4/27 アンケート3号の評価
アンケート3号(総数 135)の結果をお知らせします.「自分の意見が載っている,載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や回答内容の質には全く関係ありません.
複数の同一回答は,原則的に最初に目についたもののみを採用しました.
原文の一部を修正したものがあります.
男子・女子の区別は氏名に基づく判断です.もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい.
今回のアンケートも,
「今日の講義で感じたこと,考えたことを何でも書いて下さい」
でした.回答内容を見てみると,
インド語が多くて覚えきれな〜い
という感想を持った方が少なからずいたようです.でも心配はご無用.いくつかを紹介してみましょう.
- Soma がベニテングダケがどうかはともかく,弱い毒,特に幻覚作用を持つ成分を含む植物である可能性は高そうですね.致死量を知っていれば食べても大丈夫かも... 食べる気ないですけど.シヴァ神... 破壊と創造の神というと響きがいいのに,踊っている姿はけっこうマヌケ? とか思ってしまいます.あー.今日も楽しかったー(1年女子)(喜んでいただけて何よりです :-))
- 世界史などでは Veda があったということしか教わらなかったが,成立した背景,大まかな内容などを少しでも知ることができたのが嬉しかった.もともと興味のある分野なのでもっと知りたいです(1年男子)(お任せ下さい)
- 先生が何故,そこまでベニテングダケにこだわるのか... 何か特別な思い入れでもあるのだろうか(2年男子)(分からないことでも何とか分かろうと肉薄する,研究者っていうのは多かれ少なかれそういうタイプの人間です)
- インドにはかなりの数の神がおり,抽象概念までも神格化したという点に,私は万物に神が宿っていると考える日本の「八百万の神」との共通性を感じました.例えば日本には「言霊」という考え方があります.今日は何かインドと日本との伝統的な面での共通性をまた一つ発見できた気がして,とても興味深く思いました(1年女子)(「神が宿っている」のか,「神そのもの」なのかという違いはありますが,あらゆるものに神を見出していくという道筋は似ていますよね.親近感が湧くでしょう?)
- インドには女性の神さまもいて,女性を表した偶像もたくさんあって,同じ女性として凄いと思ったけれど,種族繁栄のためだけのような気がして残念だった.今日の講義は実に難しかった(1年女子)(残念がるのは早計です.翻って,では男性はどうだったのか? と考えると,インドラ神が理想化されたアーリアン兵士であるように,男性にしても精神性より,「外敵を打ち破り種族,部族を守る」という点で評価されているのが分かります)
- Indra と Asura の話は納得がいかない.どう考えても Indra が悪いのに Asura が悪者扱いされるのは不当だ(2年女子)(この問題には Indra を弁明するいろいろな後日談がついているのですけれど,所詮,征服者 vs. 非征服者という構図がありますから不当ですよね.その通りだと思います)
- 神さまに二面性があって,人間が励ますために祭祀を行う(神と人間の相互依存関係)というのが意外だった(1年女子)(そこから「祭式・祭官の絶対化」が進むのです)
- 日本における阿修羅は,奈良時代には仏を守るものとして位置づけられていましたが,今日の講義でインドでは阿修羅は悪い神となっていると知りました.では,仏を守るという位置づけは,インドからアスラが入ってきたときに日本が独自の考えでそのようにしたのでしょうか(2年男子)(そうではありません.インド仏教,特にインド大乗仏教の段階では,アスラは仏を守護する「天龍八部衆」の一角に位置づけられています.日本はこの伝統を継承しているのです)
- リグヴェーダを読みたいです.本屋さんにありますか? (1年女子)(辻直四郎先生の和訳があります.『リグ・ヴェーダ讚歌』,辻直四郎,岩波文庫)
- アーリアがサンスクリット語で「聖なるもの」という意味だと知り,今まで習った世界史の知識が繋がったような気がした.やみくもに覚えるだけの授業ばっかりだったのですごく新鮮で,ベニテングダケの話しも笑えた.いつも席がなくて授業に参加できず,今日は早速20分前からスタンバイしてがんばった! これから楽しみです(1年女子) (^^)
- もう少し板書に説明を加えていただけると嬉しいです(2年女子)(どこがどのように説明不足なのか詳しく教えていただけますか? 私としてはかなりゆっくりとしたペースで説明に時間を取っているつもりなのですが)
