚きました。聖徳太子の時代から仏教は盛んだったと思っていましたが、それは思い込みでした。私度僧と呼ばれ、本来の仏教を始めようとした人もいたが、国家による統制力は強かった。平安時代から先、どのように仏教が変化していったのか早く知りたいです。（2年女子）
（日本仏教の「本当の曙」がやってきます）

東大寺の大仏は高校生の頃にみたけど、そのときはただすごいとかしか思っていなくて、あれが鎮護国家のためにつくられたとか、そのころ仏教は仏教として機能していなかったことを知らなかったのでみかたが変わった。日本に仏教が伝来してから仏教が機能するまで、ずいぶん時間がかかったことに驚いた。（2年女子）
（そう，その「すごい」という感じが大事だったのです．国民を平伏させるために造ったのですから）

この講義で一言に仏教といっても、国ごと、また時代ごとに仏教の形が異なるということを改めて感じた。そして、このように様々な歴史を経て、根本の仏教思想は同じで地域独自の仏教に至ったのだと思った。（2年女子）
（「根本の仏教思想は同じ」なんでしょうか? 本当にそう思いますか?）

中国の仏教のところで、浄土思想というものがあったことを知りました。そこで往生という言葉が出てきました。普段、｢往生際が悪い｣などといった使い方をしますが、｢辛いこの世を出て、極楽世界へ行って生まれなおそう｣という意味だったことを知って、漢字の通りの意味で、わかりやすいと思いました。この仏教文化の授業では、このように普段使っている言葉の語源的なものも学べて面白いです。（2年女子）
（「往生する」「成仏する」「死ぬ」これらが混同して使われていますからね）

日本の仏教は自然崇拝の仏教であり、そしてそれは人々の生活と密接な関係だったということがよくわかりました。（2年女子）
（日本の基層信仰が自然崇拝だったのです．日本仏教が自然崇拝の仏教というわけではありません．もちろん，いろいろな面で重層構造が確認されることは事実です）

空海も弘法大師という言葉も知っていましたが、空海＝弘法大師だと初めてわかりました。あと私の町では「おだいしさま」といって、年に2度、大師さまの像を置いている家を訪問する行事がありますが、このお大師さまは弘法大師だったのか！と驚きました。（2年女子）
（自分の町にあったのに知らなかったんですか (^-^; ）

自分の勉強してきた日本史というのは、表面だけだったのだなと改めて感じました。聖徳太子にしても業績は知っていたけれど、物部を殺したことは習わなかったし教えてもらわなかった。仏教が長い間機能していなかった事も初めて知りました。最澄と空海の話の続きが気になりました。（2年女子）
（高校までは準備段階です．これからが勉強の本番なんですよ）

学校で習った日本史などから私は仏教が日本に伝来してからすぐに浸透していったかのように捉えていた。だが、今日の講義で６世紀に聖徳太子によって公に取り入れて、それが本当の意味で日本国内に浸透するまでに、本当に時間がかかったんだな・・・と思った。少し歴史観が変わった。（2年女子）
（どんどん変えていって下さい）

どうしてボスのことを「依代」というんですか。依代ってどういう意味ですか。（2年女子）
（ (^^;
　「依代」は，神が憑依してきて神の代わりを務める人や物のことです．地域のボスがこの役目を担っていました）

今日の授業をきいて、日本の仏教が民衆に処方箋を出し始めたのは平安時代からということを知り驚いた。奈良時代は仏教文化のイメージがあったからだ。本当の意味での仏教が浸透するまで様々な人の苦労や努力があったのだろう、と感じた。（2年女子）
（私たちは先人の血と汗と涙の上に立っているのです）

最澄と空海の話には心~~ひかれました~~惹かれました。話の続きを聞きたいです。また、日本に伝来した仏教が仏教としての役割を果たすまでにはかなりの時間がかかったということを知り、今まで信じていたことがそうではなっかったという驚きと, 真実を知りたいという欲求が同時にこみ上げてきた。（2年男子）
（次回以降にも期待して下さい）

日本に仏教が伝わって来た当時は、ただ政治的な対立の道具として使われていただけだということを知って驚いた。始めはそんなふうに本来の教えがみんなに伝わっていなかったのに、その本質に気付いて仏教を世に広めようとした人達はすごいなぁ、と思った。（2年女子）
（「テクストの力」と言っておきましょう）

空海は世界史的に見ても稀なほどの天才だと聞いています。情報の天才だとか、そんなような事を。どのようなところをもって天才なんでしょうか。先生もやはり空海は天才だと思われますか？他に歴史上で天才だと思う人物はいますか？（3年男子）
（私も彼を天才だと思います．他に天才だと思うのは，名前は残っていませんが，大乗経典（処方箋）を編纂した大勢の仏教者たちです）

日本史の知識の少ない私にとって、仏教が最も勢いを持っていたのは、「仏教→大仏→東大寺→奈良時代」という安易な連想から、奈良時代というイメージだったのですが、当時の仏教は、患者別に処方箋を出すという種類の仏教ではないというのを知り、考えを改めさせられた。また、最澄と空海の話で、私の地元に弘法大師の碑のような物があったことを思い出した。今まで気に留めたこともなかったのだが、今度是非訪ねてみたいと思った。（2年女子）
（今回，認識の改まった方が結構いるようですね）

日本に仏教が伝わった＝日本に仏教が広まったのではなく、仏教が機能するまで長い年月が必要で、最澄・空海の時代にやっと仏教が機能し始めた、とは知らなかった。
　あっという間に中国仏教の説明が終わってしまい、~~いまいち~~今ひとつ内容がつかめませんでした。もう少し説明をゆっくりしてもらえると嬉しいです・・・。（2年男子）
（カリキュラム上難しいです．いくらでも教えてあげるから研究室にいらっしゃい）

奈良仏教、平安仏教という名前は高校時代に聞きましたが、今回、詳細を聞いて驚きました。身分が上の者しか信仰できないなんて・・・。そいうところを個人的にバラモン教みたいだなと感じました。国を守るためだけに仏教の力（ご利益？）を使おうとしたのにも驚きです。これも、サンスカーラの成せる技なのでしょうか？
つまらない話ですが、以前に小学校の先生から、最澄と空海が仲の悪くなったきっかけを教えてもらいました。厳しい修行をしている最澄に空海が、「腹が減っただろう？何か食うかい（空海）？｝と言ったのがきっかけだったそうです。・・・つまらないでしょ。（2年男子）
（くっ，くだらない．．．
　前半部：「諸行無常」が実感できるでしょう?）

今回の授業で、近松門左衛門の劇、「曜明天皇職人鑑」を思い出しました。これは、聖徳太子が生まれる前までの仏教と外道の争いを描いたものです。人間味があっておもしろいものだったので、機会があったら一度観てみてください。
　最近、サンスカーラのことについての話題がないので質問するのを忘れていたのですが、サンスカーラは書く各個人の価値観による考えなのですか？（2年女子）
（サンスカーラが価値観を作っていることもあると思います）

【総評】国家のために存在し，民衆に処方箋を出さないものは仏教ではありません．平安期に入り，本当の意味での「日本仏教の曙」が訪れます．（鈴木隆泰）

宗教文化研究（仏教文化）

アジア文化論研究室

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