1/22 アンケート3号の評価
アンケート3号(総数 114)の結果をお知らせします.「自分の意見が載っている,載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や回答内容の質には全く関係ありません.
複数の同一回答は,原則的に最初に目についたもののみを採用しました.
原文の一部を修正したものがあります.
男子・女子の区別は氏名に基づく判断です.もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい.
オムニバス形式で開かれたこの講義,今回が最終回でした.仏教,イスラームなど東南アジアに広く行われている宗教の解説をした後,「原理主義」の問題も含め,「国際理解」「異文化理解」の問題点や難しさについて話しました.
- 授業で、与えられたものを消化するだけではなく自分で咀嚼して考えることが大切だ、という言葉が印象的でした。(1年女子)
(「考える人」になって下さい)
- アジア文化論という名のもとに5人もの先生方の講義を受けることができて有意義だった。自分の所属する「国際文化」学部というのにも疑問を感じる今日この頃。他人、特に外国の人に説明し難い。(2年女子)
(「人間のあるところ,世界には文化が充ち満ちている.それを学ぶのが国際文化学部なのだぁ!!」と大声で説明してあげて下さい)
- 東南アジアのサンガについて理解することができた。布施をすれば福がかえって来ると在家者が信じていることで成り立っているんだなぁと思った。この信仰が崩れた時はどうなるのでしょうか?(1年女子)
(サンガを中心とした仏教は崩壊します.そうならないように,サンガ構成員である出家者には高い倫理性が要求されるのです)
- 今回の話を聞いて、ベジタリアンはどうやってコレステロールを摂取してるのか気になりました。(2年男子)
(ヴェジタリアンは動物性の栄養分をミルクから摂ります)
- 東南アジアのサンガの人が227もの規則を守っていると知り、驚きました。それくらい真剣なんだと感じました。普段、東南アジアに関心がなく、授業を受けてなっかたら知りえないことがたくさんありました。東南アジアを知るいい機会になりました。テストは何だか胸騒ぎがします。(1年女子)
(「胸騒ぎ」ですか? (^^; )
パーリーパーリ仏教の経典について、文字は違うけど中身はパーリーパーリ語とおっしゃっていたのですが…それってどういうことなんでしょう?サンガの思想が今日まで日常として続いているというところに宗教に対する誇りや、信教性の高さのようなものをかんじました。また、イスラームの原理主義については少し自分でも考えてみようと思います。(1年女子)
(日本語でも,いろいろな文字が使えますよね.文字,もじ,モジ,moji など.パーリ語も同じです.文字は違っても同じパーリ語なのです.それから,原理主義はイスラームのみに限りません)
- 今日は、今話題の原理主義について少し触れられた部分が特に考えさせられた部分でした。他文化を受け入れられない文化
はとどう他国とつきあっていけばいいのか、これからしっかり考えてみようと思います。でもこの他国と交流すべきという考えは原理主義の人々は必ずしも抱いている考えではないと思います。私達のおしつけにならないよう、じっくりと考えていく問題だと思います。(1年女子)
(「交流しない」という交流の仕方もありですね.それに,原理主義は「国対国」には限らず「人対人」の場合にも問題になります)
- ベジタリアンの知り合いがいるので、肉を食べなくても生きることが出来るように、体は進化しているのかもしれない。全体を通して、先生の授業の進め方、取り上げる視点、面白かったです。先生の言うように、せっかく生きているのだから、上手く咀嚼して、考え生きたいです。(2年女子)
(上で書いたように,肉は食べなくてもミルクで動物性の栄養を摂っているんです.生まれた以上,「よく考えてよく生き」ましょう)
- 布施をすると、サンガという田んぼに福が生まれ、その福を刈り取るのが在家者という考え方がサンガを支えているというのが興味深かった。でもなぜ田んぼなのかが分からない。(2年女子)
(田圃でも畑でも構いません.種,大地,収穫を譬喩として用いているのです)
- 13世紀に出来たタイ人による初の国家であるスコータイ以降でしかタイ人の歴史は確認できないということに驚きました。もしも私がこのタイ人のように自分の祖先が築いてきた歴史がある時代以前のことが分からないという状況ならとても耐えられないと思いました。祖先の築きあげてきた歴史が分からないということは不幸なことだと思います。タイ人の歴史の研究が進み、次第に明らかにされていけるようになるといいなと思いました。(2年男子)
(日本だって同じではないのですか? 違うのは「何世紀から分かるのか?」という部分だけです)
- 宗教を知ることは、その地域の文化を理解するために大変重要なことだと思った。(4年男子)
(でしょう?)