- この講義は「インド」について学ぶコンセプトだと思いますが,これでインドについて学んでいることになるのでしょうか.現在のインドは扱わないのでしょうか(2年女子)(何度も申し上げているように,文化の表層をなでるのではなく,根底から「流れ,動き」としてアジアの文化を捉えていくのがこの講義のコンセプトです.そしてその大河のような流れは必然的に現代にまで注ぎ込んでいます.実際,講義の中でも「これが現代ではどうなっているか」という説明も適宜加えているでしょう? もし,現在のインドの事情を知るだけでよいのならその方面の解説書も観光案内もたくさんありますから,そちらをご覧下さい)
- 宗教にすごく興味があるから面白かったです.今日初めて先生の授業を受けました.先生の字がきれいですね! (1年男子)(お誉めに与り光栄です)
- 今日は人がとても多くてビックリした.でも私は前の講義が D-14 なので楽です.今日は Veda について学んだが,あんなに神さまが沢山いるのは,きっと職業ごとにその仕事に関係する神さまを信仰していたからだと思う!! でもそうしたら Soma は酒屋さん?? (1年女子)(ユニークで結構です)
- 文化には流れがあって,どれも重要なんだということが分かった.なぜ最高神を作らなかったのだろうか.最高神がいないというところにすごく興味を持ちました(1年女子)(当時はアーリア人たちの部族連立国家だったからではないかという説があります.何れにせよ,最高神がいなかったからこそ,「では本当の一番は何なんだ??」という思索が生み出されていったのは確かでしょう)
- とても興味のある内容なのですが,ただでさえ知らない単語が多いのに,内容がスキップしたり横に逸れたり(←これは関係のある内容へと発展させているためなのかも知れませんが),聞いていてよく分かりません.書き取るので精一杯といった感じです(2年女子)(ご指摘のように,単に横道に逸れているのではなく話を膨らませているのです.私としてもできるだけ留意はいたしますので,このペースについてきていただけると嬉しいです.それから,聞き慣れない単語が頻出してもそれを全て覚える必要はありません.大きな道筋と大事なポイントを押さえてもらえばよいのです)
- 一人の最高神がいなくていろいろな神が素晴らしいとする考えは,教会で結婚式を挙げて葬式でお坊さんにお経を唱えてもらう今の日本に似ているところがあると思った(2年男子)(両者(インドと日本)ではその背景が全く異る文化現象なのですが,表面上その行為に類似点が見られるのは面白いところです)
- Agni という火の神の名前がミサイルの名に使われているのは受け入れがたい(1年女子)(Agni 神自身はどう思っているのか聞いてみたいところです.Agni はアーリアンの神ですが,今のインド共和国にせよパキスタンにせよ,どちらもインド・アーリアンのいるところですから)
- 今までインドに余り関心がなかったので(特に宗教),知らないことだらけで難しかった.単語も聞き慣れないものばかりで覚えるのが大変そう.授業内容は私にとっては少し難しいが,先生が楽しそうに講義をされているので,何か惹き付けられる授業だと思う(2年女子)(聞き慣れない単語を全部覚える必要はありませんのでご安心を.お互い楽しくやりましょう)
- 先生はインドラ神について理想化されたアーリアン兵士だと説明されていましたが,私の知っているインドラ神(ヒマーラヤ山脈を作った)と同一人物ですか? (2年女子)(同一です.インドラに関する神話はたくさんあります.彼らの理想像だったわけですから,様々な英雄的(中には蛮勇的なものも)行為が彼に帰せられることになったのです)
- 信仰される神が時代によって変わっていったり,神にも人間性があったり,というのが面白かった.その宗教を信仰するのではなく,それについて知るのは面白いことだと思った(1年女子)(賛成! でも,信仰することを駄目だと言っているのではありません.為念)
- インドを理解する上で,宗教を理解することが最も重要だと感じました.やはり人々の考えの根底をなすのは宗教なのだと強く思いました.それに比べて日本には決まった宗教がなく,他国の模倣が多いので,他国の人が日本人の思考を理解するのは困難なことなのかも知れないと思いました(1年女子)(「決まった宗教はない」という宗教を持っているのかも知れません)
- 今日の講義はとておも興味がありました.90分間ずっと起きていたのは初めてです.神さまに関する講義内容がこれからもあることを期待します(1年男子) (^_^;
- 言葉がたくさん出てくるので難しい感じがするけれど,流れをつかむことができればいいと思う(1年男子)(それで OK です)
【総評】インドから子象のスーリヤちゃん(Surya は太陽の意でしたね)もやってきました.インドの言葉は身近です(鈴木隆泰)
suzuki AT ypu.jp