4/20 アンケート2号の評価
アンケート2号(総数 139)の結果をお知らせします.「自分の意見が載っている,載っていない」「教員のコメントの内容」などは成績評価や回答内容の質には全く関係ありません.
複数の同一回答は,原則的に最初に目についたもののみを採用しました.
原文の一部を修正したものがあります.
男子・女子の区別は氏名に基づく判断です.もし間違っていたら遠慮なく申し出て下さい.
今回のアンケートは,
「今日の講義で感じたこと,考えたことを何でも書いて下さい」
でした.回答内容を見てみると,ほとんど全ての方が,
今まで遠い国だと思っていたインドが,日本と関係していることが分かった
という感想を持ってくれました.いくつかを紹介してみましょう.(本当に多かったので全てを紹介することができずごめんなさい)
- 今日の講義で,今まで遠く未知の国であったインドが少し身近に感じられるようになりました.日本語が,こんなにも多くのインドの言葉に影響を受けていたのだなぁと驚きました(1年女子)
- 日本のみんなが日本語もしくは中国語が基になっていると思っていた言葉の中に,インド語を基にしているものも多く入っていることに驚いた(2年男子)
- 日本とインドは無関係だと思っていたので,意外な繋がりがあったことが面白かった.インドに対する興味が出てきた(1年女子)
- インドとの共通な部分が見つかって,「どうしてアジア文化論なのにインドなの?」という疑問も消えていったような気がする.もっとインドの文化を知りたくなった(1年女子) (よしよし)
- 今までインドの言葉はどうでもよかった存在でしたが,今回の講義で愛着が湧いてきました.サンスクリット講座なんてできたら面白いかも知れません(2年女子) (開いたら出席してくれます?)
- 先生は自分の予想通りガンダム好きでしたね(1年男子) (どうしてガンダム好きと予想できたのか知りたいです.私がガンダム好きなのは本当です)
- 今の日本にあんなにインドの言語が入っているとは驚きました.ガッチャマンの説,僕も賛成です.ハマりすぎですもんね(1年男子) (そうそう.はまりすぎ (^^)
- インドの言葉が,私たちの知っている言葉とこれほどまでに関係しているということは知らなかった.びっくりしたし,面白いなと思った.こんなに素晴らしい文化を持っているインドなのに,今では観光客を騙したり治安が悪かったりするのはすごく残念だ.そういうことがなかったら行ってみようと思うのですが...(2年男子) (そうですね.とっても残念だと思います)
- サンスクリット語には特に興味が湧いたので,これからの講義の中でもときどき扱って欲しい(2年男子) (ときどきではなく,ほぼ毎回サンスクリットは出てきます.これなしにインド文化を語ることはできないからです)
- アジア自体にそこまでの興味はなかったけれど,インドの言葉の楽しさに心を惹かれっぱなしだった.弁天さま(弁才天)が「伝説のやきもちやき」というのが妙に心に残っています.関係ないですが,バカボンのパパとママは恋愛結婚です.知ってましたか? (2年男子) (こういう場合「知ってましたか」ではなく「ご存じでしたか」が正しい言い回しです.勉強して下さい.さて,本題に戻りますと,もちろん知っております.バカボンのパパが勘違いして怒り出して,それに男らしさを感じたのかどうか,ママの方から「結婚して!」と言ったんでしたね.どうでもいいですけど,周知のように彼らは固有の名前を持たずに,バカボンを基点としてそのパパ,あるいはママとしてアイデンティファイされるという,人間存在の根底に迫る凄まじい問題を抱えています.♪ボンボンバカボンバカボンボン)
- 外来語として日本語に入ってきている言葉は欧米のものがほとんどだと思っていたので,今日の講義で,あれだけたくさんのインドの言葉を日本語として私自身も使っているのだと思うと,インドを少し身近に感じるようになりました.少し前にヨーガ教室に行っていたことがあります.すごく精神面を大切にする文化だなと感じていたので,その辺もこの講義で触れることができると嬉しいです(3年女子) (言語面ではサンスクリット,実践面ではヨーガが,インド文化を語るときには不可欠の要素でしょう)
- 今日の講義で感じたのは,インドの言葉は複雑すぎて頭が痛くなってきたことです.そしてちょっと面白くない〜と思います (;_;) これからもっとインドの文化や習慣について教えていただきたいと思います(2年) (言語も文化理解にはとても重要なファクターなんです.さあ,涙を拭いて是非お付き合い下さい)
- ホワイトボードを使うときにはプロジェクタの電気を消してください.見えにくいです() (ごめんなさい.私としても消したかったのですが,情けないことに消し方が分からなかったのです.あの日は結局消すのに数時間かかってしまいました.次からはもっとうまくやるようにしたいと思います)
- 言語は面白いと思った.語源を探っていくことにより,その民族がどのような道筋を辿ってどこからやって来たのかが分かるというのは興味深い.自分の話す言語について知ることは,自分を知ることだと思った(3年男子) (秀逸な感想文です)
- ものすごく楽しかったです.ただ,周囲が少しうるさかった.言葉って何気なく使っているけど,それぞれに由来があるんですよね.考えてみると楽しいけれど,調べるのはとても大変そう.でも日本語は,日本→中国 か 日本→中国→インド でもとの言葉に辿り着けますよね.流れでなくてもアジア!!(1年女子) (受講の邪魔をする行為はけしからんです.これはお約束ですから,話をしたい方はどうぞ最初から教室に入ってこないでください.さもないと出ていってもらうことになります.で,本題に戻りますと,日本語には西洋からの外来語もたくさんありますよ)
- 日本語の中のインド語は面白かった.中でも日光はうさん臭いけど見事! アーリア人に支配されている間もかつての文化が水面下で保たれていって,Veda と混ざって Hindu になったというのは素敵.言葉を調べることで当時のことだけでなく民族の動きや系統が分かるのが面白い(1年男子) (日光は胡散臭いですか?)