- 東南アジアの4割がムスリムとは知りませんでした。まだまだ私の知らないアジアが山ほどあるのでこれから頑張って理解していきたいです♪テスト頑張ります!!!(1年女子)
(期待していますよ)
- 講義の中で異文化理解に少し触れました。相手の文化を認めない文化、勢力をどう考えるか。難しい問題です。宗教と権力が結び付くとよくないと言いますがそれは西欧的な合理主義的な考えでしかありません。東南アジアはよく西欧中心主義から押しつぶされる対象になります。異文化理解のためにもこれらの国々を学ぶのは意味があります。(1年女子)
(その通り!!)
- 今回は、世界地図を持ってきて確認しながら講義を受けました。やっぱり位置確認しながらだと、地理の勉強にもなっていいですね。先生の講義、毎回楽しませていただきました。今日聞いた問題について、早速考えてみたいと思います。(1年女子)
(地図帳は必携です)
- サンガについての話に興味を持ちました。国にはその国独自の色々な宗教の特色があって面白いなあと思ったけど、同時に日本にはこのような宗教的な特色があるのかといったら自分の国なのに分からないような気がして疑問に感じました。(1年女子)
(日本の伝統文化は崩壊寸前です...)
- ジャワ島付近の海流によって
サンスクリットイスラームが伝わりにくかったという話を聞いて、日本ももし中国と日本の間に 渡りにくい海流があったら、今の日本の文化は変わっていただろうなと思いました。(1年女子)
(それでも伝わるときは伝わるんです.実際,日本と中国との間の海は,時期にもよりますが,そんなに穏やかな海ではありません)
- サンガから福が生まれるという福田という考え方がとても好きです。人生のうちで一度は宗教にのめり込んでみたいと思っています。 (1年女子)
(怪しくないものを選んでください)
- サンガと仏教の関わりが興味深かった。あと、原理主義の人々の世界観をもっと知りたくなりました。先週の講義から地図帳を持参して講義を受けて、改めて地図帳のおもしろさに目覚めました。(1年女子)
(面白いでしょう?)
- 「コーランか剣か」を信じていました。この前のアメリカのテロのときに一部の
イスラム教徒ムスリムがはしゃいでいたのやらを見て、イスラムイスラームは怖い、と自分が思い込んでいたことをおかしく思いました。(1年女子)
(いやぁ,あれはちょっとやりすぎでしょう)
- 福田は、人々の「思い込み」で成立してるのかなあと思いました。(3年女子)
(宗教や信条ってそういうものです.私たち日本人も「バリバリ働いてお金を儲けて出世したら幸せ」と思い込んできたでしょう? それが「本当に正しいのか」「単なる思い込み」なのかが問われ始めているのです)
- 福田を初めみたときに、思わず「ふくだ」と読んでしまいびっくりしました。(2年女子)
(そう言われてみるとそうですね.結構新鮮でした (^^) )
- 東南アジアの人々にとって、宗教がいかに大切なものなのかが少し分かった気がします。今回の授業では触れられませんでしたが、東ティモールの人々がインドネシアから抑圧されているという問題がありますが、そんな状況下でも人々が決して屈しないのは、やはり彼ら自身の文化・宗教を守るためなのかなとも今回の授業を通して感じました。そういった点からも、東南アジアの人々と宗教のつながりの深さが感じられたように思います。(1年女子)
(東ティモールの問題については若干言及したつもりですが)
- 先生の講義が3回しかなかったのは少し物足りない気がします。宗教についてもう少し詳しく聞きたかったです。お坊さんは実は肉を食べている!という話には正直驚きました。けれど、「食べないと死ぬ」と聞いて納得しました。確かにその通りだ!(2年女子)
(納得してくれてありがとう! )
- 東南アジアの福田の考え、つまり種(布施や一時出家)を蒔いてをけば福が生えてくるという考えは見返りを求めているようで少し不純な感じがした。しかしそうであれば、宗教はそれ自身が見返りを求めたものなのではないかと思った。(2年女子)
(「宗教文化研究(仏教文化)」で学んだ〈布施〉とは違いがありましたか?)
