7/6 アンケート11号の評価
アンケート11号(総数 141)の結果をお知らせします.「自分の意見が載っている,載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や回答内容の質には全く関係ありません.
複数の同一回答は,原則的に最初に目についたもののみを採用しました.
原文の一部を修正したものがあります.
男子・女子の区別は氏名に基づく判断です.もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい.
今回から三回の講義時間を使って,アッテンボローの『ガーンディー』を見ます.和訳タイトルは「ガンジー」となっていますが,従ってはいけません.なぜかと言えば,彼はガーンディーという人だからです.
- 映画は少し感情移入してしまい,客観的に見るのに失敗してしまいました... でもガーンディーの生き方の,映画の中のセリフにあったような「全人類の良心」の端っこの部分が少し見えたような気がします(1年男子)(感情移入して見てはいけないと教わったのですか? 余り難しく考えないでいろいろな意味で「楽しんで」見て下さい)
- ガーンディーの演説を聞いたときには震えがきました.「非暴力・不服従」の内容はこの講義を受けてきたので知っていましたが,改めて聞くとすごく説得力のあることばだと思いました(1年男子)(satyavacana を有するガーンディーのことばだから説得力があるんだと思います)
- 映画が始まったと思ったら,いきなりガーンディーが撃たれたのには驚いた.と言うより,展開の意外性にあっけにとられてしまった.しかしその後のシーンを見て,改めてガーンディーは偉大な人物だったのだと確信した.非暴力・不服従など,そうそうできるものではない.それを真実のことば satyavacana にしてしまうガーンディーは凄い.もはや凄いという言葉では到底片付けられないが,適当な言葉が思い浮かばない(2年女子)(彼の思想・行動は,インド伝統の satya の観念と連関させないと絶対に理解できません.褒めてあげます (^^))
- ガーンディーの「イギリス人はわれわれの死体は得ることができるが,服従は手にしない」という言葉に深く感銘した(1年女子)(satya, satya)
- ガーンディーの奥さんの「みんなあなたほど善良じゃない」という言葉にズキッとしました(1年女子)(それでも彼女は彼に従いましたよね.「善良」は拡がるんだと思います.次のコメントも参照して下さい)
- ネルー夫人がインタビューに「夫に従うのが恥ですか」と応えていたのが印象的だった(2年男子)(ネルー夫人ではなくガーンディー夫人です)
- 本当に人を動かすことができるのは,命令でも権力でもないと思った.ガーンディーのことばには,一つ一つ考えさせられることが多かった.本当に国を救おうとするなら,上の人たちが命令するのではなく,社会的に弱い人たちが一致団結することが必要なのだと感じた.続きが楽しみです(1年女子)(ますますショッキングなシーンも出てきますよ.覚悟しておいて下さい)
- 今の私には傷口をナイフでえぐって塩を擦り込むくらいにこの手の話は苦しいです.ガーンディーの考え方は正しいのに,それを認めようとせずに自己中心的な欲望を持ち自己満足に浸り続ける多くの白人に,人間の持つ醜さ(1),ガーンディーのような精神は誰もが持っているはずなのに,自分さえよければよいという考えに陥りがちな人間の汚さ―私もそういった人間の一人ですからなおのこと(2),ガーンディーや彼を支える人々の心の美しさとそれを弾圧しようとする者たちの心の狭さ(3) が嫌になります.周りに気づかれないように涙を拭くのが大変でしたよ,まったく(1年女子)(あえてノーコメント)
- ガーンディーの男っぷりに感動した.それから,差別される者の中にも差別意識が根付いていることに気づかされた(1年男子)(よい着眼点です.恨みはさらなる恨みを呼び,差別はさらなる差別を呼ぶのだと思います)
- ガーンディーが生身の人間であったことを初めて実感した.そして初めて彼のやったことがいかに偉大であったかに気づいた.本当に強いということはどういうことなのか,もしかしたら分かるかも知れない(1年女子)(^^)