- 今日の講義では,一番最後に出てきたインダス文明が印象に残っています.いつ栄えたのかも何語が使われていたのかもはっきりとは断定できないというのも魅力的ですが,沐浴などの文化がアーリア人の侵略によって失われるのではなく,Veda の宗教と同化しながら Hindu の文化として現れたというところが印象的でした(2年女子) (一つ上の回答と同様に,他にも何人かの方がこの点について述べてくれていました.「文化の動き」を面白いと思ったその感性を大切にしてください.私の研究テーマも大まかに言えばこういうことです)
教員への質問コーナー
質問がいくつかありましたので,答えられる範囲でお答えいたします.
Q. 先生の言う仲間内の“仲間”とはどんな繋がりですか? やっぱ裏っスか.裏インド通...(2年女子) A. 何を仰るうさぎさん.私のやっているのは「インド学 Indology」という歴とした学問分野です.“仲間”とはインド学屋の友人たちを指しています.それから,できるだけ正しい言葉遣いをするように心がけてください.後で苦労することになりますから.
Q. 英語はカタカナに変わったのに,インドの言葉はほとんど漢字になっていますが,それはなぜでしょうか(1年女子) |
A. 漢訳された仏典を通じて入ってきたからです. |
Q. 先生は講義中にドイツ語を書いたりされていましたが,一体何カ国語ぐらいお話しすることができるのですか?(2年女子) A. 学問の性質上,様々な外国語を扱いますが,研究者同士で話すときはどうしても英語中心になってしまいますね.外国語の論文も英語以外は書いたことがありません.
Q. 「日光」の説明やガッチャマンの語源など力説していらして,とても良いと思います.先生のことを信用していないわけではないのですが,ガッチャマン ← gacchaama (Let's go! の意) というのは果たしてどうなのでしょう.「行け行けだし...」と仰っていましたが,次の「飛べ飛べ...」は無視されるのですか? 白い翼のガッチャマンなのに?(2年女子) A.次のように考えてみてはいかがでしょうか.
まず,ガッチャマンの命名者は何らかの関係で,サンスクリットの gacchaama が Let's go! の意であると知っていた.そこでかの科学忍者隊の命名に際し「ガッチャマン」と名付けるのと同時に,「行け行けガッチャマン」のフレーズができた.正義のヒーローだから空を飛ぶ.だから「飛べ飛べガッチャマン.」そして飛ぶからには翼がいる.そこで「白い翼のガッチャマン」となった.
この説を説得力のあるものとしているのは,「なぜ白い翼なのか」にも説明がつけられることです.インドにおいて白はアーリアの色,高貴な色なんです.ですから,正義の味方が白装束というのは,サンスクリットを知っている人間から見ると至極ストレートな発想になるのです.
もちろん,この説に異議を唱えられるのは自由です.しかし異議を唱えるからには,この説に対抗しうる別の説を提示する必要があります.
「ガッチャマンと gacchaama が似ているのは偶然だ」という意見もあるかも知れません.しかし「偶然」というファクターを持ち込むことは同時に「思考の放棄」を意味します.そしてもし私たちが何らかの対象を学ぼうとするのであれば,極限まで「偶然」「思考の放棄」を回避しなくてはならないのです.
異論反論お待ちしております.
【総評】皆さん,かなりインドに関心を持ってくれたようですね.次からいよいよ Veda の宗教に入りますよ〜(鈴木隆泰)
suzuki AT ypu.jp