- タリバンの中で歪んだ
イスラムイスラームの教えを唱えている事実・・・。自分たちを"立て上げる持ち上げる"為ためには他の文化は受け入れない―これを基に国際理解は成り立つのだろうか―難しいことだと思った。宗教観が薄い私たち日本人はどう受け止めていくべきか。考えてみたい。「生きているんだから考えて:与えられるものを一方的に受け取るだけではダメ」という先生の言葉に強く打たれた。(1年女子)
(宗教観は薄くても構いません.でも,「文化としての宗教」に関する理解は必須です)
- 東南アジアの布施と、日本の布施の考え方は同じなのですか?日本ではお経を上げてもらったりしたときにお礼でお金を払っている気がするのですが。根本的に違うものなのでしょうか。(2年男子)
(「仏教文化」でやったよ.君も聴講していたはず.こちらを参照)
- 先生が絶賛しておられたボロブドゥール。私が幼い頃、父が訪れていた記憶があります。私はその頃は(なんでわざわざ不便な国に遊びに行くのだろう?)などと考えていましたが昨日の講義での先生の話しぶりから今度機会があればぜひ自分自身で見に行ってみたいと思いました。ところで、「種を蒔けば福が生えてくる。」という東南アジアの福田(ふくでん)の考えは仏教における「善行は自分の為にさせてもらう」的な考えとは異なるのだろうか。(2年女子)
(ボロブドゥール,私も行きた〜い.ストゥーパの織りなす大宇宙です.
福田思想は布施の発想と基本的には同じです.サンガに布施をするのは自分が福を得るため.だから「布施させていただく」のです.ただしそこに,「見返り=収穫物を求めるか」「見返りを求めず,純粋に善いことだからするのか」で解釈の相違は生じます.大乗仏教は一般的には後者です)
- なぜサンスクリット大乗仏教を一般の人に広めなかったんだろうと思った。もし一般の人にも布教していたら、現在では規模の大きな宗教になっていたかもしれないのにと思った。(2年女子)
(やはりサンスクリットが難しすぎたのかも知れません.それと,功徳を為政者たちが独り占めにしようとしたとも言えます.もし広まっていればたくさんの写本が残されたはずで,私としても残念でなりません)
- 考えを受け入れないと言う人たちとこれからどのように対話していくかについての先生のコメントが印象的でした。とても難しいことだと思いました。(3年女子)
(卒論のテーマになりそうですか?)