- 大英帝国の弾圧に対して決して暴力をもって立ち向かわず,さりとて決して服従しないガーンディーの精神が,なぜそれほどまでに多くの人々を動かしえたのだろうか.当時の差別的状況によって,よほどインド人に鬱積したものがあったのだろうし,宗教上の精神的な倫理があったからとも言えるが,それだけではないように思う.ガーンディーの「自分の信念を貫き,それを真実のことばにする」という姿勢がそれを成し遂げたのかも知れない(2年男子)(ほとんど満点です)
- ガーンディーは「われわれが苦しむことで彼らは不正を悟る」と言った.自分たちが苦しむことで抵抗するというのは,辛く勇気のいることだ.でも,ガーンディーのことばには satya があったから,皆ガーンディーに従ったのだと思った(1年女子)(satya が要です)
- ガーンディーがいたから今のインドがあるんだなぁー(1年女子)(そうそう)
- ガーンディーはインドのために運動してきたはずなのに,最終的に同じムスリムから殺されるなんて,とても皮肉な感じがします(1年女子)(彼を暗殺したのはヒンドゥー原理主義者です.ムスリムではありません)
- 権利を獲得し,共存できる国になりつつある今の南アフリカをガーンディーが見たら,どう思ったろうと思いました(4年女子)(彼の南アフリカにおける運動が,インド人だけでなくアフリカ先住民の解放をも目指していたものであったのかどうかは実は疑問なのです)
- 最初の場面でガーンディーが暗殺されたのはとてもショッキングでした.そして,インド人というだけで一等車に乗ることができず,英国のインド人に対する差別意識を見ました.また,ガーンディーの演説には人の心に訴えかけるものがあると感じました.それはやはり「真実のことば satyavacana」ではないでしょうか(3年女子)(その通りだと思います)
- 英国の植民地となって以来,インドは英国に従うことになるが,そこから武器を持たずに抵抗するという運動が出てきた.しかしこのような運動を行うようになった原因は英国に支配されていたからこそであり,自分が思ったことは,戦争に負けることがないようにしなければならない気がさらに強まった(2年男子)(それよりも先に「戦争を起こさない,起こさせないようにする」方がはるかに重要です)
- パス焼却事件の場面は見ていて涙が出た.無抵抗の人間を殴りつける悪意.だが,それに決して服従しない精神.「目には目を.歯には歯を」という考えでは人は動かせないのだと思った(2年女子)(彼の真実のことば satyavacana が人を,そしてイギリス,インドを大きく動かしていったのです)
- 映画の中で「後世の人は,このような人が実在したことを信じられないだろう」とあったが,本当にそうだと思う.殴られても殴り返さず,しかもそれを受けとめることでイギリス人に自らの非を理解させる.その心が皆を動かしていったのだと思った(2年女子)(彼のような人が実際にいたんだ,と思うだけでも何となく勇気が湧いてきます)
- ガーンディーの演説を聞いていると,自分までインド人になったようで胸が熱くなった.私もあの時代に生きてガーンディーとともに戦いたかった(1年女子)(不正はいつの世にもあります.『鬼平犯科張』風に言えば「いつの世も悪は絶えない」という感じでしょう.ガーンディーの理念は過去のものとしてしまっては駄目で,常に継承し続けなくてはいけないのではないでしょうか.担い手は? 現代に生きる私たちしかいません)
- 映画を見て本当に心が洗われるような気がしました.ガーンディーについては中・高と何度も勉強しましたが,一層彼に対して関心を持ちました.本当に偉大な人だと思います.彼のような人が現存すれば,より良い世界となっていたのではないでしょうか(1年女子)(わたしたちが「今のガーンディー」にならなくてはならないのだと思います)
【総評】この映画は出だしが衝撃的ですね.私も最初びっくりしました.ところで,まだ見始めなのでよく掴めていないでしょうけれど,アッテンボローの描いたガーンディー像はいかがですか? 実際のガーンディーには様々な面があったのですが,あれはあれで一つの描き方なのだろうと私は思っています.おっと.余り先入観を持ってもらっても困るので,映画に対する私の論評は全部見終わってからにしましょう(鈴木隆泰)
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