- 上座部仏教がずうっと残っているのは民衆の間に広まったからだということで、人々の生活と共にあったからこそ今にいたっているんだと分かりました。織田無道さんはお坊さんなのにステーキを食べていておかしいと思ったけど、お坊さんも肉を食べるんですね。でもどっちにしても織田無道さんはあやしいです。(1年女子)
(うん,怪しい,怪しい (^^; )
- 原理主義については、清原先生のホームページでも見ることが出来るようなので、機会があれば読んでみようと思います。(2年女子)
(今読みましょう.ここです.ページのトップにある「こんなに遅れたのは、多くの読者の方が、当然この人は一言あるだろうと予想した方の原稿を待ち続けたからです。」というところの「この人」とは私のことです (^^; )
- 私の高校に来ていたベジタリアンのALT、彼女も実は肉を食べているのだろうか、と思ったりもした。(2年女子)
(上の方でも書きましたけど,動物性の栄養はミルクから摂っているのでしょう)
- お坊さんが肉を食べるというのは私もおいしんぼで読んだ記憶(たぶんあの話かな?という感じですが)があります。3回しか先生の授業が無いのはとっても短い気がします。もう少しいろいろ詳しく聞きたかったです。(1年女子)
(遠慮なく研究室にいらっしゃい)
- スコータイの博物館にある阿弥陀仏を人々が不思議に思わないのは不思議です。(2年女子)
(それが何であるか認識していないというのが一番もっともらしい答えでしょう.私はあれを見て結構興奮しましたけど.いきなり日本語で「あっ! 阿弥陀仏だ!!」と叫んでしまいました)
- 坊さんも肉を食べる。と聞いて思い出したのは出家した某企業の名誉会長と高校からの友達という人から聞いた「E君は出家してテレビなどでは『お粥に梅干くらいで満足できる』などと言っているが、人間だからそんなわけはない。実際彼は私と会うときにステーキを注文して食っている。坊主は本当に肉を食わないなどと嘘の情報を鵜呑みにしないように」という話。あと、兎を一羽、二羽、と数えるのは四足のものを四足でないと坊さんが誤魔化して食べていたからですものね。鈴木先生の話はもう少し聞きたかったです。次の機会が楽しみです。(1年女子)
(宗教文化研究(仏教文化),アジア言語特講I,アジア言語特講II でお会いしましょう)
- お坊さんが肉を食べていたというのに驚きました。ダメというのがインドにもなかったとか。午後食事をとらないというのは
イスラム教イスラームも断食があるし、似ていると思いました。いきなりですが、有名な踊りがあるけれど(金色の飾りをかぶる、手を合わしてる)どこの国ですか?(1年女子)
(いきなりで分かりません.どなたかご存知でしたら教えて下さい
それから,肉食に関しては,釈尊は禁じませんでしたが大乗経典の中には肉食を禁じているものもあります)
- 肉を食べてはいけないという戒律があるところの僧は、裏で肉を食べているそうですが、それならなぜそのような戒律を作ったのでしょうか?(2年女子)
(「常人とは異る能力を持っている(と信じられた)人は,行なう行為も常人とは異るべきである」という発想です)
イスラムイスラーム原理主義の世界は、去年、世界的に問題になりましたが、先生はそちらは専門ですか?詳しく聞きたいと思いました。(2年女子)
(いろいろと専門です.研究室にいらっしゃい)
- 仏塔の話がもっと聞きたかったかなと、今さらなんですけども…。今回の話も興味深く聞けました。他を受け入れない文化の話は、安渓先生の授業でも取り上げられたことがあります。その時も今もそのことについて考えてみたけれど、いい答えは出てません。金子みすずさんが,「みんなちがってみんないい」という詩を残して,いるけれど、こちらが受け入れる姿勢を見せても,向こうが拒んできたら、私はどうすることも出来ず,ああ、そうなんだね、で終わってしまうでしょう。,それじゃあダメだとは思うんですが…。(1年女子)
(宗教や原理主義は難しい問題を投げかけてくれています)
- (1) パーリ仏教の戒律は、227個(たしか、そうおっしゃっていましたよね?)あるそうですが、「1日2食で午後は食べてはいけない」の他に、何か変わった内容のものはありますか?戒律には宗教の特徴があらわれている気がして、興味があります。
(2) 「ウラマーとスーフィー」が、私の知識不足のため、よく分かりませんでした。<神秘主義>とどのような関係があるのでしょう?
(3) 与えられたものを受け入れるばかりでなく「なぜ?」「どうして?」という気持ちを、常に持ち続けていたいものです。(2年女子)
((1) 「変わった内容のもの」ですか? うーん,そうですねー.女性に触れてはならない,女性のところに一人で行ってはならない,などが思いつきますけど,面白いかどうか不明です.
(2) アジア文化論I でやったのですけど...ウラマーは正統なイスラーム学者で,スーフィーはイスラーム神秘主義者です.唯一絶対の神アッラーを信仰するイスラームにとって,その神を内在化する〈神秘主義〉は最初は異端視されました.
(3) 大切に持ち続けて下さい)
【総評】皆さん,これからもアジアを含めた異文化,そして私たちの文化に目を向けていって下さい.そして,決して目先のことだけに流されない大人になって下さい.(鈴木隆泰)
suzuki AT ypu.jp